GitHubのCEOを勤めるThomas Dohmke氏は、2023年6月27日にテクノロジーカンファレンス「Collision」にて、GitHub Copilotなどの生成AIを活用した開発者ツールが経済と生産性に与える影響に関する最新の研究結果を発表した。この内容はKeystone.AIおよびハーバード・ビジネス・スクール教授のMarco Iansiti氏と共同で実施した、生成AIが開発者の生産性、世界経済、オープンソースエコシステムに与える即時的および長期的な影響への調査から得られたもの。
調査では、GitHub Copilotユーザーの大規模なサンプル(n=934,533)を分析している。同調査によると、GitHub Copilotが市場に投入されて1年の間にユーザーはGitHub Copilotからのコード提案の30%近くを受け入れ、生産性に大きな影響があることが明らかになったという。さらに時間の経過とともに開発者がツールに慣れ、受け入れ率が確実に増加することもわかった。これは、ユーザーがGitHub Copilotを使用したソフトウェア開発に慣れてくるにつれて、「GitHub Copilotが開発者の生産性に多大な影響を与え続ける大きな可能性を秘めていることを示唆している」(Dohmke氏)とのこと。
また2030年にはプロの開発者の数が4,500万人になると予測されており、生成AIを活用した開発ツールにより生産性が30%向上することになると、2030年までに世界の生産能力にさらに1,500万人の「効率的開発を行う開発者」の生産性が向上し、これにより世界のGDPが1兆5,000億ドル以上押し上げられる可能性があると述べた。
同じ調査で、経験の浅い開発者がGitHub Copilotなどのツールを使用すると、より多くのメリットが得られることもわかったという。開発者がこれらのツールを使用してスキルを向上させると、AIとの対話がよりスムーズになり、開発ライフサイクルを強化できるようになる。これにより、最終的にはより多くの人がソフトウェア開発の能力格差を解消し、標準的な開発者教育体験の一部としてAIペアプログラミングツールを使えるようになるとのこと。