インターネットって何だろう?

第9回ネット間接続ってこういうことか! AS(Autonomous System)

前回も軽く触れましたが、ルーティングにはネットワーク内のルーディングであるIGP(Interior Gateway Protocol)「ネットワーク間」のためのEGP(Exterior Gateway Protocol)があります。

一般的に利用されるIGPにはいくつかの種類がありますが、EGPとして利用されているプロトコルのほとんどはBGP(Border Gateway Protocol)です。今回は、組織間接続手法としてBGPを簡単に説明します。

BGP概要

組織内での利用になるIGPと異なり、EGPであるBGPは組織間を接続するのが一般的です。組織内では「最も近い経路が良い」という選択肢が多くなりますが、組織間になると「お金」が絡んだり「政治」が絡んだりします。BGPは、このような「ポリシー」を考慮した設定が可能なプロトコルです。

BGPはパスベクター(Path Vector(型プロトコルと呼ばれています。ネットワークを単位としたパスの列を指定して経路を計算します。ここでの「ネットワーク」はAS(Autonomous System:自律システム)と呼ばれるものです。たとえばISPなどが代表的なASです。

ASには世界で一意(他の人と被らない)の番号が割り振られます。割り振られた番号はAS番号と呼ばれます。 AS番号を割り振るのはNIC(Network Information Center)と呼ばれる組織で、地域毎に存在しています。たとえば、日本のNICとしてはJPNICがあります。 JPNICが管理しているAS番号と割当組織は「JPNIC : AS番号リスト」をご覧ください。

こんな感じです

以下、例を出しながら説明を行います。なお、以下に登場するIPアドレスやAS番号はいい加減な値なのでご注意ください。

BGPは通過するASの列で経路を表現します。たとえば、17.0.0.0/9というネットワークがあったとき、AS300が17.0.0.0/9のトラフィックを受信するには、AS200を通過してAS100へという感じになります図1:番号は架空のものです)。図1では、各ASを通過する毎にAS番号がネットワーク経路の先頭に追加されています。このように、宛先ネットワークに対して通過するASの列ができあがっていきます。なお、図1のASは多数のノードが内部に存在するネットワークだと思ってください。たとえば、AS100、AS200、AS300、AS400はそれぞれ別々のプロバイダだと思ってください。

図1
図1

以前の例では、単純に数珠つなぎでしたが、普通はAS同士はもっと複雑なつながりをしています。以前の例を見ると、一見全てのAS pathが転送されているように見えますが、実際にはそうではありません。実際は、各ASはネットワークに対するベストパスを選択して、次のASへと知らせています。たとえば、以下の例では、AS800がAS900に伝える17.0.0.0/9へのAS pathは1つだけです。

図2
図2

ただし、注意

AS pathは、ベストパスを決定する際によも良く使われる指標です。しかし、AS_PATH以外の要素と合わせて「AS path的には最短ではないパス」がベストパスとして選ばれることもあるのでご注意ください。

※AS_PATHの話だけだと、⁠経路制御って、LocalPreferenceやMEDを上げ下げして複数あるピア先から受け取った経路情報を自分たちの運用ポリシーに従って最適化して行く事だよね?」と突っ込みが入りそうですが、ここでは割愛させてください。

次は実例で考えてみましょう

ASやBGPの話だけを読んでも、イマイチ良くわからないと思います。次回は、Googleの組織間接続の形態を推測するという実例を挙げながらASに関して解説しようと思います。

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