第561回ではローカルのマシンでもcloud-initを用いて初期設定できる方法を解説しました。そこで今回は,
クラウドイメージの利点
Ubuntuでは通常のインストーラー付きイメージとは別に
配布形式はディスクイメージだったり,
主なターゲットはパブリックもしくはプライベートのクラウドサービスです
- ※1
- たとえばUbuntuが提供しているクラウドイメージロケーターでは,
メジャーなパブリッククラウドサービスに対して, 検索・ 指定したUbuntuイメージで起動できます。このようなサービスのためにも, Ubuntuは各クラウドが最新のイメージを提供しやすいよう, インストール済みイメージを公開しているのです。
さらにクラウドイメージは
そもそもUbuntuサーバーを
もちろんこれらの利点はクラウドサービス以外でも意味があります。第561回のように,
- ※2
- とは言え
「ギガが減る」 ことを気にするネットワークにおいて, クラウドイメージのダウンロードはあまりおすすめしません。
「クラウドイメージ」
- ※3
- 「おおよそ」
の部分がネックになったりするのですが, main/ universeコンポーネントであれば, 原則としてDebian Free Software Guidelines準拠のはずではあります。よってクラウドイメージをカスタマイズしたイメージの再配布も自由に行なえます。ちなみに商標が関わってくると話は別です。
クラウドイメージの種類
2019年4月時点でUbuntu 18.
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64-root. tar. xz - ルートファイルシステムをただtar.
xzで固めたアーカイブです (約140MiB) - カーネルやブートローダーはインストールされていません
- コンテナのベースイメージや組み込みシステムでの利用を想定しています
- 最小のルートファイルシステムが欲しいなら,
Ubuntu BaseやUbuntu Minimalを使いましょう
- ルートファイルシステムをただtar.
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64. img - QEMU/
KVM向けのQCOWイメージです (約300MiB) - QEMU/
KVMベースの仮想マシン管理システムやOpenStackなどで使われます - カーネルやブートローダーもインストールされています
- QEMU/
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64. ova - OVA
(Open Virtual Appliance) 形式のイメージです (約300MiB) - VirtualBoxやVMWareをはじめとするOVA対応の仮想マシンシステムで使います
- フォーマットが異なるだけで内容はQCOWイメージと同じです
- OVA
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64-vagrant. box - VirtualBox向けのVagrant Boxファイル
(OVF形式) です (約300MiB) - フォーマットが異なるだけで内容はQCOWイメージと同じです
- VirtualBox向けのVagrant Boxファイル
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64. vhd. zip - VHD
(Virtual Hardk Disk) 形式のイメージです (約400MiB) - 主にHyper-Vで使います
- フォーマットが異なるだけで内容はQCOWイメージと同じです
- VHD
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64. vmdk - VMDK
(Virtual Machine Disk) 形式のイメージです (約300MiB) - 主にVMWareで使います
- 実はOVAやVagrant Boxにはこのファイルがそのまま入っています
- フォーマットが異なるだけで内容はQCOWイメージと同じです
- VMDK
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64. squashfs - squashfs形式のルートファイルシステムです
(約200MiB) - 読み込み専用のファイルシステムとしてマウントします
- 通常はOverlayFS2などと併用して書き込み領域可能を用意します
- squashfs形式のルートファイルシステムです
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64. tar. gz - ext4イメージファイルをtar.
gzでアーカイブしたものです (約300MiB弱) - QEMU/
KVMやXenなど各種仮想マシン管理システムで使えます - BIOS用のMBRやUEFI用のESPは別途用意する必要があります
- フォーマットが異なるだけで内容はQCOWイメージと同じです
- ext4イメージファイルをtar.
- ubuntu-18.
04-server-cloudimg-amd64-lxd. tar. xz - LXD向けのテンプレートです
(約1KiB) - サイズからもわかるように,
これ単体は起動可能なイメージファイルではありません - 別途ダウンロードしたルートファイルシステムなどと組みあわせて使います
- LXD向けのテンプレートです
どのイメージも,
よって使用している仮想マシン管理システムにあわせてダウンロードするフォーマットを決めてください。よく使われるVirtualBoxやVMWareであれば,
ディスクイメージタイプのルートファイルシステムのパーティションサイズはおおよそ2GiB
今回は上記の中でも特に
また,
$ sudo apt install cloud-image-utils $ cat >user-data <<EOF #cloud-config password: ubuntu chpasswd: { expire: False } ssh_pwauth: True EOF $ cloud-localds user-data.img user-data