「Claude Code」
第1回目は、Claude Code以前のAI支援開発ツールとClaude Codeを比較しながら、Claude Codeの特徴と強みを説明します。

AI支援開発の新時代
エンジニアの現場においては、Claude Code以前にもAIによる開発支援ツールが普及していました。
まずはその歴史的な流れをおさえつつ、Claude Codeがもたらしたものを見てみましょう。
Claude Codeとは
Claude CodeとはAnthropic社によって開発された、CLI
AnthropicはOpenAIの元研究者であったダリオ・
ClaudeはAnthropicが開発するAIの名称であり、2025年10月時点でバージョン4.
Claude Codeは、CLI上でClaudeに指示を出しながら、特定のディレクトリ配下にあるワークスペースの検索、説明、コーディング、プランニングを行い、ユーザーのアプリケーションの作成をサポートできるのが大きな特徴です。
Before Claude CodeのAI支援開発
AIを使ったコーディングにおいては概ね以下のような形態がありました。
コードエディタ支援ツール
コードエディタと直結してLLM
特にAIエディタCursorのタブ補完による、エンジニアが考えていることを先回りするかのような高速な開発体験は技術者に衝撃を与えました。これらのツールはエンジニアの生産性を劇的に向上させると同時に危機感を抱かせました。
- 例: GitHub Copilot, Cursor, WindSurf, Cline, Roo Code
アプリケーション自動生成ツール
主にブラウザ上のサービスとして展開され、こちらの指定した要望に従ってアプリケーションの立ち上げまで行うものです。立ち上げた後はGUIで用意されたチャット欄から、ユーザーの修正指示に従って、その都度AIが修正を行うようになっています。
UIが似通ったものになる、というデメリットに目をつぶれば、デプロイまで担ってくれるものが多く、非エンジニアの方は使いやすくなっています。 Git連携でGitから開発を継続できるようになってるものが多い印象です。サービスごとの特徴や強みを理解しながら使っていくことが重要になってきます。
- 例: Replit, Firebase Studio, v0, Bolt, Lovable
自律型コーディングエージェント
こちらも主にブラウザ上のサービスとして展開されるものです。上述の
AIが開発用の独立したボットのように存在しており、ユーザーの指示を元に実装計画を立てながら、自律的に実装していく形式をとっています。さながらAIを一人の開発者のように扱うことができます。
こちらもエンジニアが、AIに対して適切にIssueを立てる形でプロジェクト管理をしながら、AIがIssueに基づいて作ってくるプルリクエストや成果物をチェックする、という形で高速で開発のサイクルを回すことができます。
- 例: Devin, OpenAI Codex, Jules, GitHub Copilot WorkSpace
これまでのAI支援開発の限界
しかし、これまでのAI支援開発において、先述のコードエディタ支援ツールは、非常に優秀な支援をしてくれる一方、エンジニアはエディタに縛られることになります。たとえばiOSアプリを開発するエンジニアはXcode上でCursorなどのAIエディタほどの恩恵を受けることは困難でした。
また、アプリケーション自動生成ツールは一気通貫で作ってくれる点が魅力的なのですが、基本的にはそれぞれのサービスの強みや特徴に違いがあり、最終的には結局
そのため、実用に耐えうる実装まで漕ぎ着くには、度重なるLLMとのチャットを行うか、結局シンプルなアプリケーションで妥協するしかない、という難点がありました。
自律型コーディングエージェントは衝撃を持って迎え入れられましたが、AIが各種策定するプランを都度修正したり、AIが出力したプルリクエスト
そして上記のいずれも結局、AIが動いている環境、つまりエディタやサービスに作業が依存する、という限界がありました。
AI支援開発の登場によるエンジニアの新たなストレス
AIによる開発支援は大変な衝撃と革新を開発現場にもたらした一方、AIと付き合うエンジニアに2つの新たなストレスが生まれることになりました。
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1つ目のストレスは
「AIは嘘をつく」 ということです。 -
現在のLLMは文章をトークンとして分割し、膨大な学習データから確率的に
「次に言うべきことは何か」 という解を定めています。よって 「もっとも確からしい」 回答をしますが、それが正解ではない場合もあったり、その手順にも再現性がありません。つまり間違える前提でAI開発と付き合う必要があり、そのストレスやLLMとの不毛に見えるやり取りをいかに低減できるかが、開発体験に直結します。
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2つ目のストレスは
「待ち時間が発生する」 ということです。 -
いかにAIが高速に、これまでの人間の作業の10倍の速度で動こうとも、AIの処理を待つ時間が発生します。AIの性能も上がっていますが、より複雑で高度なことを行う開発では当然の出来事です。しかし、処理を行ったり何かLLMに質問したりする度に、開発の手が止まることはあまり気持ちの良いことではありません。
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これらのAI支援開発現場における新たな2つのストレスを、Claude CodeがCLIを採用したことで低減し、開発体験を向上させたために、ここまで一気に普及したのではないかと考えています。
Claude CodeがCLIとして生まれた背景
なぜCLIというこれまでに無いインターフェースを持つに至ったのか、
Claude Codeが生まれた背景をAnthropicの開発担当者のBoris Cherny氏が答えていますが
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社内の多様なIDE利用状況への対応:Anthropic社内では、
(Visual Studio Code。以下VS Code)、Xcode、Vim、Emacsなど、エンジニアが非常に幅広い種類のIDEを使用しており、誰もが使えるツールを開発することは困難であった。ターミナルが共通の基盤であったため、CLIツールとして開発した。 -
将来のモデル進化への備え:AIモデルの進化を間近に見てきて、もしかすると年内には従来のIDEを使用しなくなる可能性すらあると考えていた。モデルの進歩を考慮すると、UIや他のレイヤーへの過剰な投資を避け、将来の動向に備えることを目指した。
またシンプルなインターフェースにしたことによって
Claude Codeの特徴
Claude Codeの主な特徴として以下が挙げられます。
- マルチファイル・
マルチタスク対応:プロジェクト全体を理解し、複数のファイルを一気に編集可能 - 並列実行能力:複数のタスクを同時に処理し、開発速度が飛躍的に向上
- 自然言語による対話的開発:技術的な詳細を知らなくても、自然言語で指示するだけで実装が可能
- 実行環境との深い統合:ターミナルでのコマンドの実行、テストの自動実行、デプロイまでを一貫してサポート
- 環境に依存しない:プロンプトで軽快に動作するため、どのようなエディタや環境とも統合可能
Anthropicにおいても、Claude Codeの開発では既にその80%のコードの記述がClaude Codeによって行われており
Claude Codeがもたらした「AI駆動開発」
元々コーディング支援ツールとして始まったClaude Codeですが、その高い能力と自律性から、開発支援のみならず、開発の工程における設計、テスト、デプロイまで一貫して行うことが可能です。
さらにClaude Codeが環境やエディタ、UIに依存しないツールであることで、様々なレベルでのAIコーディングを可能にしています。完全なVibeコーディングツールとして半自動でお任せすることもできますし、エンジニアがClaudeから挙げられたプランや実装を逐一確認する事で責任あるコーディングツールとしても使えます。
もちろん、AIはサブに回ってもらいエンジニア主導でコードを書きながら、Claudeを優秀なアシスタントとして使うこともできます。
このようなパワフルかつ変幻自在な使い方が出来るようになったことが、Claude Codeがもたらした革新の一つであり、これまでの
まとめ
今回は、Claude Codeの概要と歴史的な背景について説明しました。次回はClaude Codeの料金プランを説明した後、インストールとセットアップまで解説します。