システムの安定運用を実現する上で欠かせないのが"要件に見合った最適なハードウェアの選定"と"信頼できるサポート体制"です。ここではサードウェーブテクノロジーズの塚本丈英氏に、PCやサーバの導入時にチェックすべきサポートやハードウェア選定のポイントを伺いました。
必要なサポートが受けられるハードウェア選定をおこなっているか?
PCやサーバを購入する際、多くの人がまず着目するのはCPUの処理能力やメモリ/ストレージの容量といったスペックでしょう。また用途によっては、インターフェイスの種類や拡張スロットの数などの拡張性を重視するケースもあります。但し、こうした表面的なスペックには表れない隠れた要素をチェックすることも重要です。
多くのベンダーでは、1年の標準サポート期間があり、さらに延長保証が用意されているといったサポート体制が一般的でしょう。ただ導入したPCやサーバを長時間利用し続ける用途の場合、一般的な標準サポートと延長保証の組み合わせでは対応できないケースが少なくありません。
豊富なPC/サーバのラインナップを持ち、さらに顧客のニーズに合わせたカスタマイズにも対応するサードウェーブテクノロジーズの塚本丈英氏は、よくあるトラブルとして次のような例を説明します。
「お客さまからご相談を受ける例の1つとして、最初に導入したモデルと同じもののはずなのに、拡張カードなどが動かないといったものがあります。特にコンシューマ製品の場合、パソコンとしてのモデル名は変わっていないのですが、マザーボードが同等仕様の他型番に変わっていたり、ボードのリビジョン変更により使われているチップが微妙に変わることがあるため、同じ動作が見込めなくなってしまうというわけです」
発売から数年が経過したハードウェアと"まったく同じもの"を手配することは容易ではありません。そのため、用途によってはPCやサーバそのものだけではなく、その中で使われている部品の供給についても熟知したベンダーと相談する必要があります。
柔軟なサポートを提供するサードウェーブテクノロジーズ
サードウェーブテクノロジーズでは、顧客の要望に応じて供給期間や故障時の保守対応などのサポート要求に柔軟に対応できる体制が整えられていると塚本氏は話します。
「サポートを行う上で、一番ポイントになるのはマザーボードの供給期間になります。当社はIntelやSupermicro、ASUSTeKといったベンダーと太いコネクションがあり、マザーボードの安定供給が可能なほか、3年供給や7年供給といった長期間の供給を受けられるボードを採用した製品をご提供することが可能です」
当然ながら長期間のサポートは、コスト負担が大きくなるという課題もあります。そこでサードウェーブテクノロジーズでは、メモリや電源については基本的な仕様が変わらなければ異なる製品でも構わないお客様に対し、製品仕様を用件に応じてカスタマイズすることによって、コストを抑えたうえで長期間サポートを実現することも可能とのこと。
またソフトウェアのサポートが問題となることも少なくありません。特に注意したいのがOSで、新バージョンの登場と同時に旧バージョンが手に入らなくなってしまうといったリスクがあります。そこでサードウェーブテクノロジーズでは、「Windows Embedded Enterprise」および「Windows Embedded Server」をプリインストールした製品の提供も行っています。これらは15年の供給保証が受けられるWindowsのライセンス形態の1つであり、用途は限定されていますが長期間に渡って同じOSを安心して使い続けられるという大きなメリットがあります。このようにサードウェーブテクノロジーズでは、ハードウェアとソフトウェアの両面において、長期間のサポートを提供し続けるための仕組みを整えています。
目に見えない"マザーボードの仕様"を読み解く
PCに周辺機器を接続する際、コンシューマの領域ではUSBを使うケースが大半になりましたが、業務用PCなどでは拡張カードを使うケースがまだまだ少なくありません。たとえば画像解析や映像処理の分野では、映像を入力するためのインターフェイスをPCに追加する、あるいは4Kや8Kといった高解像度映像の処理を高速化するための拡張カードが使われています。
こうしたカードには極めてサイズが大きいものがあり、普通のPCケースでは収まらない場合があります。さらにマザーボードによっては拡張カードが動作しないこともあると塚本氏は話し、その要因の1つとして次のような例を挙げます。
「最近の多くのマザーボードには、いくつかのPCI Expressスロットが用意されています。ただ拡張カードによっては、物理的にマザーボードに挿すことができても動作しない、あるいは本来のパフォーマンスが得られないことがあります。その要因の1つとして挙げられるのが、拡張スロットとCPUやチップセットを接続しているレーンの帯域幅です。たとえば2本のPCI Express x16スロットがあり、そのうちの1本(図参照:SLOT#4)はx8の帯域幅しかありません。つまりx16の帯域幅を必要とする拡張カードをx8の帯域幅しかない拡張スロットに挿してしまうと、本来のパフォーマンスが得られないということになるわけです。さらに(図参照:SLOT#6)のPCI Express x16スロットはx8の帯域幅でCPUと直結されながら、PCI Express Switch経由でもx8の帯域幅で結ばれています。確かに合計すればx16の帯域幅となりますが、スイッチチップを経由することによりx16の帯域でCPUと直結した場合と比較して動作に違いが出たり、帯域不足になったりすることもありえます」
このような問題を起こさないため、サードウェーブテクノロジーズでは導入前にヒアリングを徹底して行い、利用する拡張カードが求める帯域幅や消費電力量に合わせてハードウェアを構成、提案する体制を整えています。また、プロトタイプを開発して顧客に提供し問題がないことを確認したうえで量産するといった対応も行っているとのことです。
このようにきめ細かな対応を行い、表面上のスペックだけではなく、サポートやマザーボードの設計など"目に見えない"ところにも配慮してハードウェアを構築できる点は、サードウェーブテクノロジーズの大きな強みだと言えるでしょう。
- 取材協力/サードウェーブテクノロジーズ
- URL:http://hojin.dospara.co.jp/