明後日のコンピューティングを知ろう ~Internet Forecast Report

第9回CPUの見える

今回は、私たちのIT社会を支える縁の下の力持ち、CPUの今とこれからについて見ていきましょう。日本国内でのクラウドコンピューティング普及が始まってから間もなく10年が経過します。昨今ではサーバを物理的に設置してシステム構築する作業は、多くの場合でパブリッククラウド環境をコンソールから設定することに置き換わり、データセンターの中で稼働するCPUについて意識することも減ってきました。しかし、クラウドは、空の上の雲の中に無尽蔵に存在する計算機資源ではなく、データセンターに存在するサーバの中のCPUによってユーザーに向けて適切な計算機資源を提供するものです。最近のCPUのトレンドとして、多コア化と消費電力の増加が挙げられます。しかし、一般的に多量のサーバを導入して構築される大手パブリッククラウド事業者の場合、CPUの消費電力が増加していく傾向には、けっして無視できない背景があります。

日本国内でも、行政機関によりデータセンターの消費電力を大幅に低減することを目標とする提言が出されるなど、クラウドやデータセンターにおける温室効果ガス削減を命題としたカーボンニュートラルの話題が少し活発になってきています。一般的なクラウド事業者の傾向として、より多くのユーザーに対して計算機資源を最適な消費電力で提供するため、多コアかつ消費電力の低いCPUが採用されることがあります図1⁠。

図1 クラウド/データセンター向けCPU製品バリエーションとその採用動向の分布(推定)(2021年07月現在)
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次世代CPUでは、全体的な計算機性能は上がりつつ、消費電力も上がっていく傾向もあるため、今後クラウド事業者でも熟慮してCPU採用が行われていくことになるでしょう図2⁠。

図2 クラウド/データセンター向けCPU製品のコア数と消費電力のあらまし
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クラウドを取り巻く環境は、いまだIntel社のCPUが過半数を占めていますが、今後異なるアーキテクチャのCPUが普及していった場合、その特性などを少しでも理解していくと、より効率的なシステム活用の道筋が見つけられるかもしれません。今後のCPUアーキテクチャの進化にも、注目していきたいと思います図3⁠。

図3 CPUアーキテクチャの違いによるメモリアクセスの差異とその理解
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