Red HatとOracleは1月31日(米国時間)、Oracleのパブリッククラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上で動作するOS(ゲストOS)として「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」を追加したことを明らかにした。
- Press Release「Red Hatとオラクル、協業を拡張 Red Hat Enterprise LinuxがOracle Cloud Infrastructureに対応」-oracle.com
- Press releases「Red Hatとオラクル、協業を拡張 Red Hat Enterprise LinuxがOracle Cloud Infrastructureに対応」-redhat.com
今回、OCIでサポートされることになったRHELのバージョンとOCIのインスタンスタイプ(コンピュートシェイプ)は以下の通り。
- RHEL 7.9以降 … VM.Standard3.Flex(Intel 9)
- RHEL 8.7以降 … VM.Standard3.Flex(Intel 9) / VM.Standard.E4.Flex(AMD E4) / VM.Standard.A1.Flex(Arm Ampere A1)
- RHEL 9.1以降 … VM.Standard3.Flex(Intel 9) / VM.Standard.E4.Flex(AMD E4) / VM.Standard.A1.Flex(Arm Ampere A1)
いずれも仮想マシン(VM)起動時にCPUとメモリ容量を選択するタイプだが、近い将来にベアメタルインスタンス(ベアメタルシェイプ)でのRHELサポートも予定しているという。
RHELユーザがOCI上にデプロイするには、Oracleから「OCI Cloud Agent」を入手し、Image Builderを使用してRHEL、OCI Cloud Agentおよびその他の必要なソフトウェアでOCIイメージを構築、その後、OCIアカウントにログインしてインストール/デプロイする必要がある。ISOやVMDKなどによるデプロイは現状ではサポートされていない。なお、OCI上にデプロイされたRHELイメージはRed Hatが提供する「Bring Your Own Subscription」モデルで動作し、通常のデプロイメント環境と同様に「Red Hat Subscription Manager」に登録する必要がある。また、OCI利用料金は別途Oracleに支払うことになる。
OracleはRHELクローンの「Oracle Linux」を提供してきており、Oracleプロダクトに最適化したカーネル「Unbreakable Enterprise Kernel」も配布しているため、Red Hat/RHELにとって直接の競合と位置づけられていた。OCI担当のエグゼクティブバイスプレジデント Clay Magouyrkはリリースで「今後、両社の協力関係を深めることで、OCI上でさらに多くの製品やワークロードをサポートできるようになり、お客様にさらなる柔軟性を提供できると考えています」とコメントしていることから、近い将来はベアメタルインスタンスでのサポートに加え、Kubernetesプラットフォームの「Red Hat OpenShift」などもOCIのサポート対象になる可能性がある。すでにIBM、Accenture、Kyndrylなどのパートナー企業もエンドースメントを表明しており、エンタープライズLinuxのエコシステムが変化の兆しを見せつつあるようだ。