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今秋以降⁠メッセージングサービスの勢力図に変化があるかも

Googleの長年のアプローチが実ったのか、それともAppleが根負けしたのか、iOS 18でRCS(Rich Communication Services)がサポートされることになります。WWDCでも、さらっと触れています。

RCS対応になると何か便利になる?

RCSのサポートにより、AndroidとiPhone間のメッセージングが大幅に改善されます。SMSと比較すると以下の点が強化されます。

  • 最大100MBまでの高品質な音声や動画を送受信可能
  • メッセージ送信相手が入力しているかのステータス表示が可能
  • メッセージが相手に届いたか、既読になったのか確認可能。動画メッセージは再生されたか確認可能
  • 最大256人までのグループチャットが可能
  • メッセージを送信した相手とリアルタイムの位置情報の共有が可能
  • 送信したメッセージを相手側も含めて消去可能
  • Wi-Fi環境で利用可能

すでにあるLINEやFacebook Messengerなどで、できることがほとんどですが、こうしたサービスに頼る必要がないので、セキュリティ面でも安心材料の1つになります。

キャリア側の対応が必要⁠混乱の予感

RCSで、これまでの不便が解消されますが、状況は少し複雑でキャリア側の対応が必要です。

たとえば、iOS 18ベータでは、キャリアがRCSをサポートしているか確認できる画面があります。9TOMacでは確認の方法を公開しているので、当面は混乱が続きそうな予感がします。

How to check if your carrier has enabled RCS support in iOS 18 yet - 9to5Mac

国内では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、2018年5月から「+メッセージ」によってRCS対応を済ませています。開始当初はAndroidのみの対応でしたが、現在はiPhoneでも使えるようになっており、ユーザーは4000万を超えて強い影響力を持ちます。キャリアから購入したAndroid端末は、+メッセージがインストールされており標準クライアントとして意識することなく使えます。

ただ、+メッセージは少し厄介で、独自拡張された部分があり他のRCSと相互接続ができません。こうした事情もあり「+メッセージ」で決まりと言う話にはならないかもしれません。

また、iPhoneに対応しているとも書きましたが、標準クライアントに設定できないので、ユーザが意識して使う必要があります。Androidからのメッセージを受信するために、仕方なく使っているユーザも多いはずです。

KDDIは、iOSのRCS対応を見据えた動きをしています。

今年の5月に開催されたGoogle I/Oで「Googleメッセージ」を端末にプリインストールして、当面は+メッセージと共存させる方針を打ち出しています。

ユーザから見れば、2つのメッセージングアプリがあり、どちらを使えば良いのか判断できないはずです。たとえば、⁠iPhoneとのやりとりが多いのであれば、Googleメッセージを選択する」のように案内されるのでしょうか。

NTTドコモやソフトバンクは、今のところ具体的な動きやアナウンスはありません。楽天だけは異なる動きをしており、+メッセージとは別の「Rakuten Link」を展開しています。

これはRCSを完全にサポートしておらず、一部機能のみが使える実装です。

また、+メッセージとの互換性はありません。これを厄介な存在と見ることもできますが、他社との調整が必要ないので、最も身軽な存在と見ることもできます。よって、RCSへの完全対応はすぐさま出来るのかもしれません。

しかし、Rakuten Linkのデスクトップ版の投入を3年延期しているので、大きな期待を寄せるのは酷かもしれません。

メッセージングアプリの勢力図に変化が起きるか

KDDIのGoogleメッセージのプリインストールは、ユーザの不便を解消する手段の1つなので、現段階では良い回答になりそうです。これのウケがよければ、NTTドコモやソフトバンクも後に続く可能性が考えられます。

ただ、これだけではLINEやFacebook Messengerのユーザが、移行する動機になりません。LINEですべてを済ませたいと考えるユーザも多く、周辺サービスも相乗りしている状況です。勢力図が変化するには、まだまだ時間がかかる話になりそうです。

今週は、このあたりで、また来週。

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