OSSデータベース取り取り時報

第122回セミナー「データ活用の現状と近未来」開催⁠MySQL HeatWave 9.4.1および9.4.2リリース⁠PostgreSQL新メジャーバージョン18リリース

この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。

連載10周年記念セミナー「データ活用の現状と近未来」開催

本連載の10周年とデータベース部会発足10周年を記念したセミナーイベントを、オープンソースカンファレンス Online/Fallで開催します。

〔企画の趣旨〕
これまで私たちは、OSSやその他ITツールという道具に目を向けていて、データ処理ツールやデータそのものが世の中でどういう役割・位置づけを担うのかについて考えることはやや少なめだったと感じます。データ管理・処理ツールの活躍の場やOSSの役割について、すこし長期のスパンで考えるためにも、これまでじっくりと考える機会の少なかった上記の点について認識を新たにするべきではないでしょうか。データが世の中でどの様に役立っていくのか、特定企業内とか国内とかを越えてグローバルな視点での価値を創出するビジョンのひとつとして、データスペースの考え方、ウラノス・エコシステムという具体的な事例が、この足りなかった視点を持つきっかけになるのではないでしょうか。
また、デジタルデータの価値を高めることがデジタル変革にとって必須であること、そしてOSSを含むオープンな取り組みと合わせることが、DXを前進させるのではとの予感を持っています。
このセミナーでは、将来だけを見るのではなく、現状認識もしながら、データ活用の近未来像について考える場にできればと考えています。
OSSコンソーシアムWebサイトでのセミナーと登壇者案内
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〔開催概要〕
タイトル データ活用の現状と近未来 —⁠— データベースからデータスペースへ
(gihyo.jp連載&DB部会10周年記念)
日時 2025年10月17日(金)14:00~17:45
開催方法 ZoomおよびYouTubeライブによるオンライン開催
オープンソースカンファレンス Online/Fallプログラムの一部として実施 )
参加方法 ご参加される方はなるべく参加登録をお願いいたします。カンファレンス全体での参加登録になり、個々のセミナー枠ごとの事前エントリは不要です。
オープンソースカンファレンス2025Onlne/Fall参加登録ページ(connpass)
10/16(木)16:00までに参加登録された方にはconnpass経由で各会場URLをご連絡いたします。メールをご確認の上、ご参加ください。上記日時以降に参加登録された方はconnpassの「参加者への情報」から各会場URLをご確認いただけます。
〔プログラム構成と発表者〕
調整中・未確定の部分があり、変更になる場合もあります。
Part 1⁠DBMSとデータ活用の現在地
梶山 隆輔(日本オラクル株式会社, OSSコンソーシアム データベース部会)
井坂 徳恭(東京システムハウス株式会社, OSSコンソーシアム オープンCOBOLソリューション部会)
Part 2⁠これからのデータ処理とデータ活用
内田 太志(株式会社インプリム, OSSコンソーシアム データベース部会)
神林 飛志(株式会社ノーチラス・テクロノジーズ)
Part 3⁠【特別講演】データスペースとウラノス⁠エコシステム(仮)
講演者調整中
Part 4⁠〔パネルディスカッション〕これまでのデータベース⁠これからのデータスペース
Part 1~3の発表者のみなさんとディスカッションします。
パネリスト:調整中
モデレータ:溝口 則行(TIS株式会社, OSSコンソーシアム)

[MySQL]2025年9月の主な出来事

9月はMySQLサーバーのバージョンアップはありませんでした。クラウド版MySQLであるMySQL HeatWave 9.4.2がリリースされました。VS Codeの拡張機能であるMySQL Shell for VS Codeの、主にバグ修正が行われた1.19.17+9.4.0もリリースされています。

また実験的な機能をいち早くお試しいただくためのMySQL Labsには、RestfulなアプリケーションからMySQLサーバーにアクセスするためのMySQL REST Service(MRS)が掲載されています。

なお本連載の第121回の原稿締め切り後の8月末に、商用版の新しいエディションであるMySQL AI 9.4.1およびMySQL HeatWave 9.4.1がリリースされています。MySQL AIはMySQLサーバーにLLMや新しいGUIを組み合わせたパッケージです。またMySQL HeatWave 9.4.1には自然言語からSQL文を生成して実行するNL2SQLが実装されています。詳しくは来月以降の本連載にて解説予定です。

11月6日(水)開催 イベント⁠Oracle HeatWave Meet in Tokyo

上記のMySQL HeatWaveの最新機能であるNL2SQLやMySQL AIなどの技術アップデートに加えて、業界最大級のチケット販売サイトを運営されている「イープラス様」と早期からMySQL HeatWaveを運用しリアルタイム分析を実現されている「ジニアス・ソノリティ様」によるパネルディスカッションなどが予定されているイベントOracle HeatWave Meet in Tokyoが11月6日に開催されます。

