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Linux 6.2リリース ―GeForce RTX 30のイニシャルサポート、Rustサポートの改善など

Linus Torvaldsは2月19日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 6.2」を公開した。年末年始の休暇の影響で、通常のカーネル開発期間より1週間長く、合計8本のリリース候補(RC)版を経ての公開となる。

Linux 6.2 -Linus Torvalds

Linux 6.3の主なアップデートは以下の通り。

  • オープンソースグラフィックドライバ「Nouveau」による初のNVIDIA GeForce RTX 30シリーズ「Ampere」サポート
  • 起動オプションretbleed=stuffを有効にすることで、Retbleed(Intel/AMDのチップに対する投機的実行攻撃を可能にする脆弱性)緩和策によるパフォーマンス低下を抑制、また別の保護機能であるFineIBTも追加
  • Btrfs RAID5/6のコード改善、およびパフォーマンスの向上
  • ライトバック(writeback)処理でブロックデバイス(ネットワークブロックデバイスやUSBメモリなど)が大量のメモリを消費するのを制御するために、新たに5つの設定オプション(strict_limit / min_bytes / max_bytes / min_ratio_fine / max_ratio_fine)をそれぞれのブロックデバイスインタフェース(/sys/class/bdi/)に追加
  • データセンターのスイッチ間で輻輳が発生している接続のパスをランダムに変更する「TCP Prospective Load Balancing(PLB⁠⁠」をサポート(現時点ではIPv6トラフィックに対してのみ機能)
  • ユーザ自身が定義できるBPFオブジェクト(user defined BPF objects)のサポート
  • Linux 6.0で導入された軽量な検証メソッド「Runtime Verification」を実行するツール「RV」
  • Rustサポートの改善
  • RCU(Read-Copy Update)同期メカニズムにタイマーベースのコールバックバッチ処理を実装、RCUを⁠遅延⁠させるレイジーコールバック(lazy callbacks)でAndroid/ChromeOSデバイスの省電力を実現

Linusはすでに次のカーネルとなる「Linux 6.3」のマージウィンドウをオープンしており、30以上のプルリクエストに対応しているという。順調に開発が進めば2023年4月後半にはまた新しいカーネルの登場が知らされることになりそうだ。

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