Valkey 9.0リリース⁠スケーラビリティとパフォーマンスを大幅に向上

Valkey開発チームは2025年10月21日、キーバリューデータベースValkeyの最新バージョンValkey 9.0をリリースした。

ValkeyはLinux Foundation傘下で開発されているオープンソースのキーバリューデータベース。2024年にRedisがライセンス変更により一時オープンソースではなくなった際に、代替するプロジェクトとして開発が開始された。Valkey 9.0ではクラスタなどの大規模データベースの導入に対応した機能が追加されたほか、各種スループットが大幅に向上している。

Valkey 9.0の主な新機能は以下の通り。

ハッシュフィールドの有効期限設定
これまではハッシュ内のフィールドで個別に有効期限設定することはできなかったが、ハッシュフィールドの有効期限が実装され、ハッシュ内の個々のフィールドに有効期限(TTL)を設定し、有効期限切れのデータを自動的に削除してメモリを解放できるようになった。これにより開発が簡素化され、コンピューティングのオーバーヘッドとメモリ使用量も削減されることになる。
アトミックスロットマイグレーション
クラスターモードなどの分散システムでキーバリューのペアをノード間で転送するスロットマイグレーションで、大規模なキー移動時にエラーやオーバーヘッド増大、データ損失などの問題があった。9.0で新たに導入されたアトミックスロットマイグレーションでは、キー個別ではなく16,384個の「スロット」にまとめた形で移動し、スロット全体に対して「移動してから削除」というシーケンスが実行されるため、安全にデータの移行が完了する。
クラスターモードでのマルチデータベース
クラスターモードでのマルチデータベースが導入され、同一クラスター上で複数の異なる名前空間を実行できるようになった。これによりデータベース構成における制限やメモリの無駄を回避できる。データベースに番号をつけて論理的に分離し管理でき、キースペースを整理しよりインテリジェントなデータベース構成を実現できる。またスケーラブルで、複数のクラスタに分散配置でき、未使用時にはオーバーヘッドがゼロになる。

こうした改良により、Valkey 9.0は2,000ノードのシステムで、1秒あたり10億件以上のリクエスト処理能力を備えるという。このほか以下のような新機能や改良も加えられている。

  • パイプラインコマンドのメモリプリフェッチ …スループット最大40%向上
  • 大規模リクエストに対するゼロコピーレスポンス …スループット最大20%向上
  • BITCOUNTおよびhyperloglogコマンドのSIMD最適化 …スループット最大200%向上
  • マルチパスTCPのサポート …レイテンシ最大25%低減

アップデートの詳細は、Valkey 9.0のリリースノートを参照。またValkey 9.0のソースコードや各環境向けバイナリは、valkey.ioからダウンロード可能。

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