MySQL HeatWave 9.4.1および9.4.2での新機能

8月25日にリリースされたMySQL HeatWave 9.4.1では、NL2SQLに加えて以下の新機能の追加や改良が行われています。

  • 既存テーブルを機械学習機能MySQL HeatWave AutoMLの訓練データとテストデータに分割するTRAIN_TEST_SPLIT ストアド・ルーチン追加
  • 生成AI機能MySQL HeatWave GenAIの処理が並列実行可能に
  • オブジェクトストレージの非構造データをベクトル・ストアにロードする際に、これまでのイン・データベースLLMに加えてOCI生成AIサービスのLLMを利用可能に
  • OCI生成AIサービスのVision Language Models ⁠VLMs)をサポートしたため、画像の分類やテキストの抽出、表の抽出などが可能に
  • オブジェクトストレージの非構造データの要約が生成可能に
  • MySQL HeatWave Lakehouseにて、オブジェクト・ストレージのファイルの追加、削除、内容の変更があった場合に差分を自動リロード

なお、Lakehouseの差分ロードの利用には、オブジェクト・ストレージのオブジェクト・レベルでのイベントを監視し処理を発動するOCI Streamingのセットアップが必要です。

MySQL HeatWave 9.4.2での新機能は限られており、以下の2点がリリースノートに掲載されています。

  • HeatWaveクラスターにロードされたテーブルのAdvanced Cardinality Estimation ⁠ACE)モデルをバックグラウンドで自動的に更新し、より最新の統計に基づいた実行計画を作成
  • Vision Language Models ⁠VLMs)の改良をMySQL HeatWave GenAIでも利用できるようになり、PDF内の表の理解などが改善

[PostgreSQL]2025年9月の主な出来事

PostgreSQLのメジャーバージョンのリリースは、毎年この時期の年中行事となりました。今回は新メジャーバージョン18のリリース情報をお伝えします。

PostgreSQL 18がリリース

新しいバージョン18ですが、前回第121回にお知らせしたベータ3に続き、9月4日にはRC1版がリリース、そして9月25日に正式版がリリースされました 。

The PostgreSQL Global Development GroupによるPostgreSQLバージョン18リリースのお知らせ
The PostgreSQL Global Development GroupによるPostgreSQLバージョン18リリースのお知らせ

ここでは、リリースのお知らせとプレスキットの日本語版で抜粋・紹介されている新機能や改善点から主要なものをピックアップします。下記以外にも、高速なアップグレードとアップグレード後の性能向上、開発者体験の向上、メンテナンスと可観測性の向上などの改善が含まれています。

非同期I/Oの導入
バージョン18の一番の目玉はこの非同期I/O(AIO)でしょうか。このAIOにより全体的なスループットが向上します。シーケンシャルスキャン、ビットマップヒープスキャン、バキュームがAIO操作のサポートに含まれます。 ベンチマーク評価では、特定のシナリオで最大3倍の性能向上が確認されたケースがある様です。
クエリやその他での全体的なパフォーマンス向上
PostgreSQLはバージョンアップのたびにさまざまな性能向上が図られています。今回のリリースでは次のような改善がなされています。
  • 複数列B-treeインデックス に対するスキップスキャン検索の導入
  • WHERE句でOR条件を使用するクエリをインデックス利用に最適化可能
  • テーブル結合のプランニングと実行方法の改善
  • 従来対応していたB-treeインデックスやBRIN インデックス に続きGINインデックスの並列構築に対応
  • ハードウェアアクセラレーションに対するサポートを拡張
テキスト処理の改善
このカテゴリでは次のような改善がされています。
  • PG_UNICODE_FAST照合順序が追加、ケース変換に対して完全なUnicodeセマンティクスを提供、比較処理の高速化
  • 非決定的照合順序を利用するテキストでのLIKE比較のサポート
  • 全文検索でクラスタのデフォルト照合プロバイダを使用する変更
レプリケーション
レプリケーション関連もバージョンが上がるたびに改善が図られています。
  • 論理レプリケーションの書き込み競合をログとpg_stat_subscription_statsビューで報告
  • CREATE SUBSCRIPTIONはトランザクション適用に並列ストリーミングをデフォルトで使用しパフォーマンス向上
  • pg_createsubscriberユーティリティに--allフラグが追加され、インスタンス内のデータベースでの論理レプリケーション作成が単一のコマンドで可能
  • アイドル状態のレプリケーションスロットを自動的に削除
認証とセキュリティ機能
セキュリティ関連での向上もされています。こちらは機能追加だけではなく、セキュリティ的に非推奨なものを削っていく方向のものもあります。
  • oauth認証機能が導入され、OAuth 2.0メカニズムを使用したユーザー認証が可能
  • FIPSモードの検証機能が追加され、ssl_tls13_ciphersサーバー側TLS v1.3暗号スイートの設定パラメータが追加
  • md5パスワード認証が非推奨に(将来のリリースでは削除予定)

