OpenAI⁠AI搭載ブラウザ「ChatGPT Atlas」発表 —⁠—macOS版から提供開始

OpenAIは2025年10月21日、AI搭載ブラウザ「ChatGPT Atlas」を発表した。発表時点ではmacOS用のアプリのみが提供されるが、Windows、iOS、Android向けのアプリも今後提供される予定。ChatGPT Atlasに搭載されているエージェントモード(現在プレビュー機能)は、ChatGPT Plus/Pro/Businessユーザーのみが利用できる。

ChatGPT Atlas(以下Atlas)を端的に説明すると、ChatGPTを組み込んだブラウザ[1]。閲覧中のウェブページの内容を理解して同一画面内でChatGPTを利用できるため、別の場所にあるAIツールへのコピー&ペーストを減らすことができる。また、チャットから新しいタスクに取り組むことができる。

Atlasの特徴のひとつに、閲覧したウェブページにおけるコンテキストを記録してChatGPTで活用するための「ブラウザメモリ」という機能がある[2]。このブラウザメモリを有効にすることで、チャットの応答が改善し、スムーズな提案(しばらく前に読んだウェブページを表示するなど)を行えるようになる。

ブラウザメモリの設定では、サイトごとのブラウザメモリを一覧したり、不要になったブラウザメモリをアーカイブすることができる。ウェブページの閲覧履歴を消去することで、関連するブラウザメモリを削除することも可能。さらにアドレスバーの左端のボタンから、表示しているサイトをChatGPTに見せなくすることができるが、その場合にはブラウザメモリが有効でもそのサイトのメモリは作成されなくなる。

Atlasには以下の機能が含まれる。

サイドバーでのChatGPTの利用
サイドバーを開いてChatGPTと対話しながら、閲覧しているページの内容を要約・比較・分析できる。たとえば「講義資料を閲覧中に練習問題や実例を提示して理解度を確認する」⁠過去に作成したチーム文書を読み込み、その洞察をまとめる」といった処理ができる。
新規タブページでのChatGPTの利用

新しいタブページではテキストを入力できるフォームが表示され、質問またはURL入力することで、ChatGPTによる結果が一箇所に表示される。必要に応じて検索リンク・画像・動画・ニュースのタブを選択して、特定の結果のみを表示できる。

また過去の閲覧内容をもとに、⁠過去のページを表示する」⁠調べていたテーマをさらに深く掘り下げる」⁠関連するアイデアを浮かび上がらせる」⁠定型的なタスクを自動化する」といった提案も新しいタブページのフォーム下部に表示される。

入力フォームにおけるChatGPTの利用

メール作成画面などのテキスト入力が可能なフォームにおいて、ChatGPTを利用して文章の生成や編集を行うことができる。テキストを選択した際に表示されるChatGPTアイコンをクリックすることで、そのテキストに基づいた文章を生成できる。

さらに、ChatGPTのPlus/Pro/Businessユーザーはエージェントモードを使うことができ、より高度なタスクを実行できる。たとえば「レシピに基づく食材のオンラインカートへの追加と注文」といった、サイトの具体的な操作(カート投入・購入処理)が可能になる。安全性のために重要な操作の前にはユーザーに対して確認が行われ、一時停止・割り込み・操作引き継ぎといったことが可能となっている。

またチャット指示により、タブを「新規に開く」⁠閉じる」⁠最後に閉じたタブを再度開く」⁠ブックマーク登録」⁠過去に表示したページを開く」といった操作を依頼できる。

ただし、エージェントモードはプレビュー段階であり、複雑なワークフローでは操作を誤る可能性があることが言及されている。なお、エージェントはシステムアクセス(ブラウザ内でのコード実行、ファイルのダウンロード、拡張機能のインストール)やデータアクセス(OSシステムや他アプリへのアクセス、ChatGPTメモリの読み書き、保存したパスワードへのアクセス、自動入力データの利用)はできない。さらにエージェントがアクセスしたページは、閲覧履歴に追加されない。

シークレットウィンドウ機能も搭載されていて、これを利用するとChatGPTから一時的にログアウトした状態で閲覧できる。この状態のチャットはアカウントに紐付かず、セッション終了後はブラウザ履歴やCookie、ブラウザメモリが保存されることはない(不正防止目的でチャットは最大30日保持される⁠⁠。

未成年の利用保護のために、保護者がChatGPTにペアレンタルコントロールを設定している場合には、その設定がAtlas内のChatGPTとの会話にも引き継がれる。またAtlas内には、保護者がブラウザメモリとエージェントモードをオフにできるオプションが追加されている。

なお、デフォルトでは、Atlasで閲覧したページコンテンツはモデルの訓練には利用されない。モデルの訓練に含めるにはデータコントロールの「Improve the model for everyone」を有効化したうえで、⁠Include web browsing」を有効にする必要がある。チャットの訓練をChatGPTアカウント側で有効にしている場合は、Atlas内のチャットも同様に訓練対象となり、その際にはサイドバーで添付したウェブサイト内容やブラウザメモリが含まれる[3]

今後はマルチプロフィール、開発者向けツールの改善、Apps SDKで開発されたアプリの探索性向上[4]などを予定している。


ウェブサイト作成者向けのガイドラインもいくつか案内されている。

エージェントがウェブページを操作するにあたり、ウェブサイトはWAI-ARIAのベストプラクティスに従っていることを推奨している。

また、Atlasのブラウザ検索結果では、リンクやタイトルのほか、要約またはスニペットが表示される可能性があるが、作成したサイトを表示させるにはOAI-SearchBotをrobots.txtでブロックしないようにする必要がある。ただし、OAI-SearchBotがブロックされていても、サードパーティの検索プロバイダから取得したURLまたは他ページのクロールで得られたURLがユーザークエリに関連していた場合、リンクとページタイトルのみはAtlasに表示される可能性があるという。これも避けたい場合にはmeta要素でnoindexを利用することになる(このタグを読み取るために該当ページへのクローラーのアクセスが許可されている必要がある⁠⁠。なお、ChatGPTはリファラURLにutm_source=chatgpt.comというパラメータを付与するため、これをもとにトラフィックを追跡できる。

また、コンテンツをモデルの訓練対象から除外するには、これまでどおりGPTBotを拒否することでそれを尊重するとしており、ユーザーが訓練へ許諾している場合でもGPTBotで拒否されたウェブページは訓練されることはないとしている。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