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第664回 スマートフォンをWebカメラとして使う

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リモートワーク時代の三種の神器のひとつがリモートミーティング用のWebカメラです。今回はWebカメラとしてスマートフォンを使ってみましょう。

スマートフォンをWebカメラ化する「DroidCam」

リモートワークでは個々の勤務地が物理的に離れたところになるため,どのようにコミュニケーションを取るかが重要な要素となってきます。とは言え,ネットワーク越しのコミュニケーションはパソコン通信・インターネットの世界においては当然のごとく行われてきました。

電子メールや電子掲示板など文字中心のやりとりも,チャット※1やインスタントメッセンジャー※2のようにリアルタイム性の高いもの,各種SNS※3やアバター・音声・動画※4による通話などが登場します。インターネットの普及と回線の増強に伴い,できるだけリアルタイムに,声や顔も見える形のコミュニケーション手段が充実していったのです。

※1
wall/writeコマンドやIRCなど。
※2
ICQとかMSNメッセンジャーなど。
※3
MixiとかGoogle Waveなど。
※4
各種MMORPGやSecond Lifeなど……ここまでの例示に対する異論は認めます。

どの手段も「メインに利用していた世代」がいるので,その人を捕まえられればいろいろとコミュニケーションに関する面白い話を聞けることでしょう。そして2021年の現役世代から面白い話を聞ける可能性が高いのは「リモートワークのための環境構築」話となります。

今回紹介するのはそんなリモートワーク環境における三種の神器のひとつである「Webカメラ話」です※5⁠。

※5
リモートワークの三種の神器の残りには,高性能マイク・太い回線・腰に優しい椅子・広い机・美白光源・世界を映す緑色の布・カメラに映り込むネコなどが存在します。

実際のところリモートのミーティングにおいては,ノートPCについているWebカメラで十分です。一般的に,相手側に映る映像もそこまで解像度は高くありません。しかしながらPCにカメラがついてないこともあるでしょうし,そもそもリモートミーティングの負荷が高いために,より高性能なデスクトップマシンで動かしたいという要望もあるでしょう。そうすると何らかの外部カメラが必要になります。

もちろん普通のWebカメラだけでなく,ビデオカメラや一眼レフカメラといったより高性能なカメラを使うという方法もあります。第619回のHDMIキャプチャーボードでZoomへの配信映像を加工するなどで紹介しているように,デバイスのHDMI出力をPC側に入力しWebカメラ化,それをミーティングソフトで出力・共有する方法です。しかしながらよっぽどのお金持ちか,子どもがいる家庭でもない限り,ビデオカメラや一眼レフカメラ持っていることはまれしょう。

しかしながらそんなご家庭にも,おそらく常備されているであろう「外部カメラ」が存在します。そうスマートフォンですね※6⁠。

※6
ハイエンドな一眼レフカメラやレンズほどではないものの,カメラ性能が高いスマートフォンもそれなりに高価な品物です。なお,いわゆる「ガラケー」と呼ばれる古い機種は今回の用途にはおそらく使えません。よってスマートフォンも持っていない場合は,素直にWebカメラを買いましょう。⁠授業のためにリモートミーティングしないといけないからスマホ買って」はおそらく通じません。

スマートフォンをWebカメラ化するアプリケーションはたくさん存在します。基本はスマートフォン側にアプリケーションをインストールし,USBやWiFiを経由してPCと通信し,PC側の専用クライアントを経由してOS側にマイク付きのWebカメラとして見せる,という流れになります。その中で今回はDroidCamを紹介しましょう。実はDroidCamには,公式のLinuxクライアントが用意されているからです。

DroidCamのスマートフォン向けアプリケーションはFLOSSではないものの,Linux版クライアントのほうはGitHubでGPL2ライセンスのソースコードが公開されています。必要に応じて自分でカスタマイズすることも可能なので,いろいろな用途に使えるでしょう。またOBS用のプラグインも存在するようです。

さらに有償版のDroidCamXを購入すると,広告の非表示や解像度の向上などを含む機能の強化が行われます。

スマートフォン側にアプリケーションをインストールする

まずはDroidCamをスマートフォンにインストールしましょう。といっても普通にアプリケーションをインストールするだけです。ここから先はAndroid版を想定して話を進めます。

図1 起動するとまずヘルプが
表示される

図1

起動するとまずはヘルプが表示されます。また写真と動画,音声の録音に対する機能を許可してください。

そうすると次のようなIPアドレスとURLを表示します。URLはDroidCamが,USB経由だけでなくHTTP over WiFi経由でもカメラ機能を提供しているためです。つまりIPカメラ的な使い方も可能になっています。言い方を変えると,初期設定ではDroidCamを起動したスマートフォンのIPアドレスさえわかれば,だれでもそのカメラの映像を参照できるのです※7⁠。

※7
DroidCam経由でカメラを表示している間は,通知領域にその旨が表示されます。

図2 準備ができるとアクセス用の
IPアドレス等が表示される

図2

気になるようなら画面右上のケバブメニュー(縦に3個のドットが並んでいるボタン)から設定を選び,⁠IP Webカメラ」のユーザー名やパスワードを設定しておくと良いでしょう。残念ながらIPカメラ機能そのものをオフにする方法は存在しないようです。

ちなみにケバブメニューの左にあるアイコンをクリックすると,リアとインのどちらのカメラを使うかを選択できます。

動作確認を兼ねて,⁠IP Cam Access」のURLにアクセスしてみましょう。/videoはMJPEGによる配信のようなのでVLCなどのMJPEGに対応したソフトウェアが必要です。Webブラウザーなら/videoなしにアクセスすると良いでしょう。

図3 スマートフォンのカメラの映像を表示しているPCをスマートフォンのカメラで写している状態をスクリーンショットで撮影

図3

DroidCamはランドスケープモード(横置きの映像)での配信のみに対応しているようです。普通にスマートフォンを縦置きのままカメラを向けると映像が90度回転してしまうので注意してください。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。