Ubuntu Weekly Recipe

第552回 デスクトップ環境の2018-2019年

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新しい年の始めに,Ubuntuで使用できるさまざまなデスクトップ環境について2018年に起こったことと2019年に起こりそうなことを紹介します。

新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。本連載も11年目を迎えました。

本連載は事前に長期的な見通しを立てているわけではなく,数週間先の執筆者が決まっているかいないかが現状で,今後どのような記事が掲載されるのかはまるでわかりません。Ubuntuの変化,執筆者のその時の関心事,さらに大きな流れの変化,かなりこじつけの理由……などなど,記事となるきっかけもさまざまです。

そんなライブ感たっぷりの本連載を,本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2019年のデスクトップ環境

デスクトップ環境については,昨年年始の第503回でも取り上げました。今読むと予測が外れていたことも多いのですが,その言い訳をしても仕方がありません。昨年の内容と今年の内容はリンクせずに進めます。

筆者の個人的な懸念事項として,各デスクトップ環境の翻訳率の低下があります。そこで今回は翻訳方法もあわせて紹介します。

また,昨年紹介したUnity7と同じくデスクトップ環境ではないものの,昨年大きな変化があったBudgieデスクトップを取り上げます。Cinnamonについては除外することにしました。Ubuntuのリポジトリにもパッケージはありますが古いのと,Ubuntuの派生版であるLinux Mint用という性格が強いからです(※1)⁠

※1
実はCinnamonの最新版を使用したい場合はFedora Cinnamon Spinがオススメだったりします。Spinのリリース時点でCinammonのバージョンが古くても,最新版がリリースされたらアップデートで最新版に更新されます。

GNOME

昨年GNOMEにあった大きな変化は,GitLabへの移行でしょう。バグトラッキングシステム(BTS)と一体となったほか,マージリクエスト(GitHubでいうところのプルリクエスト)を使用することによりソースコードの変更がより容易になりました。

昨年の記事でも言及した「ファイル」⁠Nautilus)でデスクトップにアイコンを置く機能を削除する件は3.28から盛り込まれ,そのままだとGNOME 3.28を採用するUbuntu 18.04 LTSに影響を与えることになりました。しかし18.04 LTSと18.10では「ファイル」のバージョンを3.26のまま据え置くという対応をしました。次のバージョンである19.04では「ファイル」がバージョンアップし,拡張機能と組み合わせることによってデスクトップにアイコンが置けるようになる見込みです。問題はUbuntu Budgieなど「ファイル」を採用しているもののGNOME Shellを採用しないためにこの拡張機能が使用できない場合ですが,その対処方法は本稿の趣旨から外れるので詳細な解説は省略します。

今年起きる大きな変更は,アプリケーションメニューの削除があります。アプリケーションメニュー図1からハンバーガーメニュー図2に移動するという変更です。各アプリケーションごとの対応が必要になるためタイミング的に耳を揃えてとはならないでしょうが(未対応アプリケーションの救済方法も用意されています)⁠単純にマウスの移動が減るのでユーザーのメリットが大きいでしょう。

図1 テキストエディター(gedit)のアプリケーションメニュー

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図2 開発版のgeditではアプリケーションメニューにあった「新しいウィンドウ」「設定」がハンバーガーメニューに移動している

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アートワークの変更も予定されています。

Waylandサポートの改善は,Waylandそのものの開発がスローダウンしているのが現状で,GNOMEもこの影響を受けるでしょう。また,そろそろGNOME 4.0へのロードマップも示されるのではないでしょうか。

翻訳

GNOMEの翻訳はDamned Liesというちょっと変わった名前(※2)の独自Webサービスを使用しています。翻訳ファイル(POファイル)をダウンロードし,手元で翻訳してアップロード,権限のある人(コミッター)がコミットするという流れになっています。

※2
「Damned Lies」は日本語に直訳すると「大嘘」です。

昨今は翻訳までWebサービスでやってしまう,あるいはGitHubやGitLabを使用してプルリクエストやマージリクエストを送って取り込んでもらうのが主流なので,やや古い方法で心理的な抵抗を感じるのは否めないように思います。

2019年1月上旬の翻訳率は開発版のGNOME 3.32で73%と,3/4を割っています。Ubuntu 18.04 LTSや18.10を使用していても英語のメニューをちらほら見かけてしまいますので,このあたりの改善を検討しなくてはならない状況に来ているように思います。

KDE

KDEはプロジェクトが細かく分かれており,総体としてはGNOMEよりも大きいので,全体的な方針というのは昨年も紹介したKDE's Goals for 2018 and Beyondのほかには見つけることができませんでした。

KDEを構成するKDE Frameworks 5,Plasma 5,KDE Applicationsはともにリリーススケジュールを公開しています。KDE FrameworksPlasma 5は個別のページに掲載されており,KDE Applicationsは毎年4月/8月/12月のタイムベースリリースです。ただしKDE Applicationsはポイントリリースもあり,例えば18.12のリリーススケジュールとして公開されています。このあたりはUbuntuと同じです。

翻訳

KDEの翻訳は,Summitから翻訳ファイル(POファイル)をダウンロードし,翻訳した上でメーリングリストに投稿する流れのようです。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese TeamとLibreOffice日本語チームのメンバー。LibreOffice,VirtualBox,Joplin,Budgieデスクトップなどの翻訳を手がける。技術同人サークルteam zpn主宰。ほか原稿執筆を少々。