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第580回 AMD Ryzen 5 3400Gと2400Gを比較する

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今回は7月7日に発売されたAMD Ryzen 5 3400Gと,その前のモデルである2400Gを比較します。

3世代目のRyzenが発売開始

7月7日に,AMDのCPU/APUであるRyzenシリーズの最新モデルが販売開始されました。大きくはGPU内蔵のCPU(APU)がRyzen 3 3200GとRyzen 5 3400G,CPUがRyzen 5 3600/Ryzen 5 3600X/Ryzen 7 3700X/Ryzen 7 3800X/Ryzen 9 3900Xに分かれます※1)⁠前者は前のモデル(Ryzen 3 2200G/Ryzen 5 2400G)のシュリンク版で大きな変化はなく,少しだけ高速化されたと謳われていますが,後者は新アーキテクチャのコア(Zen2)を採用して大幅に高速化されました。

※1
9月には最上位版である3950Xが販売開始予定です。なんと16コア32スレッドモデルです。

今回は,その少しだけ高速化されたはずのRyzen 5 3400Gと,従来の2400Gを比較してみます。

なぜ今回の比較を行うことになったかというと,Ryzen 5 2400Gは第510回でも紹介したように筆者のメインPCのAPUでしたが,やはり非力な感は否めず,少しでも速くなるのなら,と藁をも掴む思いで3400Gをを購入したのです。そのため,筆者の期待どおりの速度向上が見られるかどうかが一つのポイントとなります。

あと新APUは新CPUの影に隠れて目立たず,あまりベンチマークなどの情報が出回っていないので,興味があったというのも事実です。

Ryzen 5 3400Gは発売されたばかりで価格が高いですが,2400Gであれば充分に価格が下がっているため,あまり変わりがないのであれば新規に購入する場合でも後者のほうがお得です。

参考情報としては,今回の話とは無関係ですが,新CPUにはバグがあって,新しめのUbuntuだとブートしません。19.04ではこの不具合は修正されており,HDD/SSD等のドライブを別のPCに接続し,インストールした上でアップデートを適用し,新CPUを搭載したPCに接続してブートするといいでしょう。のちにUEFI BIOSのアップデートで根本的な解決が図られる見込みです。

新APUは18.04 LTSでも問題はありませんが,必ず18.04.2以降のカーネル(4.18以降)を使ってください。UEFI BIOSのバージョンによっては起動しないためです※2)⁠

※2
3400Gを使用する場合は18.04.2以降のカーネル(4.18以降)が必須です。2400Gでは不要な場合もありますが,同じく18.04.2以降のカーネル(4.18以降)にしてからUEFI BIOSを上げておくのがおすすめです。

ベンチマークの条件

Ryzen 5 2400G PCは筆者のメインPCのため,検証環境を揃えるのが難しかったです。よって2台のPCに分かれたものの速度に影響を与えそうなパーツは統一する,という方針にしました。具体的には次の表のとおりです。ただし認識していても使用していないハードウェアの情報は除外しています。

ジャンル 検証PC1 検証PC2
CPU Ryzen 5 3400G Ryzen 5 2400G
マザーボード Gigabyte B450 I AORUS PRO WIFI ASRock AB350 Gaming-ITX/ac
メモリー ADATA AX4U320038G16-DB10 同左
SSD ADATA ASX7000NP-256GT-C 同左
ケース Cooler Master Elite 130 Cube IW-BP671B/300H
電源 玄人志向 KRPW-PT500W/92+ (ケースの添付品)

前述のようにRyzen 5 3400Gを使用する場合,対応したUEFI BIOSのバージョンに上げておく必要があります。CPUを交換する場合は事前にバージョンアップを忘れないでください※3)⁠新規に購入される場合はアップデート済みのものを購入するか,ショップによってはバージョンアップサービスもありますので適宜利用してください。

※3
ついでにUEFI BIOSの設定も初期化されるので,忘れずに戻す必要があります。例えばVirtualBoxなどの仮想化ソフトウェアの挙動に影響します。

今回使用したSSDはNVMe SSDであり,原則としてはマザーボードに直結するものです。しかし,AB350 Gaming-ITX/acではマザーボードの背面に取り付ける必要があり,取り外しが非常に困難です。そこで,玄人志向のM.2-PCIeに接続した上でPCI-Eスロットに接続しています。B450 I AORUS PRO WIFIはマザーボードの表面に取り付けられるため,直結しています。

AX4U320038G16-DB10はいわゆるオーバークロックメモリーで,UEFI BIOSで設定しないとそのパワーを発揮することができません。B450 I AORUS PRO WIFIの設定方法は図1を,AB350 Gaming-ITX/acの設定方法は図2をご覧ください。

図1 B450 I AORUS PRO WIFIでは「Extreme Memory Profile(X.M.P.)」「Profile1」にして保存する。ただし今回の例の場合で,プロファイルは複数あることもあるようだ

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図2 AB350 Gaming-ITX/acでは「OC Tweaker」タブの「Advanced Frequency Setting」⁠-⁠Load XMP Setting」「XMP 2.0 Profile 1」にして保存する

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使用したベンチマーク

使用したベンチマークは,Phoronix Test Suiteです。執筆時点で最新版の8.8を使用しました。

GPUのテストに関してはおおむね第528回に準拠しますが,使用したUbuntuが19.04のためプロプライエタリなドライバーであるAMDGPU-PROは使用していません。

具体的に実行したテストの項目は次のとおりです。

pts/john-the-ripper-1.7.0
pts/x264-2.5.0
pts/compress-7zip-1.7.0
pts/build-linux-kernel-1.9.1
pts/llvm-test-suite-1.0.0
pts/encode-mp3-1.7.3
pts/system-decompress-xz-1.0.2
pts/xsbench-1.0.0
pts/supertuxkart-1.5.2
pts/unigine-heaven-1.6.4
pts/unigine-valley-1.1.7
pts/glmark2-1.1.0

実際には実行したもののうまく動かなかったので落としたテストや,結果が明らかにおかしかったので落としたテストもあります。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese TeamとLibreOffice日本語チームのメンバー。LibreOffice,VirtualBox,Joplin,Budgieデスクトップなどの翻訳を手がける。技術同人サークルteam zpn主宰。ほか原稿執筆を少々。