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Linux 6.4-rc1公開、Linus作成のオリジナルコードが久々にマージ

Linus Torvaldsは5月7日(米国時間⁠⁠、次期Linuxカーネル「Linux 6.4」の最初のリリース候補版となる「Linux 6.4-rc1」を公開した。今後、順調に開発が進めば約2ヵ月後の7月前半にはLinux 6.4が登場することになる。

Linux 6.4では古いPCMCIAカードやUSBなどメンテナンスが困難になっているハードウェアのサポート終了が多く予定されている一方で、Asahi LinuxによるApple M2のイニシャルサポート、Intel Meteor Lakeのグラフィックス有効化、FPGA(旧Xilinx)デバイスを検出するAMD CDXバスのサポートなど新しいハードウェアのサポートも増える予定だ。また、Rustで書かれたコードも大幅に増えるとみられる。

なお、4月24日にLinusが作成したブランチ「x86-rep-insns」もマージされている。このコードはx86アーキテクチャにおけるメモリコピー/初期化を高速化するもので、既存のマーカーである「REP_GOOD / ERMS」を、Intel Ice Lake以降で採用されている「FSRM / FSRS(Fast Short REP MOVS/STOS⁠⁠」というモダンなマーカーに置き換えることで、コンパイラのサポートが必要な文字列操作処理命令(rep movs / rep stos)のインライン化をスムースにする効果があるという。なおLinusはLinux 6.4-rc1のアナウンスにおいて、このオリジナルコードをマージするために、git diffのデフォルトの暗号アルゴリズムであるmyersではなく、最新のhistogramアルゴリズムを使用したとコメントしている。

Linusは2019年の「Open Source Summit Europe」「僕はもうコーディングはしていない」と発言、カーネル開発においては送られてきたパッチの修正やマージがメインの仕事だとコメントしてきたが、Linux 6.4には久々にLinusオリジナルのコードがマージされることになりそうだ。

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