さくらインターネット⁠生成AI向けクラウドサービスを2024年に開始へ

さくらインターネット⁠株⁠は、2023年6月16日、同社の石狩データセンターで2025年度までに2.0EXAFLOPS(EF)の計算能力をもつクラウドインフラを整備し、生成AI向けのクラウドサービスを提供する計画を発表した。

NVIDIA製GPU H100を2000基以上導入予定

事業対象期間は2023年度~2028年度まで、総事業費135億を予定しており、この事業で経産省の「クラウドプログラム」の供給確保計画に関する認定を受け、国から事業費の半分の補助を受け事業が進められる。

整備に採用されるのはNVIDIA製の最新GPU「H100 TensorコアGPU⁠⁠。H100は生成AIや大規模言語モデルに特化した超高速GPUで、同社によると、現状国内でH100を採用したクラウドインフラはまだないとのこと。今回の計画ではこのH100を2,000基以上設置し、2.0EFの処理能力を実現する。まず2023年度はH100を500基ほどの規模で整備し、0.5EFの計算能力を確保のうえ、2024年1月以降にサービスの提供を開始が予定されている。またサービス開始までに無償のトライアルや有償による先行利用も実施される予定。

生成AI向けクラウドサービスの展開予定
生成AI向けクラウドサービスの展開予定

サービスの利用料はまだ決定していないが、月額数万円~数千万円の体系で、小規模なスタートアップからエンタープライズユーザまで幅広いニーズをカバーしたいとのこと。現在アンケートを募っており、ユーザからの要望をまとめている。なおこのアンケートから無償トライアル、および先行利用の申込みを行うこともできる。

今回のAI用クラウドインフラを整備する石狩データセンターは既存施設に空きがあり、将来の拡張を見据えた設備投資により、現在は受電容量のうち20~30%しか使用していないため余力があり、サーバールームの増設により10EF規模、さらに新しいデータセンター棟を建設すれば20~30EF規模の拡張も視野に入るという。

また石狩データセンターでは再生可能エネルギー100%の電力運用を実現し、CO2輩出実質ゼロでサービスを提供可能としている。さらに北海道の冷涼な気候を利用した空調により冷却コストも抑えられ、環境負荷も他のデータセンターより低い。高速GPUによるAIインフラの運用にはこれまで以上に大量の電力消費と発熱が予想されるが、現在実地検証しながら検討中で、より良い方法を計画していく予定。

生成AIクラウドサービスを提供予定のさくらインターネット 石狩データセンター
さくらインターネット 石狩データセンター

なお、現在は生成AI向けインフラサービスのみの計画が進んでいるが、今後社員からの提案によっては、より上のレイヤとなるソフトウェアをからめたサーヒス事業を強化する可能性もあるとのこと。

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