2025年10月以降開催予定のセミナーやイベント⁠ユーザ会の活動

イベントごとに利便性のあるオンライン開催や、従来通りのオンサイト(会場)開催、またはハイブリットが混在するようになっています。興味を持たれて参加したいイベントの開催形態にご注意ください。

オープンソースカンファレンス(OSC)〔10月~2026年1月開催分〕

日程 〔Niigata〕2025年10月4日(土)10:30~16:30
〔Online/Fall〕2025年10月17日(金⁠⁠~18日(土)10:00~18:00
〔Tokyo/Fall〕2025年10月25日(土)10:00~16:00
〔Fukuoka〕2025年11月22日(土)10:00~18:00
〔Yamaguchi〕2025年11月23日(日)10:30~17:00
〔Okinawa〕2025年11月29日(土)13:00~18:00
〔Hiroshima〕2025年12月13日(土)10:00~18:00
〔2026 Osaka〕2026年1月31日(土)10:00~17:45
場所 〔Niigata〕新潟国際情報大学 新潟中央キャンパス(新潟市中央区)
〔Online/Fall〕オンライン会場(Zoom&YouTube Live)
〔Tokyo/Fall〕東京都立産業貿易センター台東館(東京都台東区)
〔Fukuoka〕九州産業大学 12号館 2F
〔Yamaguchi〕常盤工業会館(山口大学工学部同窓会)
〔Okinawa〕SAKURA innobase Okinawa(那覇市)
〔Hiroshima〕サテライトキャンパスひろしま
〔2026 Osaka〕大阪産業創造館 3F-4F
内容 オープンソースカンファレンス(OSC)は、オープンソースの今を伝えるイベントです。東京だけでなく、北は北海道、南は沖縄まで、年間を通じて全国各地で開催しています。オープンソース関連のコミュニティや協賛企業・後援団体による、セミナーやプロダクトの展示などを入場・参加料が無料でご覧いただけるイベントです。現在は開催地域によってオンラインとオフラインで開催しております。
〔Niigata〕新潟での開催回が発表されました。セミナー発表者、ブース出展申し込みは9月26日に締め切られました。
〔Online/Fall〕2日間でセミナーのみをオンラインで開催されます。セミナータイムテーブルは確定しています。
〔Tokyo/Fall〕こちらは会場開催で展示のみ(セミナー無し)の開催です。出展者やブースレイアウトは確定しています。
〔Fukuoka〕セミナー発表者、ブース出展申し込みを募集中です。11月14日締切です。
〔Yamaguchi〕OSC 山口 4 回目です。オンラインとのハイブリッド開催です。
〔Okinawa〕OSC沖縄 20周年記念企画です。セミナー発表者、ブース出展申し込みを募集中です。11月10日締切です。
〔Hiroshima〕セミナー発表者、ブース出展申し込みを募集中です。11月4日締切です。
〔2026 Osaka〕出展者(団体)の申込は11月上旬からを予定。
それぞれの開催回でのOSSデータベース関連の発表については、公開されるプログラム詳細をご参照ください。
主催 オープンソースカンファレンス実行委員会

製造業×AIで未来を創る — 国産クラウドで加速する産業DX(劔“Tsurugi”講演あり)

日程 2025年10月1日(水)11:30~13:00
場所 オンライン開催(Zoomウェビナー)
内容 製造業×AIをテーマに、GPUクラウド基盤、エッジAIやデータ解析AIサービス、そしてデータ処理の視点から、AIが変えるものづくりの未来を語ります。
昨年度のSuperFormulaの鈴鹿の最終戦で投入された実証システムは、時速300kmで疾走するフォーミュラーカーの100近いセンサーからのログ・ストリームをリアルタイムで書き込みかつ超低遅延でAI処理を行うという画期的なシステムです。次世代超高速RDBのTsurugiとその実行基盤として高火力サービスを解説します。
主催 さくらインターネット株式会社

