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Linux 6.4がリリース⁠Apple M2シリコンをイニシャルサポート

Linus Torvaldsは2023年6月25日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 6.4」の正式リリースを発表した。開発期間は約2ヵ月、通常のスケジュール通りに7本のリリース候補(RC)版を経ての公開となる。

Linux 6.4ではAsahi Linuxプロジェクトの貢献により、Apple M2シリコンを搭載したMacBook Air、MacBook Pro、Mac miniが新たにサポートされた。ただし、現状ではM2 Mac miniのディスプレイ出力に問題があるなどいくつかの不具合が生じており、Linux 6.5以降での改善が予定されている。

Rustのサポートも強化されており、ピン留めされたデータの安全な初期化を実現するpin-init API⁠、ロック関連のラッパー「LockClassKey」⁠Lock/Lock Gurad」⁠Mutex」⁠SpinLock⁠⁠、ユーザ空間のデータを扱う「UAPI」クレートなどが追加されている。

また、IntelがLinux 6.2から実装を提案していた「Linear Address Masking(LAM⁠⁠」も、Linux 6.4でサポートが実現した。これはArmの「Top-Byte Ignore」に似た、特定の範囲のビットを"無視"することでアプリケーションによる高速なメモリアクセスを実現する機能で、LAMでは64ビットのアドレス空間のうち、未変換の上位の6ビット(62:57)もしくは15ビット(62:48)内にメタデータをマスキングすることなく格納することができる。最上位ビットである63ビット目の使用を許可しないことで、ユーザ空間とカーネル空間で割り当てられるメモリの最上位ビットの値が混乱することを防いでいるのが特徴だ。ただし、Linux 6.4でサポートされているLAMのモードは6ビット(LAM_57)のみで、15ビット(LAM_48)のほうはLinux 6.5以降での検討課題となっている。

Linusはすでに次期カーネルとなる「Linux 6.5」に向けたマージウィンドウをオープンしており、プルリクエストの受付をスタートしている。開発が順調に進めば、次のカーネルのリリースは2023年8月後半から9月前半となる見込みだ。

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