Ubuntu Weekly Recipe

第653回Déjà Dupで簡単バックアップ 2021年版

今回は第103回以来11年ぶりにバックアップツールである「Déjà Dup」⁠以降「Deja Dup⁠⁠)を紹介します。

Deja Dupとは

Deja DupはUbuntuにあらかじめインストールされているバックアップツールです。主にユーザーが作成したファイルやフォルダーをバックアップとそれを復元するためのアプリケーションです。

第103回にもあるようにUbuntu 9.04からリポジトリに入り、11.10からデフォルトのバックアップツールとなりました。

Deja Dupはわりと大きな変更を繰り返してきたアプリケーションであり、バージョン42からはユーザーインターフェースが大幅に変更されました。また長らくdeprecated(非推奨)だったAmazon S3またはその互換オブジェクトストレージにバックアップする機能も削除されました。

Deja DupはUbuntuのリポジトリのほか、Snapパッケージでも提供されています。後者は現在サポートされているすべてのUbuntuのバージョンで最新版(本記事の執筆段階では42.7)が使用できます。

そんな理由から、11年ぶりに紹介する価値があるように思いました。

ただし仮想マシンのような巨大なファイルが多い場合はrsyncでバックアップを取ったほうがいいでしょう。またシステム全体のバックアップには第588回で紹介したTimeShiftがおすすめです。

インストール

今回はSnapパッケージを使ってDeja Dupをインストールします。Ubuntuは20.04 LTSを使用しますが、このインストールだけは各Ubuntuのバージョンによって異なります。

Ubuntu 20.04 LTS(またはそれ以降)ではUbuntuソフトウェアを起動し、左側にある虫眼鏡アイコンをクリックして「deja」と入力し、検索します。すると「Déjà Dup バックアップツール」がヒットします図1⁠。

図1 ⁠deja」で検索する
図1

インストールされている場合はここをクリックして「削除」をクリックしてください図2⁠。もちろん必須ではありませんが、残しておいてもメリットはないでしょう。

図2 Deja Dupがあらかじめインストールされている場合は削除する(推奨)
図2

右上の「ソース」の横が「latest/stable」になっていない場合は、▼をクリックして「Snapストア」「チャンネル latest/stable」を選択してください図3⁠。⁠インストール」をクリックするとSnapパッケージ版がインストールされますので、しばらくお待ちください。

図3 ⁠ソース」を切り替えてSnapパッケージ版を選択する
図3

バックアップの設定

ではDeja Dupを起動し、バックアップの設定をおこないます。バックアップ先は前述のとおり現在はAmazon S3やオブジェクトストレージの類は選択できず、オンラインストレージサービスではGoogleドライブのみが選択できます。

まずは例としてこのGoogleドライブでの設定方法を解説します。無料で15GBまで使用できるため、バックアップの対象が数GB以内であれば充分に足りるでしょう。

Deja Dupは「バックアップ」という名称になっているため、これを起動します図4⁠。⁠最初のバックアップを作成」をクリックしてください。

図4 Deja Dupの起動直後
図4

まずはバックアップ対象のフォルダーを選択します図5⁠。基本的にはこのままでいいでしょうが、必要に応じて変更してください。このあたりは使用方法によって異なるため一般化は難しいですが、キャッシュフォルダー(~/.cache)「無視するフォルダー」に追加するといいでしょう。バックアップ時間の短縮にもなります。

図5 バックアップ対象のフォルダーを選択する
図5

「進む」をクリックするとバックアップ先の設定になります図6⁠。前述のとおりここでは「Googleドライブ」のままで「進む」をクリックしてください。⁠フォルダー」はよほどの理由がない限り変更しないほうがいいでしょう。

図6 ここでは「Googleドライブ」を選択する
図6

Googleドライブを選択した場合は「アクセス許可」を行う必要がありますので、図7のボタンをクリックしてください。Googleにログインするページが表示されるので図8⁠、ユーザー名(メールアドレスまたは電話番号)を入力して「次へ」をクリックしてください。

図7 ⁠アクセスを許可」をクリックする
図7
図8 メールアドレスまたは電話番号を入力する
図8

その後パスワードを入力して「次へ」をクリックしてください図9⁠。⁠権限の付与」は、もちろん「許可」をクリックしてください図10⁠。続けて「許可」をクリックするとアクセス許可は完了です図11⁠。

図9 パスワードを入力する
図9
図10 ⁠許可」をクリックする
図10
図11 ここでも「許可」をクリックする
図11

Deja Dupに戻り、バックアップのパスワードを指定してください図12⁠。Googleドライブであれば不要かもしれませんが、可能な限り設定したほうがいいでしょう。NASバックアップするような場合には必須と考えてください。

図12 バックアップにパスワードを設定する
図12

ここまで設定が完了すると、バックアップが実行されます図13⁠。

図13 初回バックアップを実行中
図13

ほかの保存場所

以前のバージョンほどではありませんが、現在のバージョンもいくつかの方法で保存先を設定できます。ここでは設定例を紹介します。もちろんパスワードを設定する必要もあるのですが省略します。

WebDAVの場合

WebDAVに対応したNASを使用する場合はもちろん、オンラインストレージでもWebDAVに対応したサービスがあります。具体的にはTeraCLOUDで、こちらは無料で10GB、紹介コードを使用すると15GBまで使用できます。

設定例は図14です。WebDAVの場合は「dav://」から始めますが、セキュアWebDAVの場合は「davs://」になりますので気をつけてください。

図14 WebDAVでの設定例
図3

SMBの場合

結局このパターンが一番多いでしょうか。家庭内にあるSMB接続のNASに保存する場合、あるいはWindowsの共有フォルダーに保存する場合はこの設定になります。設定例は図15です。

図15 SMBでの設定例
図3

設定の変更

設定の変更は右上にある「≡」のようなアイコンのハンバーガーメニューにある「設定」をクリックしてください。

「General」タブでは、設定全般を変更できます図16⁠。⁠バックアップの保持」⁠自動的にバックアップする」⁠自動バックアップの頻度」はいずれも重要な設定なので、適切な設定を行ってください。特に「バックアップの保持」「期限なし」だと少し長すぎるため、⁠最低3ヶ月」などに変更するといいでしょう。⁠Folders」タブは図6と同じです。

図16 General(全般)の設定
図3

復元

ファイルやフォルダーを復元する場合は、⁠復元」タブをクリックしてください図17⁠。

図17 ⁠復元」ではフォルダー状に表示される
図3

右下の日付からいつの時点のバックアップを復元するかを選択し、実際に復元するファイルやフォルダーを選択してください。すると左下の「復元」がクリックできるようになるため、ここをクリックすると復元場所を選択できます図18⁠。

図18 復元する場所を選択する
図3

次のバージョン

このように第103回と比較すると、あらゆることが変わっていることがわかります。今後はGTK4対応やMicrosoft OneDrive対応などが、次のバージョン(44)で予定されています。

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