Fedoraプロジェクトは8月2日、アイルランド・コークで開催中のFedoraコントリビュータのための年次カンファレンス「Flock」において、Appleシリコン搭載マシンでFedoraを動かすディストリビューションの第一弾として「Fedora Asahi Remix」がまもなく登場することを発表した。名前の通り、Asahi Linuxプロジェクトと連携したプロダクトで、2023年8月末には最初の一般提供(GA)が開始される見込みだ。
Asahi LinuxはApple Silicon M1/M2を搭載したデバイスへのLinuxポーティングを進めているオープンソースプロジェクトで、すでにカーネルのメインラインでもサポートされている。Asahi LinuxをFedoraに実装する取り組みは2021年から始まっており、Asahi Linuxのメインディストリビューションである「Arch ARM Linux」と並行して作業が進められてきたが、今回ようやくFedoraとの「すべてのカスタムパッケージ、カーネル、Mesa(3Dグラフィックライブラリ)のフォークの統合が完了」(Asahi Linux)し、正式リリースの最終段階に入ったという。また、今回の発表にともない、Asahi LinuxはメインディストリビューションをArchからFedoraに変更したことも明らかにしている。
ただし、Appleシリコンのエコシステムは流動性が激しいことから、現時点ではFedoraプロジェクトによる公式のサポートを受けられるオフィシャルなディストリビューションではなく、より自由な配布形式である「Fedora Remix」として提供されることになる。Fedoraプロジェクトは将来的には「Fedora Workstation」「Fedora Server」でAppleシリコンのサポートを含む形で提供できるように取り組むとしており、このゴール設定はAsahi Linuxとも共有しているという。
なお、Fedora Asahi Remixの開発ビルドはすでに利用可能だが、Fedora/Asahi Linuxともに「まだ不完全な部分や実装できていない機能が多い」ことから正式リリースまで待ってほしいとしている。