今回はUrBackupでUbuntuでもイメージバックアップを取る方法を紹介します。
ランサムウェア対策の重要性
ランサムウェア対策として第722回でUrBackupを紹介しました。もう1年以上前のことになります。
大変残念なことに、この1年の間に具体的に大きなランサムウェアの被害が報告されています。具体的には述べませんが、大きな医療機関や業界における随一のSaaS提供業者、港を管理するシステムは大きく報道されたのでご存じの方も多いでしょう。そして報道されないだけで、さまざまな組織が大小を問わず被害に遭っています。
きっかけはネットワーク上の問題であったとして、各サーバーや端末が迅速に復旧可能であれば、心強いというものです。そこで、Ubuntuでもシステムまるごとバックアップを取得する方法を紹介することにしました。
UrBackupのおさらい
第722回ではUrBackupのインストール方法と、Windowsでのイメージバックアップ取得方法、リストア方法、Ubuntuでのファイルバックアップ方法を説明しました。UrBackupのバージョンは2.
イメージバックアップのいいところは、OSまるごとバックアップが取れているので復元して使用再開できるまでの時間が最短であるところです。ただし、これから詳細を述べますが、当時のUrBackup
その後まもなくリリースされたUrBackupのバージョン2.
イメージバックアップを取るための条件
Ubuntuでイメージバックアップを取るための条件は、フォーラムの書き込みによるとサーバークライアントともに2.
dattobdことDatto Block Driverは、簡単に解説すればファイルシステムのスナップショットを作成するための仕組みです。なおDattoは企業名です。Dattoが自社製品のために開発した仕組みが、いろいろなところで使われているようです。
余談ですが、いくつかの派生版もあってelastio-snapはかなりアグレッシブに開発されているものの、UrBackupでの使用はうまく行ってないようです。またSynologyが自社向けNASに展開しているActive Backup for BusinessはLinux対応版もありますが、ここではsynosnapというフォーク版を採用しているようです。
dattobdの注意点としては、最新版のカーネルに対応しないことです。Ubuntu 22.
Ubuntu 22.
ということは、Ubuntu 22.
カーネルのバージョンを下げる方法は詳しく紹介しませんが、
dattobdのビルド
dattobdはパッケージも用意も用意されていますが、パッケージを自分でビルドするのがオススメです。dattobdは比較的リリースタイミングが長いため、開発版を即試したいことになりえるのと、比較的ビルドが簡単だからです。
パッケージのビルドにはdebbuildというUbuntuのリポジトリにはないパッケージが必要なので、事前に取得しておきましょう。
debbuildをダウンロードしたフォルダーにビルド環境を作ると仮定して、次のコマンドを実行してください。
$ sudo apt install rsync git $ sudo apt install ./debbuild_(バージョン)_all.deb $ git clone https://github.com/datto/dattobd.git $ cd dattobd $ make deb
通常rsyncパッケージがインストールされていないという自体は想定しにくいのですが、何らかの事情でクリーンな環境でビルドする場合には必要なパッケージです。
ビルドしたパッケージは、pkgbuild/
~/dattobd/pkgbuild/DEBS$ find . . ./all ./all/dattobd-dkms_0.11.3-1ubuntu22.04_all.deb ./amd64 ./amd64/dattobd-utils_0.11.3-1ubuntu22.04_amd64.deb ./amd64/libdattobd1_0.11.3-1ubuntu22.04_amd64.deb ./amd64/libdattobd-dev_0.11.3-1ubuntu22.04_amd64.deb
このうち、3つのパッケージを、次のコマンドを参考にしてバックアップしたいUbuntuにインストールしてください。バージョンが違う場合は適宜読み替えてください。
$ sudo apt install ./all/dattobd-dkms_0.11.3-1ubuntu22.04_all.deb ./amd64/dattobd-utils_0.11.3-1ubuntu22.04_amd64.deb ./amd64/libdattobd1_0.11.3-1ubuntu22.04_amd64.deb
UrBackupサーバー
UrBackupサーバーのインストールについては、第722回ではOBSからパッケージを取得する方法を紹介しましたが、現在はPPAがありますので、こちらを利用するのが簡単です。次のコマンドを実行してください。
$ sudo add-apt-repository ppa:uroni/urbackup $ sudo apt install urbackup-server
バックアップを置くフォルダーを指定するのは、OBSからインストールした場合と同様です。
Ubuntuでイメージバックアップを取得する
では実際にバックアップを開始しましょう。まずはバックアップしたいUbuntuでUrBackupサーバーに接続します
「Add new client」
クライアントをインストールするコマンドラインが表示されるので、
スナップショットを取得する方法を質問されるので、
ただし、この状態だとクライアントの起動に失敗しています
設定が足りないからで、次のコマンドでサーバーのホスト名を追加すると起動するようになります。
$ sudo sed -i 's/internet_server=/internet_server=(サーバーのホスト名)/' /usr/local/var/urbackup/data/settings.cfg
dattobdをインストールしていなければここでインストールして、再起動するか次のコマンドを実行してください。
$ sudo systemctl restart urbackupclientbackend.service $ sudo modprobe dattobd
UrBackupサーバーを確認し、先ほど追加したクライアントの
そしてバックアップしたいクライアントの左側にチェックを入れ、
バックアップは
バックアップが完了すると、
リストア方法
リストア方法に関しては、第722回を参考にしてください。ファイル単位でリストアしたい場合は、上部の
そしてその下部にある
なお、この機能はあまり行儀がいいといえず、ファイルシステムにマウントするもののアンマウントする機能はなく、再起動しない限りマウントしたままとなります。使用は最低限に抑えるのがいいでしょう。