を選択して検索します。
すると、zabbix-agent、zabbix-frontend-phpなどZabbix関連のパッケージがwheezy-backportsで提供されていることがわかります。
そこで、/etc/apt/sources.listにwheezy-backportsを追加します。
インデックスファイルを更新すると、zabbix-agentがインストールができます。
同様に新しいバージョンの LibreOffice もインストールできます[5]。
このように、Wheezyには含まれていないパッケージや新しいバージョンのパッケージを使いたい場合にwheezy-backportsの利用を検討します。望みのパッケージがwheezy-backportsで提供されていればパッケージ管理システムの中で使えます。ただし、むやみにwheezy-backportsのパッケージを使うのではなく充分に検討してからにするべきでしょう。
multiarchの利用
Squeezeでは64ビット(amd64/ia64)環境で32ビットアプリケーションを利用するためにia32-libsパッケージのランタイムライブラリを利用していました。Wheezyでは、このパッケージは移行用のダミーパッケージとなり、同機能はmultiarchで提供されることになりました。ここではamd64環境でのia32-libsのインストールを例にmultiarchの利用方法を解説します。
amd64環境でそのままia32-libsパッケージをインストールすると次のようなエラーとなります。
ia32-libsが依存しているia32-libs-i386パッケージはi386アーキテクチャ向けにしか提供されていないため、amd64環境ではインストールできません。そこでmultiarchの機能を使いアーキテクチャにi386を追加して、ia32-libsをインストールします。
アーキテクチャを指定してパッケージをインストールするには、パッケージ名の後に「:」を追加します。削除する場合も同様の形式でアーキテクチャ名を指定します。
追加したアーキテクチャの確認と削除はdpkgコマンドからできます。
利用しているミラーサイトが対象のアーキテクチャをミラーしていない場合、アーキテクチャを追加した後のインデックス更新に失敗します。その場合は次のように/etc/apt/sources.listを編集して対象のアーキテクチャのパッケージだけミラー元など他のサイトから取得するようにします。
ドキュメントの入手
Debianを使う助けとなる情報がDebian Documentation Projectによってドキュメント化されています。
Wheezyで変更された情報はリリースノートにまとめられています。とくに「第5章 wheezyで知っておくべき問題点」は現時点で把握されている問題点がまとめられており、一読の価値があります。
インストール手順はインストールガイドにまとめられています。インストール時に、ワイヤレスのネットワークインターフェースカードなど、ファームウェアが必要となるデバイスを使う場合は「6.4. 見つからないファームウェアの読み込み」が参考になります。
インストールした後、パッケージの管理やシステムチューニングなどDebianのチュートリアルがDebianリファレンスにまとめられています。システム管理の多くの局面を扱っているドキュメントですので都度読み返すと大いに役立ちます。Debianリファレンスはパッケージが用意されておりインストールすれば手元でも読めます。
他のまとまったドキュメントとしては、日本語ではないのですが、the Debian Administrator's Handbookがあります。これは2人のDebian開発者によって書かれたSqueezeを対象としたDebian管理者向けの本です。Wheezyからはパッケージに収録されています。
パッケージは容量の都合でHTML版しか用意されていませんが、ソースをダウンロードしてビルドをすればEPUB版とPDF版を作成できます。
Wheezyリリース後
Wheezyがリリースされてから約1ヵ月が経過しています。この間にXクライアントライブラリに数多くのセキュリティアップデートが用意されました。他にも、Linuxカーネル、Iceweasel、Chromiumなどのセキュリティアップデートも用意されています。忘れずにソフトウェアを更新して最新の状態にしましょう。
これらセキュリティアップデートなどをまとめた1回目のポイントリリースDebian 7.1が2013年6月15日にリリースされる予定となっています[6]。
Wheezyのリリースと同時に、前回の安定版Debian 6.0「Squeeze」は旧安定版となっています。この後、Squeezeは2014年5月4日までのサポートとなりますので、Squeezeをお使いの方はあと1年の間にWheezyへの移行を計画しましょう。
また、同じくして次のDebian 8.0「Jessie」(注7)に向けた開発が始まっています。ツールチェーンにはじまり、さまざまなソフトウェアの新しいバージョンで頻繁にunstable版のパッケージが更新されています。Ubuntu 13.10(Saucy Salamander)のDebian Import Freezeは2013年6月20日予定ですので、Ubuntu 13.10にもこれらunstable版の変更点が多く取り入れられることでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回はDebian 7.0「Wheezy」について紹介しました。これを機にぜひDebianにも触れてみてください。