明後日のコンピューティングを知ろう ~Internet Forecast Report

第20回位置情報

農林水産省がまとめる農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドラインでは、⁠ロボット農機に使用者が搭乗せずに無人で自動走行させる方法」が定義されており、その中で「衛星測位情報を利用して自動走行するもの」について運用方法などが細かく書かれています。

国土交通省海事局がまとめるAUVの安全運用ガイドラインでは、⁠人が操縦せずに全自動で水中を動ける無人ロボット」が定義されており、海難リスクなどを最小限に抑えて活動できることへの期待が述べられています。

私たちを取りまく社会は、だんだんと無人化・自動化に向けた準備も整ってきたと言えるでしょう。では、無人機たちが、これから活用し、普段私たちが何気なく使っている位置情報について、どこまで技術革新が進んでいったか、少し紹介しましょう。図1は、車両走行中において高精度GPSレシーバを用いて常時どれだけの衛星数をとらえているかを見える化したものです。

図1 移動時における高精度GPSレシーバの受信衛星数の推移(舗装道路限定)
図1

一般道を走行中も、普段から30程度のGPS衛星の電波が受信できていることがわかります。山間部など天空が遮られる場所では受信できる衛星数も減少しますが、サブメートル級精度の測位では十分な数かもしれません。時代は進み昨今では、GPS衛星からの電波をとらえる数多くの基準局を設け、それらからの情報を集約配信し、地殻変動量補正を加えるなどしてセンチメートル級精度を実現することも可能になりました。

図2は、スマートフォンと高精度GPSレシーバならびにインターネット経由で補正情報を加えた状態での測位ズレを見える化したものです。端末はまったく同じに、投入される測位情報の精度を変化させて同じ場所を徒歩で計測したものですが、極めて正確な位置情報を得られていることがわかります。いずれ近い将来、私たちと無人機であるさまざまな機械が共存する社会がすぐそこまで来ています。引き続き、当研究所は未来の形とその変化を見つめていきます。゚

図2 センチメートル級測位とそのしくみ(徒歩の場合)
図2

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