前回は、IPv4アドレス枯渇後にIPv4インターネットとIPv6インターネットの「二つのインターネット」が平行して運用されていくようになることを紹介しました。
今回は、そもそもIPv4アドレスが枯渇するという状況が、どのように発生するのかを紹介します。
そもそもIPアドレスはどうやって割り振りされてるの?
IPv4アドレス枯渇に関して知るには、まず「どうやってIPアドレスが割り振りされているのか?」を知る必要があります。
インターネットにおける識別子であるIPアドレスは、世界で一意である必要があります[1]。そのため「アナタはこのIPアドレスを使ってもいいですよ」という割り振りを一括して行う組織が必要になります。インターネットでは、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)がグローバルなIPアドレスの割り振りを行っています[2]。IANAはIPv4/IPv6両方の割り振りを行っていますが、ここではIPv4の説明だけを行います。
IANAがIPv4で割り振りるのは/8単位のIPアドレスです。/8ということは、16777216個のIPv4アドレスを表現できます。32ビット長のIPv4アドレスには、256個の/8アドレスブロックがあります。
しかし、IANAが世界中の細かい割り振りを全て行うわけではありません。それぞれの/8ブロックはRIR(Regional Internet Registry, 地域レジストリ)に割り振りられます。
RIRとしては以下の5つの組織があります。
- AfriNIC(アフリカ)
- APNIC(アジア太平洋地域)
- ARIN(アメリカ)
- LACNIC(ラテンアメリカ及びカリブ海地域)
- RIPE NCC(ヨーロッパ、中東、中央アジア)
RIRは/8アドレスブロックをさらにNIR(National Internet Registry, 国別レジストリ)に割り振ります。日本の国別レジストリはJPNICで、APNICに所属している組織という形になっています(ただし、JPNICはAPNICとIPv4アドレスの在庫を共有しています)。
国別レジストリは、新たなIPアドレス割り振りが必要になると、所属しているRIRからIPアドレスを受け取ります。国別レジストリは、RIRから受け取ったIPアドレスを国内の組織に割り振りるとともに「誰に割り振りたのか」の情報を管理します。
このような形でIPアドレスは世界的に管理され、複数の組織が同時に同じIPアドレスを使うという事態を避けています。
いつ枯渇するの?
IPv4アドレスの枯渇とは、このような仕組みで行われているIPv4アドレスの割り振りが、これ以上行えなくなる状態です。
このIPv4アドレス枯渇は段階的に発生します。まず、最初にIANAプールが枯渇し、次にRIR内での割り振り可能なIPv4アドレスが枯渇し、さらに国別レジストリでも枯渇します。
実際のIANAプールの枯渇という意味でのIPv4アドレス枯渇は2010年2月中に起こりました。APNICをはじめRIRでの枯渇も始まっている状況です。国別のレジストリの枯渇も近いと思われます。
最後に
今回は、IPv4アドレス割り振りの仕組みと、IPv4アドレスのIANAプール枯渇時期に関して紹介しました。次回は、地域によってIPv4アドレス枯渇の時期や、それによる影響の大きさが異なることを紹介します。