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リベンジの時がやってくる⁠Tensor G5は大幅な性能アップ

Tensor G4が搭載されているPixel 9シリーズが発売されてから半年も経過していませんが、業界の歩みは速くPixel 10に搭載されると言われるSoCの「Tensor G5」の情報が明らかになったとAndroid Authorityが報じています。

Full Tensor G5 specs leak: Pixel 10 chip detailed

Android Authorityの記事によれば、Tensor G5からはチップの設計をGoogle自社で行っているとされています。これまでのTensorシリーズは、Samsung Exynosシリーズをベースとしたものでした。聞こえは悪くなりますが、型落ちのSoCをベースにしているので、最新のSnapdragonと比較するとパフォーマンス的には不利なことが多く、これを求めるのであればPixelシリーズは選択すべきでないと評価をされることもあります。

期待のTensor G5ですが、以下の構成が取られるようです。

  • Big cluster:1×Arm Cortex-X4(前世代と同じ)
  • Mid cluster:5×Arm Cortex-A725(前世代から3コア増加)
  • Little cluster:2×Arm Cortex-A520(前世代から4コア減少)

これだけでパフォーマンスを計ることはできませんが、Mid clusterが強化されているので、マルチコアのパフォーマンスが向上は期待できそうです。

また、CPUも新しくなっており、ARMのMaliではなくImagination Technologies社のIMG DXT-48-1536が使われます。このGPUには、仮想化技術も搭載されています。。サーバで動作する仮想マシンであれば、利用用途が想像できますがモバイルデバイスでどう使われるのかは不明です。もしかすると、仮想デスクトップが関係してくるのかもしれません。

チップ製造は台湾が拠点

Tensor G5からは、自社のニーズを満たすためにチップの設計を内製化する方針で、製造もSamsungではなくTSMCの3nmプロセスの採用が検討されています。そのTSMCとは、連携を深めるために開発拠点を台湾に設立しており、半導体エンジニアを積極的に採用し、過去10年で開発チームは20倍に拡大しています。

Google to expand hardware R&D team in Taiwan - Nikkei Asia

TSMCへの切り替え理由は、Samsung工場の歩留まりが悪いためとされています。

これは想像です。チップ製造のために製造ノウハウのようなものが存在し、自社チップの亜種ならば、これまで蓄積したノウハウが活かせたとしても、他社が設計した新チップとなれば製造ノウハウが活かせないのと、Samsungとしても製造だけ担当するのはうまみがないと判断した可能性もあります。

さて、Googleには、チップ設計チームが存在しているの?と疑問に持つ方もいるかもしれません。Googleは、AIプロセッサとしてTPU(Tensor Processing Unit)の設計を行っています。言及した情報を見つけられなかったのですが、このチームがTensor G5の設計に関わっているのかもしれません。

自社ニーズは「AI」で間違なし

自社のニーズといえば、AI関連なのは間違いありません。

たとえば、Gemini関連の動きだけ見ても、Gemini Liveの日本語版も瞬く間にリリースされるような状況です。ここ5年ほどはスマホの進化はカメラ頼りで、正直、退屈なものでしたが、これから5年間はAIになるのは間違いなく、Pixel 10の世代からはAIが主軸で、この進化がスマホの進化となるのは間違いありません。あと数年で、端末の形にも変化が出る可能性もあります。

Tensor G5搭載のTPUは、INT8/FP16の演算性能が前世代との比較で40%ほど向上する見込みです(実際のベンチマークでは、14%の向上にとどまるようです⁠⁠。また、組込みRISC-Vコアを使うことで、オンデバイスでの学習なども可能になります。

オンデバイス学習が可能になればパーソナライズの幅が広がります。たとえば、個人の趣向や健康状態などサーバに引き渡す事が気が引けるような情報は、端末にとどめて学習データとしてAIに引き渡す情報にすることができます。

AIの主戦場は、モバイルデバイスであることは間違いないので、来秋にはさらなる進化が体験できそうです。

今週は、このあたりで、また来週。

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