明後日のコンピューティングを知ろう ~Internet Forecast Report

第5回サーバを冷やす

今回は、日進月歩で進むサーバの高集積化と熱問題の今を取り上げます。IT業界で流れる噂話として、2022年にAMD社のCPUは1つのソケットあたり64コアを超えるであろうというものがあります。CPUの製造プロセスも10nmから5nmへ進むとはいえ、そのうえ消費電力も増加するようです。私たちが普段使っているクラウドの裏側にあるデータセンターではサーバが多数動作しており、日々その環境を維持するために、さまざまな設備で管理しています。その1つがサーバを安定して動作させるために必要な空調機設備です。これのおかげで24時間365日無停止で稼働できます。サーバは CPU やGPU、SSDやDIMM(メモリ)で構成されますが、計算処理を実行すると消費電力がそのまま熱変換されています図1⁠。

図1 サーバ内部の熱分布と空気の流れ
図1

少し視点を変えてサーバが動作する環境を考えると、データセンターという単位がクラウドを維持するための構成要素として見えてきます。データセンターはクラウド環境を無停止で運用するために、電力・ネットワーク・空調能力を常に維持し続けねばなりません。当然のことながら構成要素のすべてに電気が介在するものですので、保守・メンテナンスのため一部機能が停止する場合もあります。それでも私たちはクラウドを日々運用するため、サーバを年間を通して無停止で動作させる必要があるのです。このため、データセンターの電力・ネットワーク・空調のすべては、綿密に設計された立地条件をクリアした場所が選ばれており、さらに冗長化が高度になされています図2⁠。

図2 データセンターの構成要素と立地条件
図2

今でこそ、クラウド内のインスタンスを使い捨てするような時代になってしまいましたが、クラウドの中のサーバはデータセンターの機能により手厚く守られています。サーバもCPUの高集積化に伴い、搭載電源の大容量化が進んでいます図3⁠。

図3 サーバ搭載電源の大容量化(=熱密度の増加)
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クラウドを支えるデータセンターでは、日々増加傾向のサーバの熱密度との闘いが続いています。今後のクラウドとデータセンターの動向は、ITエンジニアとして押さえていかねばなりません。

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