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「Swift SDK for Android」プレビュー版がリリース

10月24日、AppleはSwiftを使ってAndroidのアプリが開発できる開発キット「Swift SDK for Android」のプレビューリリース版を公開しました。

Announcing the Swift SDK for Android | Swift.org

今年(2025年⁠⁠、の7月、Swift.orgのフォーラムにてAndroidを公式にサポートすることを目的にした「Android Workgroup」の立ち上げが発表されました。このWorkgroupは、SwiftがAndroidアプリを開発するための言語として使えるようにするべく、パッケージやデバッグの機能強化を目的として立ちあげられました。これは、本連載でも紹介しているので、よろしければご覧ください。

はじめの一歩。SwiftがAndroidを公式にサポートへ | gihyo.jp

Swiftは、Appleが2014年に発表したオープンソースの開発言語で、最初はiOSやmacOS向けとして発表されたものでした。その後、2016年のSwift 2.2でLinuxが対応プラットフォームに追加されて、2020年のSwift 5.3でMicrosoftと協力してWindowsが対応プラットフォームに加えられました。Windows版は、Visual Studioを使って開発・ビルド・実行ができます。

Swiftは、iOS、iPadOS、macOS、tvOS、visionOSのApple系のプラットフォームに加えて、Linux、Windows、WebAssemblyをサポートします。今回、Androidが加わることで、合計で9プラットフォームをサポートする言語となりました。

先の発表から半年も経たず、プレビュー版にはなりますが成果として「Swift SDK for Android」が発表されました。

Androidは、モダンで安全性の高い開発言語のKotlin、Javaを使ってアプリが開発できます。Swiftもモダンな開発言語なので、先のKotlinやJavaと肩を並べる言語になる可能性があり期待大です。

有望な選択肢だが……

Android版はプレビューリリースが出たところなので、多くは期待できず、不満が残るのは言わずもがなです。

たとえば、現状は、Android Studioとの完全な統合は行われておらず、シンタックスのハイライトやコード補完、デバッグ統合などはKotlinやJavaと比較すると劣ります。

他、UIをSwiftで書きAndroid Studioで扱うのは、周辺ツールが安定しておらずビルド構成も複雑で時期尚早です。よって、UI周りの開発はKotlinやJavaを使うことになります。いますぐSwiftを導入するならば、UIが関係しないロジックなどを、他のプラットフォームとの共有ライブラリ化する目的で使うのが良い選択となります。

先行サポートされているWindowsの事例を参考してみます。

これも似たような状況で、UI周りはサポートが手厚い言語を使い、他はSwiftを使う使いわけが提示されています。

Windowsでは、言語の使い分けがベストプラクティスとして提示されているので、Androidも同じ様な状況に落ち着く可能性はあります。唯一の望みは、Androidアプリを開発するアプリベンダは、iOSアプリも開発しており、同一ソースで管理できるのであれば、価値が高いと考えることです。

現状は、よほどの理由がない限り、多くのホスピタリティを期待する人が、すぐさまSwiftを使いはじめることはないはずなので、足りない部分は問題にならないはずです。マルチプラットフォーム向けの開発言語として、将来有望な存在であることは間違いありませんが、Swiftを導入はもう少し様子をみた方が良さそうです。

SwiftがKotlinやJavaと肩を並べるくらいの言語となるかは、どこまで踏み込んでAndroidに取り組むかにはなります。Googleの支援が得られれば、大きく状況が変化する可能性もあります。

また、既存のプロジェクトがある場合は、すぐさま移行できるわけではないので、現時点では、有望な選択肢としてウオッチしておく必要はありそうです。

今週は、このあたりで、また来週。

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