Ubuntu Weekly Recipe

第354回VMware Workstationを使用する

2014年12月2日に発売されたVMware Workstation 11を使用し、ゲストOSとしてUbuntuをインストールします。おそらくVMware Player 7でも役に立つと思います。

VMware Workstation 11

VMware WorkstationはPCの仮想化ソフトウェアです。第342回で取り上げたVirtualBoxの直接の競合プロダクトです。有償ですが、30日間の評価版があります。非営利使用の場合は無償のVMware Playerもありますが、これはその名のとおりあくまでPlayerであり、新しい仮想マシンを作成することはできるものの、スナップショットの作成などはできません。⁠非営利使用のみ」というのもなかなかに曖昧です。WorkstationにはPlayerも含まれているので、とりあえずWorkstationの評価版をインストールし、30日間評価後もしWorkstationを購入する価値があると思ったら購入、特にないと思ったらPlayerを使用(営利利用の場合はPlayer Proを購入⁠⁠、あるいはVirtualBoxを使用する、というのが良いように思います。

独断と偏見によるVMware WorkstationとVirtualBoxの比較

あくまで筆者の独断と偏見でどの程度信憑性があるのか難しいところですが、VMware WorkstationとVirtualBoxの比較をしてみたいと思います。

VirtualBoxと比較したVMwareのメリット
  • USB 3.0が使える
  • nested VMが使える
  • Mir対応
  • ホスト-ゲスト間のファイルのドラッグ&ドロップをサポート
  • マニュアルが日本語
VirtualBoxと比較したVMwareのデメリット
  • 有償
  • クローズドソース
  • サポート期間が短い
  • UIが英語(Linux版)
  • コマンドラインでできることが少ない

VirtualBoxはGUIであるVirtualBoxマネージャーでできないことがコマンドラインではできたりするのですが、VMware Workstationのマニュアルを見た限りではそれほど多くのことがコマンドからは実行できなさそうでした。とは言えマニュアルに記載されておらず、筆者が知らないだけでいろいろできるのかもしれません。

MirはUbuntuのディスプレイマネージャーですが、少なくとも最近の開発版Ubuntuは動作しないようでした。VMware Workstationのマイナーバージョンアップ版で動作するようになるのを期待したいところです。

サポート期間はVMware Lifecycle Product Matrix(PDF)に明記されています。VMware WorkstationやPlayerは発売後2年間しかサポートされません。一方VirtualBoxは第352回にも書いたとおり、2010年にリリースされた3.2は現在もサポート継続中です[1]⁠。

インストール

では、いよいよVMware Workstation 11をインストールします。今回はUbuntu 14.10を用意しました。11からはホストOSが64bitである必要があるので、Ubuntuも64bit版を使用しています。

まずは評価版ダウンロードページから評価版をダウンロードしてください。⁠今すぐダウンロード]をクリックするだけなので、特に迷うことはないと思います。

インストールは、端末を起動してダウンロードフォルダーに移動し、次のコマンドを実行してください。

$ sudo bash ./VMware-Workstation-Full-11.0.0-2305329.x86_64.bundle

インストーラーは英語ですが、特に困るようなことはないでしょう。デフォルトから特に変更しなくてはいけないところはありません。というか、Linux版のVMware Workstation/Playerはインストール後も英語なので、ここで躓くのであればWindows版を使用したほうが良いように思います。

初回起動時に、⁠Welcome to VMware Workstation 11⁠というダイアログが表示されます図1⁠。購入している場合は上にチェックを入れてライセンスキーを入力します。今回のように購入していない場合は、下にチェックを入れてメールアドレスを入力します。ただし、メールアドレス全てを入力する前に[OK]を押せるようになります。

