ハードウェアを起因とするトラブルが発生したとき、単純な故障であれば機材の交換などによって対処することが可能でしょう。しかし想定したパフォーマンスが得られない、あるいは拡張カードが動作しないといったトラブルの場合、メーカの適切なサポートが期待できない可能性もあります。ここでは、サードウェーブテクノロジーズにトラブルの事例や同社における対応などについて伺いました。
原因究明や対処が難しいハードウェアのトラブル
システム構築におけるトラブルの中でも、解決が難しいものの1つに「要件を満たしたハードウェアを選んだのに、想定したパフォーマンスが得られない」ことが挙げられます。その理由としては、ハードウェア間の相性問題や使い方のミス、あるいはソフトウェア設計の欠陥などが考えられますが、いずれにしても原因を突き止め、それを解決するのは容易ではありません。
原因がハードウェアだと判断できた場合には、それを提供しているメーカのサポートを利用するということになるでしょう。ただ複数のメーカのハードウェアが絡むトラブルでは、明確な回答が得られなかったり、そもそもサポートの対象外であったりするため、トラブルを解決できないということも考えられます。
こうしたトラブルを防ぐために、顧客のニーズを徹底的にヒアリングし、豊富なノウハウや綿密な調査に基づいて最適なハードウェアを選定、提供しているのがサードウェーブテクノロジーズです。同社では顧客の要望に合ったハードウェアを提供するため、場合によってはハードウェア間の互換性まで調べ、要件として求められているパフォーマンスが出せるかどうかをチェックした上で出荷するケースもあるとのこと。サードウェーブテクノロジーズの塚本丈英氏は、具体的な例として高性能なストレージシステムを求められた事例を話します。
「映像業界のお客さまから、高速に読み書きができるストレージを求められたことがありました。10TB程度の容量が必要で、なおかつパフォーマンスを高めるためにすべてSSDで組んでほしいというものです。具体的な要件は、シーケンシャルリード/ライトで1000MB/秒を担保してほしいというものでした。現在、ストレージの高速化を図る手法としては、PCI Express接続のSSDをキャッシュとして使う方法や、RAIDカード上のキャッシュを高速化することが常套手段になっていますが、実は映像系だとそうした製品は容量対コストパフォーマンスが悪すぎるか、遅くて使えないんですね。映像系で扱うデータは、1ファイルあたり数十GBになるため、そもそもキャッシュから溢れてしまうことと、ひたすらシーケンシャルにデータを読み書きするため、キャッシュが有効に働かないのです」
このように難しい要件にどう対応したのでしょうか。塚本氏は話を続けます。
「単純にPCI Express接続のSSDを挿すだけであれば難しくないのですが、RAIDカードに多数のSSDをぶら下げるという構成になると、さまざまな箇所がボトルネックになり得るわけです。たとえばマザーボードとRAIDカード、ディスクエンクロージャバックプレーン間の相性というのがありますし、RAIDコントローラーとSAS/SATAコントローラー間、あるいはPCI ExpressとCPU間のバス、他の拡張カードとのPCI Express帯域の奪い合いがボトルネックになることもあります。またRAIDカードによっては、接続するドライブの数が奇数だと性能が出ないというものも存在します。このようにさまざまな要因を想定し、検証を行った上で要件を満たしたシステムを提供しました」
サーバにRAIDカード、そしてSSDなどと複数のハードウェアを組み合わせてシステムを構成する際、問題となるのはトラブル時の対応です。ハードウェアによっては互換性リストが開示されていますが、実際にシステムを構築する際に互換性のある製品だけでは対応できないというケースがほとんどでしょう。さらに貸出機の提供を受けられないとなると、ユーザ自身でリスクを負って製品を購入して試すしかなく、もし動かなかった場合は大きな損失にもつながってしまいます。
しかしサードウェーブテクノロジーズであれば、打ち合わせしながら必要なハードウェアスペックなどの要件を煮詰め、さらに動作しなかった場合の解決策も提案できると塚本氏は話します。同社が多くの顧客から支持されている理由の1つに、このような細やかな対応があるのは間違いないでしょう。
徹底的な現場対応でさまざまなトラブルを解決
高い技術力で顧客のビジネスをサポートし続けてきたサードウェーブテクノロジーズですが、解決が難しいトラブルに遭遇することもあるようです。たとえば顧客の環境でトラブルが発生した際、その機材を自社に持ち帰って検証すると問題なく動作するといったケースがあると言います。こうした場面で塚本氏が大切にしているのは現場を見ること。現場に足を運び、実際に稼働しているところを見るとわかることがあると説明します。
「あるとき、お客さまの環境でどうしてもハードウェアが動作しないというトラブルがあり、調べたところ単に電力が足りないだけだったことがありました。特に大量のメモリを搭載していたり、あるいは高性能なGPUを使ったりしているシステムはとにかく大量に電力を消費し、場合によっては100V-15Aを使い切ることがあります。そのお客さまのオフィスは十分な電力が確保できていなかったため、納品したサーバの一部が動作しなかったというわけです。こういったトラブルは現地に行ってみないとなかなかわかりません」
トラブルが発生した際、単にハードウェアの交換を行うだけでなく、このように現場でトラブル解決を目指す姿勢は、ユーザにとって大きな安心感につながるポイントだと言えるでしょう。
さて、そのサードウェーブテクノロジーズの特長として、ハードウェアを提供する前にきめ細やかなヒアリングを行い、その上で最適な構成を提案することが挙げられます。それでは、ヒアリングにおいてどのようなことを伝えればいいのかを塚本氏に伺ったところ、次のような答えが返ってきました。
「目的と手段を両方定義していただくと、我々からの提案の精度を高められると思います。たとえば『こんなことがやりたいと考えていて、こういうアウトプットを求めている。それでこういったハードウェアを使おうと考えている』などと伝えていただければ、目的や手段に対してそのハードウェアが適切かどうか、もし適切でなければ何がいいのかを提案することができます。ただ、どのハードウェアを使えばいいのかわからなくても、やりたいこととアウトプットするものが明確であれば、弊社からいくらでも提案はできます。ですので、やりたいことを実現するためにどんなハードウェアがいいのかがわからなければ、まず私たちに相談していただきたいですね」
ハードウェアはシステムを支える土台となるものだけに、トラブルが生じた際の影響は極めて大きいものとなります。また事前検証が難しいケースでは、そのリスクをどのように捉えるかも課題の一つです。このようなケースにおいて、親身になって相談に応じてくれるサードウェーブテクノロジーズは頼りになる存在だと言えるでしょう。
- 取材協力/サードウェーブテクノロジーズ
- URL:http://hojin.dospara.co.jp/