今回は第103回以来11年ぶりにバックアップツールである「Déjà Dup」(以降「Deja Dup」)を紹介します。
Deja Dupとは
Deja DupはUbuntuにあらかじめインストールされているバックアップツールです。主にユーザーが作成したファイルやフォルダーをバックアップとそれを復元するためのアプリケーションです。
第103回にもあるようにUbuntu 9.04からリポジトリに入り、11.10からデフォルトのバックアップツールとなりました。
Deja Dupはわりと大きな変更を繰り返してきたアプリケーションであり、バージョン42からはユーザーインターフェースが大幅に変更されました。また長らくdeprecated(非推奨)だったAmazon S3またはその互換オブジェクトストレージにバックアップする機能も削除されました。
Deja DupはUbuntuのリポジトリのほか、Snapパッケージでも提供されています。後者は現在サポートされているすべてのUbuntuのバージョンで最新版(本記事の執筆段階では42.7)が使用できます。
そんな理由から、11年ぶりに紹介する価値があるように思いました。
ただし仮想マシンのような巨大なファイルが多い場合はrsyncでバックアップを取ったほうがいいでしょう。またシステム全体のバックアップには第588回で紹介したTimeShiftがおすすめです。
インストール
今回はSnapパッケージを使ってDeja Dupをインストールします。Ubuntuは20.04 LTSを使用しますが、このインストールだけは各Ubuntuのバージョンによって異なります。
Ubuntu 20.04 LTS(またはそれ以降)ではUbuntuソフトウェアを起動し、左側にある虫眼鏡アイコンをクリックして「deja」と入力し、検索します。すると「Déjà Dup バックアップツール」がヒットします(図1)。
インストールされている場合はここをクリックして「削除」をクリックしてください(図2)。もちろん必須ではありませんが、残しておいてもメリットはないでしょう。
右上の「ソース」の横が「latest/stable」になっていない場合は、▼をクリックして「Snapストア」の「チャンネル latest/stable」を選択してください(図3)。「インストール」をクリックするとSnapパッケージ版がインストールされますので、しばらくお待ちください。
バックアップの設定
ではDeja Dupを起動し、バックアップの設定をおこないます。バックアップ先は前述のとおり現在はAmazon S3やオブジェクトストレージの類は選択できず、オンラインストレージサービスではGoogleドライブのみが選択できます。
まずは例としてこのGoogleドライブでの設定方法を解説します。無料で15GBまで使用できるため、バックアップの対象が数GB以内であれば充分に足りるでしょう。
Deja Dupは「バックアップ」という名称になっているため、これを起動します(図4)。「最初のバックアップを作成」をクリックしてください。
まずはバックアップ対象のフォルダーを選択します(図5)。基本的にはこのままでいいでしょうが、必要に応じて変更してください。このあたりは使用方法によって異なるため一般化は難しいですが、キャッシュフォルダー(~/.cache)を「無視するフォルダー」に追加するといいでしょう。バックアップ時間の短縮にもなります。
「進む」をクリックするとバックアップ先の設定になります(図6)。前述のとおりここでは「Googleドライブ」のままで「進む」をクリックしてください。「フォルダー」はよほどの理由がない限り変更しないほうがいいでしょう。
Googleドライブを選択した場合は「アクセス許可」を行う必要がありますので、図7のボタンをクリックしてください。Googleにログインするページが表示されるので(図8)、ユーザー名(メールアドレスまたは電話番号)を入力して「次へ」をクリックしてください。
その後パスワードを入力して「次へ」をクリックしてください(図9)。「権限の付与」は、もちろん「許可」をクリックしてください(図10)。続けて「許可」をクリックするとアクセス許可は完了です(図11)。
Deja Dupに戻り、バックアップのパスワードを指定してください(図12)。Googleドライブであれば不要かもしれませんが、可能な限り設定したほうがいいでしょう。NASバックアップするような場合には必須と考えてください。
ここまで設定が完了すると、バックアップが実行されます(図13)。
ほかの保存場所
以前のバージョンほどではありませんが、現在のバージョンもいくつかの方法で保存先を設定できます。ここでは設定例を紹介します。もちろんパスワードを設定する必要もあるのですが省略します。
WebDAVの場合
WebDAVに対応したNASを使用する場合はもちろん、オンラインストレージでもWebDAVに対応したサービスがあります。具体的にはTeraCLOUDで、こちらは無料で10GB、紹介コードを使用すると15GBまで使用できます。
設定例は図14です。WebDAVの場合は「dav://」から始めますが、セキュアWebDAVの場合は「davs://」になりますので気をつけてください。
SMBの場合
結局このパターンが一番多いでしょうか。家庭内にあるSMB接続のNASに保存する場合、あるいはWindowsの共有フォルダーに保存する場合はこの設定になります。設定例は図15です。
設定の変更
設定の変更は右上にある「≡」のようなアイコンのハンバーガーメニューにある「設定」をクリックしてください。
「General」タブでは、設定全般を変更できます(図16)。「バックアップの保持」「自動的にバックアップする」「自動バックアップの頻度」はいずれも重要な設定なので、適切な設定を行ってください。特に「バックアップの保持」は「期限なし」だと少し長すぎるため、「最低3ヶ月」などに変更するといいでしょう。「Folders」タブは図6と同じです。
復元
ファイルやフォルダーを復元する場合は、「復元」タブをクリックしてください(図17)。
右下の日付からいつの時点のバックアップを復元するかを選択し、実際に復元するファイルやフォルダーを選択してください。すると左下の「復元」がクリックできるようになるため、ここをクリックすると復元場所を選択できます(図18)。
次のバージョン
このように第103回と比較すると、あらゆることが変わっていることがわかります。今後はGTK4対応やMicrosoft OneDrive対応などが、次のバージョン(44)で予定されています。