Linus Torvaldsは9月10日(米国時間)、次期Linuxカーネル「Linux 6.6」の最初のリリース候補版となる「Linux 6.6-rc1」を公開した。8月27日に「Linux 6.5」がリリースしてから2週間のマージウィンドウ期間中、1,700人以上の開発者から1万2,000以上のコミットがあり、800件以上のマージが行われたが、Linusによれば「ごく普通のこと」であり、「(Linux 6.6は)非常に小規模なリリースでもなければ、特別に大規模なリリースでもないようだ」とコメントしている。
Linux 6.6-rc1の注目点のひとつは、Linux 6.5では含まれなかったコピーオンライト(CoW)のファイルシステム「Bcachefs」の実装だったが、マージウィンドウ期間中にLinusがBcachefsに対して「プルリクエストが適切にPGP署名されていない」「linux-nextで精査されていない」といったカーネル開発の基本ルールに沿っていないことを指摘しており、BcachefsのメンテナーのKent Overstreetに対して「議論の余地がないカーネル開発の基本的な概念に不満があるのなら、あと10年はメインカーネルの外でBcachefsを開発するほうがいい」と厳しくコメントしていた。
これを受けてOverstreetは「何ヵ月もマージに費やしてきたのに“基本ルールを守らないヤツ”認定されてしまった」と強い不満を表し、「しばらくオフラインになって次に何をしたいか考える」と残している。結局、BcachefsはLinux 6.6-rc1にはマージされず、Linux 6.7以降に持ち越しとなっている。
開発が順調に進めば、Linux 6.6は2023年10月下旬から11月上旬のリリースが見込まれている。