Linus Torvaldsは8月27日(米国時間)、「Linux 6.5」の正式リリースをアナウンスした。「今回のリリースはとてもスムースに進んでいる」というLinusの言葉どおり、開発中に大きなトラブルが生じることもなく、7本のリリース候補版と約2ヵ月の開発期間を経た通常のスケジュールに則った公開となった。
Linux 6.5におけるもっとも大きなアップデートとして、「AMD Ryzen Zen 2」以降のAMD CPUを搭載したマシンではCPU周波数の制御にこれまで使われてきたACPI CPUfreqドライバではなく、AMD P-Stateドライバがデフォルトに設定されている。これによりZen 2以降のプラットフォームでの大幅なパフォーマンスと電力効率の向上が期待できる。
また、大規模なx86システムにおいてCPUの起動プロセスの多くを並列化できるようになり、すべてのプロセッサをオンラインにするまでの時間を1/10に短縮することが可能となっている。
その他のおもなアップデートは以下の通り。
- Intelの電源管理インタフェース「TPMI(Topology Aware Register and PM Capsule Interface)」をサポート
- USB4 v2のサポート
- ページキャッシュの状態をシンプルな呼び出しで確認できるシステムコール「cachestat()」 … アプリケーション側からどのファイルページがRAM内にあるかを判断できる
- MIDI 2.0のイニシャルサポート
- 「NVIDIA SHIELD」デバイスのサポート
- RustサポートがRust 1.68.2にアップグレード
なお、Linux 5.5でのメインラインサポートが期待されたコピーオンライト(CoW)の新ファイルシステム「bcachefs」は実装が見送られており、現在マージウィンドウがオープン中の「Linux 6.6」でどう扱われるかが注目される。