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Red Hat、Fedoraプログラムマネージャを解雇

2018年から5年間に渡り、Fedoraプロジェクトのプログラムマネージャを務めてきたBen Cottonは5月12日、同日付でRed Hatから解雇されたことを自身のブログで明らかにした。Red Hatは4月、グローバルの全従業員を対象に約4%の人員削減を行うことをCEOのMatt Hicks名義のメールで従業員に伝えていたが、その対象人員のひとりにCottonが選ばれてしまったようだ。

Cottonはブログの冒頭で「自分の人生でレイオフされるのは初めてのことであり、これが最後であってほしいと望むが、そうなるとも限らない。⁠解雇を告げられてから)この3週間、とまどいや怒り、悲しみなどさまざまな感情を感じなかったといえば嘘になるが、同時に多くの人々から自分が愛され、サポートされていることも実感した。まるでジョージ・ベイリー(映画「素晴らしき哉、人生!」の主人公)のようだね」と語っており、現在は解雇のショックから落ち着いた心境であるとしている。また、解雇された理由について「Red Hatがどうして僕を解雇のターゲットにしたのか、そのプロセスを知ることはできないが、Red HatにはFedoraが戦略的に重要なプロジェクトであると考えている人々は確実に存在する」とコメントしており、Fedoraプロジェクトの関係者を狙った人員削減の可能性は低いと見ている。

2002年からLinuxを使ってきたCottonは、Red Hatに入社する前からFedoraユーザとしてドキュメントの執筆やパッケージのメンテナンスに貢献するなど、Fedoraコミュニティに深く関わってきた。プログラムマネージャに就任してからは「新しいコントリビュータが参加しやすい環境を提供する」ことを第一に掲げ、新旧のメンバー間の交流が円滑に進むように図ってきたが、これは「新しいメンバーの参加こそがコミュニティの活気を維持してくれる」というCotton自身の考えにもとづいた方針だったといえる。⁠僕のゴールは数ヵ月後、僕がいなくなったことに誰も気づかないことだ。それこそが僕の成功の尺度だから(my goal is that in a few months, nobody will notice that I’m gone. That’s my measure of success. ⁠⁠」という言葉にも、組織には健全な新陳代謝が必要というCottonの考えがあらわれている。

今後はしばらく休養を取る予定というCottonだが、⁠僕はもうFedoraのプログラムマネージャではないけれど、引き続きFedoraコミュニティの近くにいる予定だ。その権利を奪わせるつもりはない」とあらためてFedoraコミュニティへの参加を表明している。オープンソースの世界を深く知る優秀なコミュニティリーダーとして活躍するCottonの姿をまた見たいと思う人は、きっと少なくないはずだ。

Ben Cotton(2020年に「Fefora Magazine」で取り組みを紹介された記事より)
Ben Cotton

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