この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。
セミナー「デジタル変革にはOSSをこう使ってくれ!」を開催
3月10日
この企画のねらい
DXブームの中でデジタル化やIT活用は進みつつあるようです。しかし目指すべきはDXの本来の意味である
デジタル変革に向けて企業ITの現状を理解するための“プラットフォーム(PF)デジタル化指標”
このセミナー企画の最初の発表者は、独立行政法人情報処理推進機構
OSSを活用したITモダナイゼーション
東京システムハウスの比毛寛之さん
DXの推進にPostgreSQLを使い倒す!
エンタープライズDB
デジタル変革にも役立つMySQL!!
日本オラクルMySQL Global Business Unitの山崎由章さんの発表です。MySQLはインターネット黎明期、つまりDXという言葉が出てくるよりずっと前から新しいことに挑戦する人たちの味方でした。Web開発プラットフォームのスタンダードで、スモールスタートしやすいデータベースだったMySQLは、今ではそれに加えて拡張性や信頼性を高める構成も取れるようになり、ミッションクリティカルな領域まで守備範囲をひろげています。さて、ひとつ前のPostgreSQLと共通する方向として、MySQLもクラウドサービスに力を入れています。MySQL HeatWave Database Service
座談会: 「デジタル変革にはOSSをこう使ってくれ!」
前半の講演の部で発表された、東京システムハウス比毛さん、エンタープライズDB北川さん、日本オラクル山崎さんに加え、後のパートで紹介するProject Tsurugiに深く関与されているノーチラス・
この座談会で取り上げたのは次の3つの論点です。
- ① 日本はデジタル活用の面でもIT技術者自身も元気がないのでは?
- ② デジタル変革に伴ってレガシー刷新が進むのはOSSにとっては好機では?
- ③ 貴重なデータを新ビジネスに活用できるようにするためのお薦め策は?
それぞれの論点についてパネリストから興味深い意見や知見が聞けたのですが、ここでは③のデータ活用の観点に焦点を当てて紹介します。
- 従来の企業ITでは、業務システムのデータをデータベースにちゃんと記録して処理することまでが求められた。デジタル変革に必要となるデータ活用のためには、溜まったデータを分析して価値を生み出す必要があり、それにはクラウドの柔軟性が有効。HeatWaveのようなクラウド環境で提供されるツールもデータ分析のための機能を持ち進化し続けている。
- 地理情報
(GIS) やIoTデータを扱う必要性が増えていて、PostgreSQLはそれらにも対応してきている。また、データ活用には綺麗なデータであることも必要で、どのようにデータを持ってくるかも重要。データを溜めるバケツ (データベース) だけは無くて、このデータを持ってくる道具にも着目すべき。さらに、データ分析を可能にするにはツールだけではなくてスキルの問題が大きく影響する点も忘れてはいけない。 - レガシーITをマイグレーションする際には、そもそもRDBに向かないデータ構造になっているケースも多いが、いろんなパターンがあるのでITモダナイゼーションの経験値が必要になるところ。また
「レガシーデータを解放」 することによって、従来はバッチ処理しかできなかったものがモダナイズされたITシステムでリアルタイム処理が可能になることもある。ただし、データの特性 (締め処理を行うことで初めて意味のあるデータになるなど) にも注意が必要。 - Tsurugiの超高速処理では、たとえば3000万件のレコードがたった2秒でinsert実行できるなど、桁違いの世界を実現しようとしている。また、オンラインとバッチと同じデータベースで同時に実行可能にして、いわゆる締め処理をリアルタイムにどの時点でも可能にしようとしている。それによってデータ活用で見える景色が新しいものに変わっていくことを期待している。
上記は、パネリストにご発言いただいたことを踏まえて筆者が要約・
[MySQL]2023年3月の主な出来事
2023年3月のMySQLの製品リリースはありませんでした。3月23日に米国のオラクルの元本社にあるカンファレンスセンターでMySQLの最新技術にフォーカスしたイベントMySQL Summitが開催されました。
このイベントではMySQLのクラウドサービスであるMySQL HeatWave Database Serviceの機械学習機能のMySQL HeatWave AutoMLが多変量時系列予測、教師なし異常検知、レコメンドシステムに対応しました。
MySQL HeatWaveの分析エンジンはカラム型の分散型インメモリデータストアですが、1ノードあたりの最大データ搭載量がこれまでの800GBから1TBに拡張されました。分析エンジンが動作する基本のノードのメモリサイズは512GBのままですが、圧縮やJOINのアルゴリズムの改良などにより搭載可能なデータサイズが拡張されています。さらに小規模なデータサイズに対応するために、32GBのノードも利用できるようになりました。こちらのノードの場合は最大50GBまで搭載可能で、1ノード月額16ドルで利用できるためお手軽になっています。
またAWS上で動作するMySQL HeatWaveにはトランザクション処理のシステム稼働統計の情報を収集して、リソースを拡張した方が性能の向上が見込めるのか、逆に縮小して性能への影響を最小限に抑えてコスト効率を上げられるのかなどをアドバイスする自動シェイプ予測が追加されています。
MySQLの新リリースモデル
MySQL Summitでの重要な発表が新しいリリースモデルです。現在最新のメジャーバージョンであるMySQL 8.
