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スマートウォッチ普及の功労者「Pebble」復活です

10年近く前の話になるので、知らない方もいるかもしれません。

Apple Watchの発売前、スマートウォッチという呼び名が一般的ではないころです。Pebbleという電子ペーパーのディスプレイを搭載した腕時計が存在していました。これは、外部から文字盤やアプリを追加できるなど、今のスマートウォッチはPebbleが作り上げたと言っても過言ではないほどです。

しかし、経営難に陥り2016年にFitbitに買収されます。

買収後は、FitbitのSenseやVersaにPebbleの名残を感じましたが、FitbitがGoogleに買収された後は、Wear OSにバトンタッチされてPebbleの残り香はなくなりました。

しかし、2025年1月に転機が訪れます。

GoogleがPebble OSをオープンソース化することを発表します。これは本連載でも取り上げました。

復活の兆し?Pebble OSがオープンソース化 | gihyo.jp

ここから急速に物事が進みます。Pebbleの創設者であるEric Migicovsky氏は、Pebble復活に向けて「RePebble」プロジェクトを開始し、Pebble OS搭載の新型スマートウォッチの発売を3月18日に発表します。

Get your new PebbleOS watch

サイトが公開されており、予約を受け付けています。数量限定での生産なので、気になる方は予約を勧めます。

モノクロとカラーの2モデルを発表

発表されたのは、⁠Core 2 Duo」「Core Time 2」の2モデルです。デザインおよびスペックともに、Pebble最後の製品となったPebble 2を色濃く残します。どちらも手にしてすぐできることは、歩数や睡眠の追跡、スマートフォンからの通知受信などです。

10年近く時間が止まっていたので、見劣りするのは仕方のないところですが、現代的にリファインされた部分もあるので、これを中心に見ていきます。

まずは、Core 2 Duoからです。

名前のDuoは「Do-over(やり直し⁠⁠」の略としています。これは、Pebble 2のやり直しを意味しているそうです。

この結果として、バッテリ寿命が30日になっています。旧作は7日間でした。当時は、これでも驚異的でしたが、30日に延長されたのは充電を忘れそうです。他、スピーカ、リニア共振アクチュエータ、気圧計とコンパスセンサーが搭載されます。

Bluetoothチップは、Nordic nRF52840が使われます。

筆者はPebble 2を所有していましたが、当時使っていたiPhoneとの相性が悪く、接続が頻繁に切れて使い物にならなかった記憶が残っているので、今回は改善されることを切に願っています。

Core Time 2は、Pebble Time 2の現代版です。

1.5インチ、64色の電子ペーパーディスプレイを搭載、タッチスクリーン、金属ケース、反射の少ないフラットなガラス、心拍モニター搭載など、現代のスマートウォッチに近いスペックです。

新要素としてタッチスクリーンが加わっていますが、Pebbleが物理ボタンのみでの操作であったことを思い出しました。

これのケースデザインはCore 2 Duoと似ていますが、これより大きなディスプレイを搭載するために大型化しています。このケースデザインは、Eric Migicovsky氏のお気に入りのようです。

ソフトウェア面の変更はありません。しかし、見どころはあります。

たとえば、Pebble Timelineは、時間軸に沿って天気予報やアラーム、予定などを表示する機能があり、ケース横にある上下ボタンで時間軸に沿って確認できました。サードパーティアプリもタイムラインに情報が追加できたので、すべての情報をここに集約できました。

簡単な操作で情報が確認できる仕組みと、分かりやすいインターフェースは、当時、感動した記憶があります。これ以降、似た機能を搭載したスマートウォッチを見たことがないので、また使えるのは嬉しい限りです。

万人向けではない

Eric Migicovsky氏のブログで、新しく登場するPebbleOS搭載の腕時計を紹介するエントリがあります。

Introducing two new PebbleOS watches!

このブログの後半で、完璧に磨き上げられた製品やフィットネス用途、Apple Watchと比較しているのであれば、購入は見送るようにと書かれています。まさにその通りで、復活を遂げたものの、登場したのはPebbleを懐かしむ人向けです。機能的には、より素晴らしい製品が存在しますが、時計を見るたびに笑顔になるのは間違いなくて、筆者は7月が待ち遠しいです。

今週は、このあたりで、また来週。

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