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GNOME 49⁠X11サポートを一時的に復活

Linuxデスクトップ環境としてもっとも多くのユーザに使われているGNOMEは現在、X11のサポートを段階的に終了し、Waylandセッションのみをサポートすることを計画している。これにともない、まもなく一般提供開始の「GNOME 49」ではX11のサポートはデフォルトで無効化されるはずだったが、開発チームは9月初旬、⁠残念ながらこれ(X11のデフォルト無効化)は非常に困難」として、GNOME 49ではX11サポートをふたたび有効化することを決定した。

GNOME開発者のAdrian Vovkによれば、GNOME 49では

  • デフォルトでのX11サポート無効化
  • X11コードは保持、必要に応じてディストリビューションが再度有効化
  • X11デスクトップ環境の起動をサポート

を実現する予定だったが、x11-supportスイッチをオフにするとGDM(GNOME Display Manager)のX11サポート全体が無効になり、X11デスクトップ環境の起動ができなくなる(GDMが/usr/share/xsessionsを参照しなくなる)ことが判明、ログイン画面にもX11デスクトップが表示されなくなったという。

この事象に対し、Vovkら開発チームは「X11-supportスイッチ全体から最新のX11セッションを起動するために必要な部分を外科的に削除し、X11サポートのやっかいな部分(XDMCP、X11レガシーディスプレイ、非ユーザセッションディスプレイなど)をスイッチの制御下に残そうとしたが、この作業は困難で、さらにスイッチの制御外でかなり恣意的なX11コードを存在させる必要がある」として、GNOME 49をそのような状態にすることは「率直に言って、完全に間違っている」と判断、X11サポートを再度有効化するパッチをマージした。

プロジェクトの歴史が長ければ長いほど、レガシーコードからの脱却には時間と手間がかかるものだが、Vovkは「⁠⁠2026年リリース予定の)GNOME 50ではX11サポートの大部分を完全に削除し、X11セッションを起動する機能のみを残す予定」として、X11サポートが段階的に廃止されていく流れに変わりはなく、GNOME 49におけるX11サポートの復活はあくまで一時的な措置である点を強調している。GNOME 49は9月17日に一般提供が開始される予定だ。

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