図1 ライセンスキーかメールアドレスを入力する
図1 ライセンスキーかメールアドレスを入力する

Ubuntuゲストの準備

VMware Workstation/Playerには簡易インストールモードと言うものがあって、この機能を使用するとインストールのステップを省略することができて便利なのですが、言語設定が英語になってしまいます。すなわち、インストール後に日本語に設定し直す必要があります。ということは、インストール時に面倒な思いをするか、インストール後に面倒な思いをするかの違いがあるわけですが、今回は前者とします。簡易インストールモードは使用せず、通常どおりにインストールする方法を解説します。なぜなら、通常どおりインストールする方法だとほかにもその知識を活かす機会はいくらでもありますが、日本語に設定し直す知識を活かす機会はあまり多くありません。

インストールはホストOSと同じくUbuntu 14.10の64bit版を使用します。isoイメージを用意しておいてください。

VMware Workstationを起動し、まずはGUIにある[Create a New Virtual Machine]をクリックします図2⁠。するとウィザードが起動します。⁠Virtual Machine Configuration][Typical]のままで良いです図3⁠。⁠Next]をクリックします。

図2 VMware Workstation 11の初期状態です。中央左の[Create a New Virtual Machine]をクリックします
図2 VMware Workstation 11の初期状態です。中央左の[Create a New Virtual Machine]をクリックします
図3 デフォルトの[Typical]を選択します
図3 デフォルトの[Typical]を選択します

[Install operating system from:]は特に重要で、ここで[Use ISO image]を選択すると簡易インストールモードになってしまいます。よって、⁠I will install the operating system later.]を選択し図4⁠、⁠Next]をクリックします。

図4 ⁠I will install the operating system later.]を選択します
図4 [I will install the operating system later.]を選択します

[Guest Operationg System][2.Linux][Ubuntu 64-bit]になっているかを確認します(図5⁠。確認後[Next]をクリックします。

図5 ⁠Ubuntu 64-bit]が選択されているか確認します。
図5 [Ubuntu 64-bit]が選択されているか確認します。

[Virtual Mchine Name][Name]は任意に変更してください図6⁠。⁠Location]はデフォルトのままで良いでしょう。⁠Next]をクリックします。

図6 ⁠Name]を任意に変更します
図6 [Name]を任意に変更します

[Disk Size]はデフォルトの20Gバイトのままで良いでしょう図7⁠。もちろんさらに多くのディスク容量を使用する可能性がある場合は、物理ドライブの許す限り大きくするのが良いでしょう。説明にも書かれているように、作成時に20Gバイトの物理ディスク容量を確保してしまうわけではなく、使用するたびに少しずつ大きくなって行くので、インストールしてちょっと遊ぶくらいであればさほどディスク容量を使用するわけではありません。ただ、その下の[Store virtual disk as a single file][Split virtual disk int multiple files]はデフォルトでは後者ですが前者を選択したほうが良いでしょう。仮想マシンのイメージを移動することはさほど多くないでしょうし、それよりもただでさえ仮想マシンのイメージはパフォーマンスにオーバーヘッドが生じるため、事前に遅くなる要因は排除するのが良いです。設定が完了したら[Next]をクリックします。

図7 ディスク容量とファイル分割の有無を選択します
図7 ディスク容量とファイル分割の有無を選択します

[The Virtual machine will be created with the following settings]は設定の最終確認ですが、ここでさらにいくつか設定を行うので[Customized Hardware]をクリックします図8⁠。⁠Memory]は2Gバイト以上にしてくと良いでしょう図9⁠。Ubuntuは1Gバイトでは少々苦しいです。⁠Processors]は、クアッドコア以上を使用している場合は[Number of cores per processor][2]以上にしておくと良いでしょう図10⁠。⁠New CD/DVD (SATA)]は今回のキモで、⁠Use ISO Image]でUbuntu 14.10のisoイメージを指定します図11⁠。設定が完了したら[Close]をクリックします。前の画面に戻るので、⁠Finish]をクリックします。最後にゲストOSをインストールする方法と、VMware Toolsをインストールする方法が表示されますので、よく読んで[Close]をクリックします。

