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第62回Sylpheedを使用する:概要と初期設定

Sylpheedとは

Sylpheedは数多いMUA(Mail User Agentの略で、いわゆるメールクライアントやメールソフトと呼ばれるもの)の一つで、Sylpheedのサイトでは以下の特徴を持っていることが示されています。

  • シンプルで美しく、洗練されたユーザインタフェース
  • 細部まで作りこまれた快適な操作性
  • 整理された分かりやすい設定項目
  • 軽快な動作
  • 高い信頼性
  • 国際化、多言語対応
  • 高度な日本語処理(文字コードの自動判別、機種依存文字対応等)
  • 多様なプロトコルに対応
  • セキュリティ機能(GnuPG、SSL/TLSv1)
  • 強力なフィルタリング・検索機能
  • 迷惑メール対策機能
  • 外部コマンドとの柔軟な連携

作者は2006年度日本OSS貢献者賞を受賞した山本博之氏[1]で、Sylpheedは筆者のような一般ユーザから、Linux KernelのメンテナであるAndrew Morton氏など国内外を問わず多くのユーザがいます。

Ubuntuでは、Sylpheedは特に標準というわけではありませんが、日本語セットアップヘルパで簡単にインストールできますし、最新バージョンの使用もわりと簡単にできます。

今回と次回は、主としてSylpheedのさまざまな機能を紹介していきます。昔と比べて飛躍的に機能が向上しているので、まだ使用したことのない方や、かつて使っていた方にも役に立つと思います。

インストール

日本語RemixあるいはUbuntu Japanese Teamリポジトリからインストールした場合、[システム]-[システム管理]-[日本語版セットアップヘルパ]を起動し、[Sylpheed]にチェックを入れます。

図1 日本語セットアップヘルパからのインストール
図1 日本語セットアップヘルパからのインストール

Ubuntu 8.04 LTSでは、最新版である2.6.0のパッケージを使用することができます。また、Ubuntu 9.04でも同じく2.6.0を使用することができます。Ubuntu 8.04では、次の行を/etc/apt/sources.list.d/ubuntu-ja.listに追加してください。もしこのファイルが存在しない場合は、作成するか/etc/apt/sources.listに追加してください。

deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja hardy-experimental/

その後、リポジトリをアップデートして、Sylpheedをインストールしてください。端末からインストールする場合は、以下のコマンドを実行してください。

sudo apt-get install sylpheed

起動と初期設定

ここからの説明は、Ubuntu 9.04上でSylpheed 2.6.0を利用します。インストール後、[アプリケーション]-[インターネット]-[Sylpheed]が追加されているので、起動します。

起動後、最初に[メールボックスの設定]というダイアログが出てきますが、指示どおりそのまま[OK]をクリックすればいいでしょう。

次に[新規アカウントの設定]というダイアログが表示されます。ここでは例として、IMAP経由でGMailの設定を行ってみます。

[基本]タブ
  • このアカウントの名称:任意に決定
  • 個人情報:任意に決定
  • サーバ情報
    • プロトコル:IMAP4
    • 受信用サーバ:imap.gmail.com
    • SMTPサーバ(送信⁠⁠:smtp,gmail.com
  • ユーザID:(GMailの場合はメールアドレスと同じ)
  • パスワード:お使いのアカウントのパスワード
図2 GMailの使用に必要の設定(1⁠⁠ [基本]タブ
図2 GMailの使用に必要の設定(1) [基本]タブ
[送信]タブ
  • 認証:[SMTP認証 (SMTP AUTH)]にチェックを入れる。あとは空欄でよい
図3 GMailの使用に必要の設定(2⁠⁠ [送信]タブ
図3 GMailの使用に必要の設定(2) [送信]タブ
[SSL]タブ
  • IMAP4:[IMAP4の接続にSSLを使用]にチェックを入れる
  • 送信(SMTP⁠⁠:[SMTPの接続にSSLを使用]にチェックを入れる
図4 GMailの使用に必要の設定(3⁠⁠ [SSL]タブ
図4 GMailの使用に必要の設定(3) [SSL]タブ
[高度な設定]タブ
  • SMTPポートを指定:チェックを入れ、"465"と入力する(あるいはプリセットのまま)
  • IMAPポートを指定:チェックを入れ、"993"と入力する(あるいはプリセットのまま)
図5 GMailの使用に必要の設定(4⁠⁠ [高度な設定]タブ
図5 GMailの使用に必要の設定(4) [高度な設定]タブ

