総務省により最近見直された耐用年数の定義[1]によれば、地下埋設の光ファイバーは28年、海底光ファイバーは21年とされています。
インターネットが爆発的に普及を始めた1990年代以降、国内に増強された光ファイバー網も近い将来、耐用年数を迎えます。経済産業省によれば、政府主導によるデータセンターの地方分散とその誘致に前向きな地方公共団体は全国に広がりました
関東圏と関西圏に集中したデータセンターの最適配置や、地方に偏在する再生可能エネルギーの活用、全体システムとしての強靭化など、さまざまな視点から取り組みが進められています。
視点をシステム構築運用に切り替えて考えると、分散したシステムをどのように安定させていくか、ネットワークやシステムの冗長化設計など気にかかるところです。外資系のクラウド事業者等では、リージョン内の分散では東京と大阪を中心として50km圏内にそのすべての設備が置かれていると推定されています。
1990年代から学会などでは、東京と大阪でシステムやクラスタのデータ同期や連携などに取り組む研究報告も数多くなされていますが、具体的に商用化まで進んだモデルは筆者が知る限りあまり多くはありません。日本国内において、システムを構成する通信網とその情報については、詳細に公開されることはありません。今回は全国に分散したシステムを最適に構成させる例のため、学術情報ネットワークの網構成および海外海底ケーブル情報サイトを参考に強靭化の未来像を見える化してみました
全国網を持つ携帯電話事業者などでは、これら以上に最適化されたルートが、正副予備と3系統程度は保持されていると思いますが、拠点数も2桁未満のようなデータセンター事業者では、東京と大阪への2系統の光ファイバールート程度しか持たないのも一般的です。今後データセンターの地方分散が進むにつれ、データの分散処理のあり方、地方都市を結ぶ通信網構成と利用のあり方など議論が進むと筆者は期待しています。