Debianプロジェクトのリーダーを務めるAndreas Tilleは9月2日、プロジェクトの公式ブログ「Bits from Debian」に「Removing more packages from unstable」と題したトピックを投稿、unstable（不安定版）からより多くのパッケージを削除することについての議論を紹介している。

• Bits from the DPL -Bits from Debian

Debianには大量のパッケージが収録されているが、なかには長期間にわたってメンテナンスされていないものも少なくない。そうしたパッケージの扱いについて、Debian開発者のひとりであるHelmut Grohneがより多くの該当パッケージをunstableから削除することを提案したことが最初のきっかけとなっている。Grohneは「我々はunstableにあまりに多くのパッケージをもちすぎており、それらは少なくないコスト（人的リソースの消費）となって我々を圧迫している」と主張、削除すべきパッケージの基準およびその削除基準を満たす300以上のパッケージのリストも提示している。

• Removing more packages from unstable -lists.debian.org

この議論のポイントとなっているのは以下の通り。

• パッケージ削除の判断基準にpopcon（Debianパッケージの人気コンテスト）の投票数を含めるべきか（Tilleは賛成、Grohneは除外を提案）
• 「新たなプロセスは不要で、（⁠削除すべき）パッケージを見つけ出し、バグを報告する作業が必要」（⁠Scott Kitterman）という意見に対し、「⁠他のメンテナーが作成したパッケージに対してバグ報告や削除リクエストを行うには心理的障害がある」という声もあり、自動化された手順と定義された基準にもとづいて削除作業を進めるほうがよい（Tille）
• （削除プロセスの）自動化を望むが、必要であれば半自動化のプロセスでも開始したほうがよい（Niels Thykier）
• 現在はパッケージを削除するよりも、パッケージを腐らせたままにしておくほうが手間がかからない（Charles Pressy）

議論の結論はまだ出ていないが、「⁠ユーザから使われなくなったパッケージを削除することでDebianの改善が行われると確信している」というTilleの言葉にもあるように、Debianプロジェクトメンバーの多くは自動化/半自動化による古いパッケージの削除を積極的に進めるべきという方向でまとまりつつあるようだ。長くプロジェクトを続けていれば必ず発生するレガシーとどう向き合うべきなのか、Debianプロジェクトの判断が注目される。