基本的にはこれで接続できますが、[作成]タブの[直接入力]で署名(シグネチャ)の作成が可能なので、入力しておくといいでしょう。[ファイル]とは、外部ファイルに署名を保存しておき、そのパスを指定する機能です。メール作成時に読み込んでくれます。筆者は現在でもこれを使用していますが、新規でアカウントを作成する場合は[直接入力]でいいでしょう。[コマンドの入力]では、コマンドの結果を署名にすることができますが、あまりにもマニアックすぎるので特に紹介はしません。

図6 [作成]タブの署名の設定
図6 [作成]タブの署名の設

各種設定を変更する

先ほど行ったアカウントの設定は[設定]-[現在のアカウントの設定]で再設定することができます。ほかにも[設定]-[全般の設定]で各種の設定を行います。

[受信]タブ
[受信メールを自動チェックする]と[起動時に着信メールをチェックする]にチェックを入れておくといいでしょう。
[送信]タブ
次の文字列(カンマ区切り)がメッセージ本文に含まれている場合は添付忘れを確認する:
これはこのとおりの機能で、例えば[添付]という言葉がメールの本文中に含まれているのにもかかわらずファイルが何も添付されていない場合、警告を表示してくれます。単語は複数個指定可能で、コンマで区切ります。
送信前に宛先を確認する:
送付先の間違いを防止するため、送付前に確認ダイアログを出すことができます。除外するドメインを指定することもできますが、筆者は特に指定せず、問答無用で確認するようにしています。最近のメーラには必要な機能だと聞いています。
[作成]タブ - [エディタ]タブ
[外部エディタ]を自動的に起動する:
メールの作成を使い慣れたエディタで行うことができます。起動するエディタは[詳細]-[外部コマンド]タブの[エディタ]で指定することができます。
草稿に自動保存する:
これにチェックを入れておくと、長文メールを書いている最中に落ちて全部電子の藻くずと化す、という悲劇を回避することができます。筆者も設定していますが、ありがたいことに役に立ったことはありません。
[スペルチェック]タブ
スペルチェックを有効にする:
英文メールなどを書く必要がある方は、チェックを入れておくといいでしょう。少なくともUbuntuではスペルチェックが有効になってビルドされているので、この機能を使うことができます。
[迷惑メール]タブ
迷惑メール対策を有効にする:
GMailでしか使用しない場合は必要ないでしょうが、他のアカウントとも併用する場合は有効にしておくといいでしょう。現在のSylpheedは迷惑メール対策機能を持っていないので、2種類の外部プログラムから選択することになります。Ubuntuを普通にインストールすればbogofilterも一緒にインストールされるため、これを使用するといいでしょう。迷惑メールを保存するフォルダを指定し(なければ作成することができます⁠⁠、そこにも書かれているとおり迷惑メールと非迷惑メールを学習させます。ここにチェックを入れると、[メッセージ]にある[迷惑メールに指定]と[迷惑メールではない]が使用可能になり、これで学習させていきます。体感では、どちらも50通程度学習させればそこそこ使えるようになるでしょう。また、[受信時に迷惑メールと判定されたメッセージを振り分ける]にも忘れずにチェックを入れておきましょう。
[詳細]タブ - [インターフェース]タブ
キーバインドの設定:
[標準]、[Mew / Wanderlust]、[Mutt]、[旧Sylpheed]の4つから選択できます。Wanderlustなどのメーラをお使いの方は、ここでキーバインドを変更するといいかもしれません。

これだけでもSylpheedでできることがおわかりいただけたかと思いますが、次回はメールの送受信や各種機能の使用方法を解説します。

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