明後日のコンピューティングを知ろう ~Internet Forecast Report

第10回サイジングの見える

今回は、私たちの社会を支えるITシステムのサイジング(リソースの見積もり・計画)について見ていきましょう。比較的浅いインターネットの歴史も四半世紀(25年)を経過しようとしていますが、それを支えるITシステムのサイジングについて、明確なセオリーが話されることは少なかったように思います。1つの理由として、インターネットの商業利用が拡大した1990年代末期は、そもそもインターネットユーザー数が少なく、サービスを共用するサーバ数などを明確に見積もることが難しかった時期であったと思います。当時拡大傾向にあったIT系ベンチャー企業が、がむしゃらにサーバを増強し、Webサービスの拡充を図っていたことが記憶に残っています。

私たちを取り巻くクラウド環境はここ10年で大きく変化しています。過去5年程度で全世界のサーバ出荷台数は2倍となり、国内においてはクラウドサービス利用が市場規模として2兆円に迫る勢いです図1⁠。

図1 日本国内および全世界におけるサーバ出荷と、国内パブリッククラウド市場規模(2021年8月推定)
図1

私たちを支えるITシステムの機械的な規模は、先ほど述べたとおり拡大していますが、それを詳細に分析してみると経済と地域性による変化も見えてきます。今回は例として、観光業/旅館業でのITシステムの状況を見ていきましょう。我が国は1億人を超える人口を抱え、過去のピーク時は海外旅行者に頼った活発な観光産業が1つの経済の柱となっていました図2⁠。

図2 日本国内における産業構造の見える化とサイジング
図2

これを詳細に解析すると、極めて少ない事業体や自治体の支援により、数兆円規模の経済効果を記録していたことが過去データから読み取れます。ここから、視点を変えて、ITシステムとしてユーザーを支えるための規模を推定すると、旅館業だけで1日あたり1億ビューを超えるWebシステムが必要になることがわかります。さまざまな立場でITシステムを支える私たちエンジニアには今後も、これら膨大なトラフィックと日々向き合っていく生活が続くことがわかります。引き続きこれら社会動向の変化に注目していきたいと思います。

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