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シャットダウンは15秒以内に ―Fedora、systemdのシャットダウンタイマーを短縮へ

Fedoraプロジェクトは現在、2023年4月に予定している次期リリース「Fedora Linux 38」に向けてさまざまなアップデートを計画しているが、とくにデスクトップ版において重要となる改善がユーザエクスペリエンス(UX)の向上である。そのひとつとして提案されているのがsystemdのタイムアウト処理を現在の2分から15秒に短縮するというものだ。Red Hatのエンジニアが中心となって開発を進めており、Fedoraプロジェクトの意思決定機関であるFESCoでの承認を待っている。

Changes/Shorter Shutdown Timer -Fedora Project Wiki

この問題はデスクトップ版を開発するWorkstationワーキンググループが2年以上に渡って取り組んできたもので、ユーザがシステムをシャットダウンしようとする際に特定のサービスがハングしてしまうと、そのサービスが最大で2分間にも渡ってシャットダウンをブロックする現象が発生する。ワーキンググループではこの問題を引き起こす最も一般的なサービスとして「PackageKit」を挙げているが、そのほかのサービスもシャットダウン時の遅延を引き起こすことがあるという。シャットダウンに2分という事態が、デスクトップユーザをイライラさせてしまうことは疑いない。

ワーキンググループではアップストリームのsystemdに対してタイムアウトの設定を変更するように働きかけたこともあったが、systemd開発者のLennart Poetteringが変更に難色を示したこともあって奏効せず、ダウンストリーム(Fedoraプロジェクト)の変更としてタイムアウト処理時間を最大2分から15秒に短縮し、これをマージししていくことを希望している。⁠ユーザが⁠シャットダウンする⁠と決めたなら、すべてのサービスはタイムリーに終了する必要がある。我々のワーキンググループでは、システムとユーザサービスの両方にとって、最大で15秒がもっとも適切な待ち時間だと考えている。また、Fedoraは適切な方法でシャットダウンされないバグやサービスに対して堅牢であるべきである」⁠The Workstation Working Group)

この提案に対して、サーバ版の開発者などから「サービスによっては、仮想化環境を管理するlibvirtが仮想マシン(VM)をシャットダウンするのに15秒では足りない可能性がある」というフィードバックも寄せられており、とくにデータベースの強制的シャットダウンなどは回避すべき事項であるため、エディション(デスクトップかサーバ)によって異なる構成ファイルをもてるようにするべきという意見も出ている。デスクトップ/サーバのいずれのユーザにとっても満足いくエクスペリエンス向上を図れるかどうかが、実装のカギになりそうだ。

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