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SUSE⁠Zig言語でSSHの再実装にチャレンジ

SUSEは毎年、同社に所属するエンジニアのイノベーティブな活動を推進する一環として、⁠Hack Week」という1週間のイベント期間を設けている。社内イベントといっても基本的には誰でも参加することが可能で、SUSEのエンジニアとパートナー企業の従業員やオープンソースコミュニティのメンバーがひとつのプロジェクトのもとで協力しあうケースも多い。

2007年からスタートしたHack Weekの活動からはこれまでいくつものプロダクトが誕生しており、たとえばQtライブラリアーカイブの「Inqlude」やオープンソースのビデオ会議ツール「Jangouts⁠⁠、オンラインストレージプラットフォーム「Nextcloud」なども含まれる。

SUSE Hack Week 25
URL:https://hackweek.opensuse.org/
Hack Week 25

2025年のHack Weekは12月1日から12月5日が予定されており、⁠Remain Curious(好奇心を持ち続けよ⁠⁠」のテーマのもと、すでに多くのプロジェクトがアップされているが、そのなかのひとつにSUSEエンジニアのLucas Mullingが進めている「zssh」がある。これはZig言語でSSHプロトコルをネイティブ実装することをめざすプロジェクトで、当面の目標として「研究や実験のために容易に拡張できる実用的なSSHスタックをZigで作成する」を掲げている。libcryptoやleancryptoといった暗号化ライブラリに依存しないことから、最近話題になることが多い耐量子暗号(PQC)アルゴリズムのテストでの活用も期待されているところだ。

ZigはCに近いパフォーマンスを出しながらも無駄なオーバーヘッドが少なく、ガベージコレクタをもたずにメモリ管理を手動で行うことから、SSHのような長時間稼働するサービスを効率良く動かせると見られている。また、複雑なプロトコルであるSSHをシンプルな言語仕様のZigで再実装する手順を通して、プロジェクト参加者はプロトコルの内部構造を深く学ぶことが可能となる。

まだ0.0.1のリリースすらも出ていないプロジェクトではあるが、Hack Weekのテーマであるエンジニアの"好奇心"を原動力に⁠SSH + Zig⁠の可能性がどこまで拡がるか、注目したいところだ。

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