明後日のコンピューティングを知ろう ~Internet Forecast Report

第22回衛星コンステレーション

地球低軌道(LEO:Low Earth Orbit)を周回する通信衛星群により構成された、Space Exploration Technologies Corp.の衛星インターネットサービスである「スターリンク」の提供が、日本でも2022年10月から始まりました。総務省の技術基準適合証明などの情報によれば、スターリンクのサービスは14GHzの周波数を衛星とのデータ通信に用いるVSAT地球局という扱いになっています図1)。アンテナ部は日本上空を飛来する衛星を自動追尾するしくみが備わっており、すでに2,000機を超えると言われる衛星の電波をとらえています。アンテナ設置には、衛星をとらえられるだけの十分な天空のクリアランスが必要とされますが、遮蔽物しゃへいぶつが多い環境であっても、暫次接続が試みられます。世界のさまざまな環境での適応性を考慮してか、アンテナには本体を温める消雪機能まで備わっています。また国内において衛星へのデータ送受信を担う陸上設備は、日本全国の複数箇所に展開する計画のようです。

図1 スターリンクのレジデンシャルプランにおける初期設定風景
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スターリンクの衛星経由での通信性能は、ダウンロードで290Mbps付近、アップロードで17Mbps付近のスループットを出しています図2⁠。スマホ経由で測定を行いましたが、現在私たちが普段使いしている携帯電話網の使い勝手と速度面ではほぼ似たようなイメージであると思います。海外では、すでにスターリンクの設備を屋外に持ち出し、キャンプ場から接続を試みるなど、通信網の制約を受けない使われ方も始まっています。光ファイバーなどの有線通信網と異なりスターリンクは、災害等の突発的な通信設備の機能不全などにも強く、衛星経由でのデータ通信のあり方に今後の期待が持たれます。単位時間あたりでデータ通信が切断・復帰を繰り返す環境においては、今までにない通信方式やサービス設計・プロトコルの再発見の可能性もあり、地球低軌道を用いた新たな通信とサービスのあり方ならびにクラウドとの新たな連携など、引き続き注目していきます。

図2 衛星コンステレーションのしくみと未来の可能性(イメージ図)
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