図8 ⁠Customize Hardware]をクリックします
図8 [Customize Hardware]をクリックします
図9 メモリーの割当は2Gバイト以上が望ましいです
図9 メモリーの割当は2Gバイト以上が望ましいです
図10 可能であればコアの割当を増やすと良いでしょう
図10 可能であればコアの割当を増やすと良いでしょう
図11 忘れずにUbuntu 14.10のisoイメージを指定します
図11 忘れずにUbuntu 14.10のisoイメージを指定します

仮想マシンが作成できたので、⁠Start up this guest operationg system]をクリックし、起動します。Ubuntu 14.10のインストーラー(Ubiquity)が起動しているはずなので、あとは普段どおりにインストールを完了します。

インストール完了後、VMware Toolsのインストールを促すダイアログを何度か目にすることになります図12⁠。もちろん普通にVMware Toolsをインストールしても良いのですが、やや面倒です。ゲストOSがUbuntu 14.04以降の場合は、VMware Toolsと同じ役割を担うopen-vm-toolsと言うパッケージがあるので、これをインストールすると簡単です。デスクトップ版の場合はopenvm-tools-desktopをインストールします。コマンドラインの場合は次のコマンドを実行してください。

図12 VMware Toolsをインストールしていないと、インストールするよう勧められます
図12 VMware Toolsをインストールしていないと、インストールするよう勧められます
$ sudo apt-get install openvm-tools-desktop

インストール後に再起動してください。VirtualBoxのGuest Additionsとは異なり、インストール後、自動的に解像度が大きくなったりはしません。通常どおりシステム設定設定(コントロールセンター)[ディスプレイ]から解像度を変更してください。

open-vm-toolsは、14.04以降はmainにあります。それどころか、VMwareによってサポートされることが明言されています。インストールが簡単でサポートが提供されるのであれば、これを使わない手はありません。

UnityでUnity

VMware Workstation/PlayerにはUnityという機能があります。ゲストOSのアプリケーションがあたかもホストOSのアプリケーションであるかのように扱える機能です。そしてUnityといえば我らがUbuntuにもあるわけです。ということで、UnityでUnityを動作させてみました図13⁠。ゲストOSはわかりやすくWindows 10 Technical Previewです。起動しているアプリケーションは言うまでもなくInternet Explorer(IE)です。ただ、表示が乱れたのでワークスペースを有効にしてIEだけ別のワークスペースに送ってます。

図13 UnityでUnityです
図13 UnityでUnityです

オマケ:筆者とVMware Workstationと価格

筆者が最初に購入したVMware Workstationは4だったか4.5だったか失念してしまいましたが、いずれにせよ10年近く前です。7までは普通に使っていましたが、以後VirtualBoxに移行してしまいました。最初はパッケージ版を購入しましたが、当時からややしばらくの間はWindows版とLinux版は別ライセンスになっており、Linux版は当然英語なので日本で購入する意味が全くありませんでした。というわけで、5から9まではドル建てで購入しています。9はさしあたって必要なかったのですが、バージョンを飛ばしすぎるとアップグレード版を購入する権利が失われてしまいます。当時の記録を調べると、2012年11月30日に82.99ドルで購入していました。いうまでもなく当時は円高で、80ドル/円くらいでした。ということは7,000円もしなかったということです。このくらいであれば、アップグレードの権利を消失するくらいなら必要になった場合に備えて購入しておいて良いかなと思う価格です。そして11もまた見送るとアップデート版を購入する権利を消失してしまいますが、購入はとても迷いました。一番大きな理由は、ドル建てで購入できなくなったことです。11の発売後数日間はサイバーマンデーということで30%オフだったのですが、アップグレード価格でも2万円を超えており、30%オフで1万5,870円でした。ドル建てだと149.99ドルの30%オフなので、1ドル150円くらいの計算です。これはいくら何でもあんまりだと思ったのですが、最安だと信じて清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入しました。しかし、本原稿執筆時点では高すぎたと気づいたのか、アップグレード版で1万6,890円と、常識的な価格に落ち着いています。これだと慌てて買わず、次のキャンペーンまで待つのが得だったと思いました。

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