Sakana AI⁠ハイパフォーマンスなAIアルゴリズム探索フレームワーク「ShinkaEvolve」オープンソースとして公開

Sakana AIは2025年9月25日、LLMを用いて桁違いに少ないリソースでアルゴリズムを探索できる新しいフレームワーク「ShinkaEvolve」を発表、Apache 2.0ライセンスの元GitHub上に公開した。

ShinkaEvolveは、LLMを活用してさまざまな問題を解決するアルゴリズムを探索して導き出すフレームワーク。特徴は、非常に少ないサンプル数でアルゴリズムを発見できる点。同様のアプローチを行うフレームワークにGoogleのAlphaEvolveやそのオープンソース版であるOpenEvolveLLM4ADなどがあるが、優れた解を見つけるのに数千回の試行が必要になるケースが多い。

ShinkaEvolveはこれらに比べて圧倒的に少ないサンプル数で解に達することができるという。たとえば古くからある「円充填最適化(サークルパッキング)問題」で、ShinkaEvolveは150サンプルで最先端の新しい解を発見した。

このほか、AIME数学ベンチマークや競技プログラミング、Mixture-of-Experts(MoE)モデルによるLLM学習の効率化などにおいても高いパフォーマンスを記録したとのこと。

同社によると、ShinkaEvolveは以下の3つのイノベーションによって、高いサンプル効率を実現している。

①探索と活用のバランス
新しいアイデアの探索と既知の優れた解の活用をインテリジェントにバランスさせる元プログラムからのサンプリングテクニック
②コードの新規性にもとづいたプログラム棄却サンプリング
些細で興味を引かない既存のプログラムにあるバリエーションを評価すると時間の無駄になるため、コードの新規性にもとづいた棄却サンプリングを実施。プログラムテキスト埋め込みの類似性を計算し、LLMを新規性の判断基準として用いるアプローチにより提案の創造性を判断する
③タスクに合わせた言語モデルの優先順位付け
探索の進行に合わせて、そのときのタスクに最適なLLMを動的に選択する戦略。これにより、ShinkaEvolveは最適なLLMを動的に選択し、探索を進めることができる

これらの手法は検証実験も含めて論文として公開されている

ShinkaEvolveが他のエージェントと連携してアルゴリズムを改善できることも実証されており、科学者やエンジニアの日常業務を支援する、使いやすいコンパニオンツールにすることを目指している。このプロセスをさらに支援するために、解決策と発見の実行を視覚化するためのインタラクティブなWebUIが、ShinkaEvolveのリリースには含まれている。

ShinkaEvolveのWebUI
ShinkaEvolveのWebUI

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