第54回 PostgreSQLアンカンファレンス@東京

日程 2025年10月4日(土)13:30~17:30(終わりは目安です)
場所 株式会社アシスト 東京都千代田区九段北4-2-1 市ヶ谷スクエアビル 1F
内容 アンカンファレンスはこんな場です。
  • 初心者による「使ってみた/動かしてみた」
  • 中級者による「こういうノウハウ使ってる」
  • 上級者(?)による「こういう拡張してみた」
その他、PostgreSQLに関連する話題であれば何でもOK!しゃべりたいことがある人、PostgreSQLに興味があるのでとりあえず参加してみたい人、オフライン勉強会に興味がある人など、大歓迎です。
⁠PostgreSQLについてしゃべりたいことがある、聞いてほしいことがある!⁠⁠PostgreSQLについて聞いてみたい、相談したい!」そんな感じで登壇してもらってOKです。初めてPostgreSQLを使ってみた、こんな使い方をしてみた、こんな開発をしてみた、これからこんな使い方をしてみたい。そんなあなたの知識や経験、アイディアをコミュニティでシェアしませんか。アンカンファレンス形式なので、何が出るかは当日来てのお楽しみ。友人知人同僚その他、ぜひお誘い合わせの上、ご参加ください。
主催 PostgreSQLアンカンファレンス

Oracle HeatWave Meet in Tokyo - シンプルな構成でデータを資産に変える -

日程 2025年11月6日(木)15:00~19:00
場所 ANAインターコンチネンタルホテル東京
内容 本セミナーではITとビジネス双方の視点から、この課題に対するソリューションや実際のお客様事例をお伝えいたします。ご紹介するのは、使い慣れたMySQLを基盤に、DB内のデータからオブジェクトストレージ上のファイルまでを統合的に分析できる、革新的なクラウドネイティブサービス「MySQL HeatWave」とそのユーザ様の事例です。シンプルな構成でビジネス要求に俊敏に応える。経営とITの双方にメリットをもたらす次世代のデータ戦略を、最新の導入事例と共に解説します。
業界最大級のチケット販売サイトを運営されている「イープラス様」とMySQL HeatWaveを運用しゲームのリアルタイム分析を実現されている「ジニアス・ソノリティ様」をお招きして実施するパネルディスカッションを実施予定です。また2025年10月に開催の⁠Oracle AI World⁠の最新発表内容を踏まえ、MySQL HeatWaveの製品戦略をご紹介します。
主催 日本オラクル セミナー事務局

自社データ×AI活用の新アプローチ ~ EDB Postgres AI Factory

日程 2025年10月16日(木)11:00~11:30
場所 オンライン開催
内容 生成AIの普及により、クラウド型AIサービスを業務的に活用するフレームワークが加速しています。本ウェビナーでは、EDB Postgres AI Factoryを活用した「自社データを組み込んだ安全なカスタマイズAI」構築のアプローチをご紹介します。セキュリティを確保しつつ、段階的にデータ活用を進められる方法を、具体例とともに解説します。
主催 エンタープライズDB株式会社

国内最高峰スーパーフォーミュラにおけるITとAIの現状⁠および今後の展望 (CEATEC2025内)

日程 2025年10月17日(金)12:00~13:00
場所 幕張メッセ 展示ホール(千葉市美浜区)
内容 劔"Tsurugi"に関する講演がCEATEC 2025会場内で行われます。時速300km超のスピードで1000分の1秒差を競う日本最高峰のフォーミュラー・カーレースでは、最高性能のIT/AIの導入・展開はかかせません。フォーミュラーカーにも100を超えるセンサーがとりつけられ、リアルタイムでデータが収集され、ミリ秒のスケールでデータが格納、そして人間の反射速度を超えるAIが活躍しつつあります。今回は、⁠究極の現場⁠である実際のレースの裏側から、そのITの仕組みの現状・展望を話します。
主催 一般社団法人 電子情報技術産業協会

PostgreSQL Conference Japan 2025

日程 2025年11月21日(金)10:00~18:10
場所 AP日本橋(東京都)6F(東京駅より徒歩5分)
内容 日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)主催のPostgreSQL Conference Japan 2025はPostgreSQLの主要なイベントの一つで毎年秋~冬に開催されています。今年は11月21日の開催です。午前に2講演、午後は4トラックで多数の講演が行われます。プログラムも一部は調整中もありますが公開されました。参加にはチケットの購入が必要です。一般参加チケットは9月21日から発売開始されています。協賛いただける企業・団体は引き続き募集中です。
主催 日本PostgreSQLユーザ会

db tech showcase 2025 Tokyo(アーカイブ配信)

日程 2025年8月21日から当面の間
場所 オンライン配信
内容 国内で開催されるデータベース関連の主要なカンファレンスのひとつです。OSSデータベース専門のセミナーではありませんが、MySQLやPostgreSQLをはじめさまざまなOSSデータベースについての多数のセッションが毎年設けられています。
主催 株式会社インサイトテクノロジー

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