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Android 16ベータ3がリリース⁠Auracastに興味津々

Android 16 ベータ3がリリースされました。

Android Developers Blog: The Third Beta of Android 16

リリース準備が着々と進む様を春の足音が近づくのと重ねて、想いにふけるほど情緒的な性格ではありませんが、当初は第2四半期(4~6月)にはリリースされることに驚きましたが、オンスケジュールでプロジェクトが進行していることを実感するニュースです。4月には、ベータ4をリリースして、その後、正式リリースとなるので、息つく暇もなくといった感じです。

Android 16では、APIに関しては正式リリース後に追加リリースされます。これはマイナーなものになるようですが、第4四半期(10~12月)の予定です。

ベータ3での注目機能

Android 16ベータ3でAuracastが追加されました。

これは、Bluetooth LE Audioの音声伝送規格です。名前の「cast」が示すように、単一の送信デバイスから無制限の受信デバイスへ音声を送信できます。従来のBluetoothは1:1が基本で、事前にペアリングした相手に対して音声を送信していました。Auracastでは1:多の接続が可能で、事前にペアリングする必要もありません。

具体的には、送信デバイスと受信デバイス、そして、接続を仲介するデバイスが必要になります。仲介デバイスは、スマホの必要はありませんが、今回はスマホの前提で説明を進めます。

まず、送信デバイスは、放送に関する情報(名前、コンテンツ、コーデックなど)を含んで放送を開始します。

送信デバイスからのAuracastに対応した信号をスマホが受けると、スマホのAuracast Assistantが検知してユーザが参加可能な放送を示すユーザインターフェースを提供します。

参加する放送を選択すると、Auracast Assistantは受信デバイスに対して参加に必要な情報を提供し、送信デバイスから受信デバイスに対して音声が送信されます。

また、QRコードをスキャンして放送に接続することも可能です。

これはPixel 9シリーズのみの実装のようですが、Auracast Assistantで放送を選択する画面をスキップして、放送が受信できる仕組みだと考えられます。

どんな使い方ができるだろうか

事前ペアリングを不要としたことで、公共放送の受信などにも使える可能性があります。

たとえば、美術館や博物館のオーディオガイドは、デバイスの貸し出し無しで、使い慣れた自前のイヤホンで代替えができそうです。Auracastが普及すれば、公共施設の館内放送にも応用はできそうです。これが実現すれば、公共施設特有の騒がしさが将来的には避けられる可能性があります。

また、すべてを解決とは言いませんが、音声が持つ課題を解決する可能性があります。

音声は特性上、時間軸に乗せてしか情報が伝わりません。

1つの言語だけで情報を伝える場合は、音声の時間分で情報が伝わりますが、これが複数言語になると、情報を伝えるのに言語数だけの時間がかかることになります。よって、最初の言語と最後の言語では、情報が伝わる時間に差が出てしまいます。

多くの場合は、この時間差が問題になることはありませんが、公演会場で同時通訳をしている状況で、スピーカが話している内容と通訳内容に時間差が出るのは興醒めです。もう少し、シビアなケースを想定してみます。避難が必要となるアナウンスを複数言語で行う場合は、最初と最後で時間差が出ると初動に差が出てしまい、これが致命的になる可能性もあります。

音声の弱点をAuracastが解決するとは考えませんが、工夫すれば改善できる可能性は十分にありそうです。

対応デバイスは?

SamsungのOne UI 7を搭載するGalaxyシリーズとAndroid 16ベータを搭載するPixel 9シリーズなどが対応デバイスです。

以下で対応製品を検索すると、Ampetronicの補聴器やSamsungのNeo QLED 4K/8Kのテレビもラインアップに入っています。

Auracast™Product 検索|Bluetooth® テクノロジーウェブサイト

Galaxy S23以降、Galaxy Tab S10以降などは、送信とアシスタントに対応しており、Galaxy Buds2 ProやGalaxy Buds 3は、受信デバイスとして使えるので、試してみたい方には実験できる環境は揃いそうです。

今週は、このあたりで、また来週。

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