今回は新たに専用クライアントがリリースされるようになったNextcloud Notesと、セキュリティの要である二要素認証の設定方法について説明します。
Nextcloudとメモを取るアプリ
筆者にはいまいちよく理解できないのですが、世の中にはメモを取るアプリ(英語だとnote-taking apps)がたくさんあります。本当にたくさんあります。
「取ったメモは複数の端末から参照できるといいよね」ということで、Nextcloudはメモ置き場としてもぴったりなわけです。Nextcloudにメモが置けるアプリとしては、第530回でQOwnNotesを、第536回でJoplinを紹介しました。今から5年ほど前の記事ですが、いずれも引き続き活発に開発が行われています。Joplinは筆者も原稿のネタや調査結果をメモするために日常的に使用しています。
Nextcloud NotesはあくまでNextcloudの1機能として使用するだけで専用のアプリなどは用意されていませんでした。しかしNextcloud Hub 4(バージョン26)からはコアに取り込まれてRest APIをサポートしました。よって公式非公式を問わずいくつかのアプリがリリースされています。Ubuntuで使用するならIotasがおすすめです。
そこで今回は、Nextcloud Notes+Iotasでメモを取る方法を紹介します。
さらにパスワードやメモのような重要なものをNextcloudに置くと、セキュリティが心配になってきます。Nextcloud Notesにあるポエムが流出してしまうと、恥ずかしくて表を歩けなくなってしないますからね。というわけで、二要素認証を設定する方法も紹介します。自分のデータは自分で守っていきましょう。
Nextcloud Notesのセットアップ
ではNextcloud Notesをセットアップしましょう。「アプリ」の「Office&テキスト」にある「Notes」を開き、「ダウンロードして有効にする」をクリックしてください(図1)。
すると上部に鉛筆上のアイコンが増えるので、そこをクリックすると「ノート」が開きます(図2)。せっかくなので最初のノートを書いてみましょう(図3)。
Iotasのセットアップ
IotasはUbuntu 23.10開発版からパッケージがありますが、22.04 LTSなどではFlathubからインストールするのがおすすめです。リリースされたばかりでバージョンアップも頻繁にあるため、それに追随してくれるのが嬉しいです。
FlathubからインストールするためにはFlatpakのセットアップが必要です。もしまだの場合は端末を起動して次のコマンドを入力してください。
$ sudo apt install flatpak gnome-software-plugin-flatpak
$ flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://dl.flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo
完了後Ubuntuを再起動してください。
インストールは「ソフトウェア」(「Ubuntuソフトウェア」ではなく)から行うといいでしょう。「ソフトウェア」を起動し、「iotas」などで検索すると見つかります(図4)。
「インストール」をクリックしてしばらく待つと完了します。早速起動してみましょう(図5)。
なかなかにシンプルです。まずは何を差し置いてもNextcloud Notesと接続しないといけないため、ハンバーガーメニューの「Sync with Nextcloud Notes」をクリックしてください(図6)。
別ウィンドウが起動しますので、「Continue」をクリックします(図7)。NextcloudサーバーのURLを入力して「Continue」をクリックします(図8)。
Webブラウザーが開き、Nextcloudのログイン画面になります(図9)。ログインすると、あるいはすでにログインしている場合は「アクセスを許可」が表示されるので(図10)、ここをクリックしてIotasを使用できるようにします。
Iotasに戻ってきて「Finish」をクリックします(図11)。図3にある最初のノートが表示されるので、確実に同期できていることがわかります(図12)。
Iotasは現段階では極めてシンプルなアプリで使い方を紹介するまでもありませんが、ひとまずスペルチェックは切っておいたほうがいいでしょう。「テキストエディター」も同様ですが、日本語にまで英語のスペルチェックをかけています。ハンバーガーメニューの「Preferences」からスペルチェック(Check Spelling)をオフにできます(図13)。
二要素認証
Nextcloudが対応している二要素認証の方式はいくつかあります。今回はおそらくほかの用途でセットアップ済みの可能性が高く、使いやすそうなTwo-Factor TOTP Providerを紹介します。TOTPに対応したアプリケーションを事前に用意しておいてください[1]。
「アプリ」-「セキュリティ」から「Two-Factor TOTP Provider」を有効にします(図14)。あるいは「無効なアプリ」からでも有効にできます。
「管理者設定」-「個人」-「セキュリティ」に「二要素認証」という項目が増えており、「TOTP」があるので「TOTP有効化」にチェックを入れます(図15)。
するとQRコードが表示されるので、TOTPアプリでスキャンして表示した数字をその下の欄に入力して「検証」をクリックします(図16)。これで「TOTP有効化」にチェックが入るので使用できるようになります(図17)。一緒にバックアップコードも生成して保存しておくといいでしょう。
これでログイン時にTOTPを使用するようになりました(図18)。ただし二要素認証が必須というわけではないので、都合のいいタイミングで「管理者設定」の「セキュリティ」で「二要素認証を強制する」を有効にするといいでしょう(図19)。
アプリパスワード
二要素認証が使えないアプリを使用する場合、具体的にはGNOME Shellのオンラインアカウントを使用する場合は、「個人」-「セキュリティ」でアプリパスワードを追加します。
「個人」-「セキュリティ」を開いて一番下までスクロールし、入力フォームに区別がつきやすい名称を入力して「新しいアプリパスワードを作成」をクリックします。ここでは「GNOME」としています(図20)。
これだけの操作でユーザーIDとパスワードが表示されるので、パスワードを控えて「完了」をクリックします(図21)。
GNOMEの「設定」-「オンラインアカウント」にある「Nextcloud」をクリックして表示されるダイアログにサーバーのURLとユーザー名とアプリパスワードを入力し、「接続」をクリックしてください(図22)。するとオンラインアカウントが有効になります。
もしアプリパスワードを何らかの理由で無効にしたくなったら、「デバイスとセッション」にある該当のセッション名の右端にあるミートボールメニューを開き、「取り消す」をクリックします。