Rustリリースチームは2025年9月18日、Rustの新バージョン1.90.0をリリースした。
Post by @rust@social.rust-lang.org
View on Mastodon
Rust 1.90ではLinuxをターゲットとするリンカとして、これまでのBFDリンカに代わってLLDが採用されている。LLDはBFDと比べてリンクパフォーマンスの向上が見込まれ、特に大きなバイナリ、デバッグ情報の多いバイナリ、増分リビルドにおいてリンクが高速化される。一方、LLDを使用して問題が生じる場合は、-C linker-features=-lld
というフラグをコンパイラに使用することでLLDを無効化できる。
LLDへの移行の経緯や検討内容については以下のRustブログを参照。
また1.90の大きな変更点として、ビルドコマンドであるCargoにワークスペース公開のネイティブサポートが追加された。cargo publish --workspace
と指定することで、ワークスペース内のすべてのクレートが適切な順序で、クレート間の依存関係も考慮された形で自動的に公開される。ただしこの操作はアトミックではなく、ネットワークエラーやサーバのエラーに影響を受ける場合がある。
このほか、GitHubでパブリックリポジトリ向けのmacOS x86_64ランナーの無料提供が終了するのにともない、Rust 1.90以降、Intel版Macターゲット(x86_64-apple-darwin)がTier 1からTier 2に降格となった。rustcやcargoなどのツールを含むこのターゲットはビルドは保証されるが、自動テストスイートへの合格は保証されない。
その他の変更点についてはGitHub上のリリースノートを参照。
Rust 1.90はRustのダウンロードページから入手、インスト―ルできる。