Qualcommは、Wear OS by Google向けにRISC-Vベースの
Qualcomm to Bring RISC-V Based Wearable Platform to Wear OS by Google | Qualcomm
これは、これから開発するという話ではなく、Qualcommはすでに開発を開始しており、商用発売に向けてGoogleと協業しているうえでの内容です。RISC-VベースのSnapdragon Wearは、米国を含む全世界に対して提供することが計画されています。なお、中国が含まれているのかはわかりません。
商用チップの発売時期は後日発表されます。
ハードウェアの企画や設計などを加味すると、すぐさまRISC-Vを搭載した端末が登場するとは考えづらくて、早くても2024年の終わりになるのではないかと想像できます。RISC-VベースのSnapdragon Wearが安価な価格かつ、中国にも提供されるのであれば、驚くべきスピード感で端末が登場する可能性はあります。
初めてづくしの取り組み
Android向けのRISC-VベースSoCとしては、初めての取り組みであるに加えて、大規模市場向けのRISC-Vチップとしても、初めてとなります。初めてづくしの取り組みですが、振り返ってみるとお膳立てが進んでいることがわかります。
たとえば、2023年9月にQnQ Blog
ここでは、RISC-Vとは何かから始まり、RISC-Vのハードウェアをベースに堅牢なソフトウェア・
What is RISC-V, and why we're unlocking its potential | Qualcomm
もう少し遡ると、2022年12月に開催されたRISC-Vサミットで、GoogleはRISC-VをTier-1プラットフォームとする考えを発表しています。
Google announces official Android support for RISC-V | Ars Technica
さらに遡れば、2021年に、Alibabaが所有するT-Head SemiconductorがAndroid 10をRISC-Vプロセッサー
GitHub - T-head-Semi/
Wear OSは、プラットフォームのバリエーションが限られています。
スマートフォンと比較すると、新しい取り組みを行いやすい環境と言えて、初めてづくしの取り組みも実用的な成果が出せると判断しているのかもしれません。この先には、間違いなくスマートフォンが視野に入れているはずです。
MIPS向けのAndroidがありました
2011年ごろから、MIPSのプロセッサをベースとしたAndroidも存在しました。この当時は、Googleも力を入れており、NDKのリリースなども行なっていました。
筆者も興味本位で、MIPS搭載のタブレットを入手した記憶があります。Androidタブレットがまだ荒削りだったころで、ARMではなくMIPSを搭載する端末だったので、動かないアプリもいくつかありました。
このころは、NDKを使ってパフォーマンスを求めるのが常套手段となっていたので、ARM以外のアーキテクチャには不利な状況でした。他、購入した端末は中国メーカ製で、ハードウェアも荒削りだった印象が残っています。
MIPSのホームページでは、MIPSアーキテクチャ向けのAndroidは、Android 7.
Googleがパフォーマンス追求のためにARMにコミットしたことで、MIPSはフェードアウトしていくことになりますが、Android 7まで続いていたのは驚きです。
勢い付く影で悪い話もある
Qualcommの件はRISC-Vが勢い付く話ですが、RISC-Vを使ったチップを開発するSiFiveが従業員の20%を一時解雇したことが明らかになっています。この中には、チップの物理設計部門、営業部門、製品部門のメンバーが含まれています。
RISC-Vが商用ベースに乗るまでに時間がかかるという証なのかもしれませんが、もうひと踏ん張りだったのかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。