一方でマイナーバージョンとはいいつつも、CloneプラグインやInnoDB ReplicaSetなど重要な機能がGAとなったあとでも次々と追加されています。このことはすべてのユーザーにとって利点があるわけではなく、新機能やMySQLの仕様変更にあわせてアプリケーションのテストが煩雑という声があったのも事実です。
そこで今後のリリースモデルとしてLong-Term Support
- Long-Term Support
(LTS) リリース:バグ修正や脆弱性対応のみ、2年ごとのリリース、8年間のパッチ提供 - Innovationリリース:新機能を追加、3ヵ月ごとのリリース、サポート期間は短め
MySQL 8.
MySQL HeatWave AutoMLの新機能やLTSリリースを含むMySQL Summitでの発表事項は、4月24日
[PostgreSQL]2023年3月の主な出来事
2月にPostgreSQL本体のマイナーバージョンアップがあったばかりなので、3月はリリースはありませんでした。今回は冒頭でもお話ししたオープンソースカンファレンス2023 Online/
Project Tsurugi最新情報
今回のオープンソースカンファレンス2023 Online/
1コマ目と2コマ目では、昨年11月の日本PostgreSQLユーザ会
なお3コマ目はノーチラス・
PostgreSQL開発最新動向
同じくオープンソースカンファレンス2023 Online/
最新のPostgreSQLのメジャーバージョンは2022年秋にリリースされたバージョン15ですが、当然次のバージョン16についても開発が進んでいます。このセッションでは、その次期メジャーバージョンに取り込まれそうな新機能や、開発は進められてはいるが取り込まれないかもしれない新機能が紹介されています。舞台裏をのぞくようなワクワク感があり、PostgreSQLのちょっと未来の姿の片鱗を知ることができる貴重な発表です。この発表の動画もアーカイブで公開されています。
CloudNativePG と EDB Postgres for Kubernetes
PostgreSQLをKubernetes環境で使うためのオペレータ
ところで筆者もこのリリースのお知らせで知ったのですが、EDBが提供しているEDB Postgres for Kubernetesは、このCloudNativePGが元になっているとのこと。名称が異なっていて別製品に見えますが、基本的な機能については共通する部分が多く、EDB Postgres for Kubernetesでは長期サポートや特定プラットフォーム上でのサポート等などが強化されているようです。コミュニティ版のPostgreSQLと商用サポート付きPostgres
2023年4月以降開催予定のセミナーやイベント、ユーザ会の活動
オンサイト
MySQL Day Tokyo - MySQLの「いま」と「これから」
日程 | 2023年4月24日 |
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場所 | 日本オラクル株式会社 本社 セミナールーム |
内容 | 2023年3月に米国で開催されたMySQL Summitで発表されたMySQLサーバーとMySQL HeatWaveの最新情報をお届けするイベントです。MySQLサーバーやMySQL Shell, MySQL Operator for Kubernetesは継続的に機能の改良と拡張を続けています。このイベントでは新しいリリースモデルや最新の技術情報を解説します。 Oracle Cloud Infrastructure, Amazon Web Services (AWS) |
主催 | 日本オラクル株式会社 MySQL Global Business Unit |
第41回 PostgreSQLアンカンファレンス@オンライン
日程 | 2023年4月24日 |
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場所 | オンライン開催 |
内容 |
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主催 | PostgreSQLアンカンファレンス |
Amazon RDS/AuroraからMySQL HeatWave Database Serviceへの移行
日程 | 2023年5月8日 |
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場所 | 日本オラクル株式会社 本社 セミナールーム |
内容 | MySQL HeatWave Database ServiceはMySQL開発ベンダーが提供するコストパフォーマンスの高いMySQLマネージドサービスです。Amazon RDS/ 本セミナーでは、このMySQL HeatWave Database Service の特徴、Amazon RDS/ |
主催 | 日本オラクル株式会社 MySQL Global Business Unit |
MySQLサポートエンジニアが語るMySQLのパフォーマンスチューニングの要点
日程 | 2023年5月15日 |
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場所 | 日本オラクル株式会社 本社 セミナールーム |
内容 | MySQLやリレーショナル・ |
主催 | 日本オラクル株式会社 MySQL Global Business Unit |
MySQLサポートエンジニアが語るMySQLのトラブルシューティングの要点
日程 | 2023年5月22日 |
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場所 | 日本オラクル株式会社 本社 セミナールーム |
内容 | MySQLやリレーショナル・ |
主催 | 日本オラクル株式会社 MySQL Global Business Unit |
PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム成果報告会 (調整中)
日程 | 2023年5月26日 |
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場所 | オンライン開催 |
内容 | PostgreSQLエンタープライズ・ |
主催 | PostgreSQLエンタープライズ・ |
オープンソースカンファレンス2023
日程 | 2023年5月20日 2023年5月28日 2023年6月17日 2023年6月24日 |
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場所 | オンライン開催または会場開催 |
内容 | オンサイト なお、会場開催の回に参加する場合でも、参加人数把握のために参加登録をお願いします。 |
主催 | オープンソースカンファレンス実行委員会 |