GitLabが日本の経営層を対象に実施した調査によると、87%の経営層が
しかし、実際にロードマップを作成しようとしているものの、具体的な作り方を理解していない人もいるのではないでしょうか。本連載では、ソフトウェア開発におけるロードマップの必要性やメリット、作成方法を解説します。ロードマップの作成に役立つおすすめのツールも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ロードマップは、ソフトウェア開発に限って使用する取り組みではなく、あらゆるビジネスシーンで活用されています。そこで、第1回となる本稿では、まずはロードマップの役割や種類を整理した後、ソフトウェア開発におけるロードマップの作成・
ロードマップとは?
ロードマップとは、プロジェクトや事業戦略において設定した目標やゴールまでの道筋を、時系列で視覚化した工程表のことです。より簡潔に説明すると、目標達成のために
冒頭に述べた通り、ロードマップは、ソフトウェア開発に限って使用する取り組みではなく、様々なビジネスシーンで活用されています。ロードマップを活用することで関係者間の連携がスムーズになり、課題の早期発見や効率的な進行が可能になるのです。
ロードマップの主な種類
ロードマップは大まかに以下の2つの種類に分けられます。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
- プロジェクトロードマップ
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プロジェクトロードマップは、プロジェクトを円滑に進めるために全体像を管理する目的で活用されるロードマップです。具体的には、プロジェクトの目標や実施するタスクの内容などを記載して作成します。
ロードマップの基本的なフォーマットであり、一般的に
「ロードマップ」 と呼ぶ場合、多くはこのプロジェクトロードマップを指します。 - プロダクトロードマップ
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プロダクトロードマップとは、特定の製品やサービスに関する目標や戦略、スケジュール計画などが記載されたロードマップのことを指します。具体的にどのようなプロダクトを開発するのかといった方向性や搭載すべき機能、リリース予定日などを整理して活用します。製品開発に関わるエンジニアだけでなく、マーケティング部門や経営層など、より広い関係者にも共有されるのが特徴です。
プロジェクトロードマップは、プロジェクト全体の管理に活用されるのに対して、プロダクトロードマップは製品開発に焦点を当てたロードマップであるという違いを理解しておくと良いでしょう。
ロードマップとマイルストーンとの違い
ロードマップを正しく理解するためには、マイルストーンとの違いも把握しておくことが大切です。マイルストーンとは、プロジェクトの中で設定する重要な中間目標や通過点を指します。例えば、ソフトウェア開発における
対してロードマップはプロジェクトの全体の計画を示すものになります。ロードマップの中にマイルストーンを設置することで、目標に対して作業が順調に進んでいるかどうかをより把握しやすくなります。特にプロジェクト期間が長期に及ぶ場合は進捗把握が難しくなるため、適切なフェーズでマイルストーンを設置しておくことが大切です。
ロードマップとガントチャートの違い
ガントチャートとは、プロジェクトにおける細かなタスクや期日を管理して、日々の進捗を確認するためのツールです。一方、ロードマップは、プロジェクトの全体の計画を示すものであり、日々の細かなタスク管理には向いていません。
しかし、ロードマップを作成する際にガントチャートの要素を取り入れる、つまりガントチャートをロードマップのフォーマットとして活用することで全体の計画だけでなく、日々の細かなタスク管理もできるようになります。
このように、ロードマップとガントチャートは併用可能であり、両者を補完的に使うことでより精緻な計画管理が実現します。
ソフトウェア開発におけるロードマップの必要性
ソフトウェア開発においては、プロジェクト完了までに要件定義や基本設計、開発、テストなどさまざまな工程を踏む必要があり、開発エンジニアだけなく顧客など、プロジェクトに関与する人間もさまざまです。
問題なくプロダクトをリリース・
ロードマップを作成すれば一目で全体の計画を把握できるため、関係者間での情報共有が容易になり、スムーズにプロジェクトを進められます。また、急なトラブルが発生した場合でも事前に計画を立てておけば柔軟に対応することができるため、ロードマップはソフトウェア開発の領域において重要なツールのひとつだと言えます。
ソフトウェア開発にもたらされるメリットと効果
ここでは、ソフトウェア開発においてロードマップがもたらす具体的なメリットと効果について解説します。
プロジェクト全体の可視化
ロードマップを活用すると、プロジェクト全体を可視化でき、進むべき道筋や目標が明確になります。その結果、無駄のない効率的なスケジュール進行が可能になります。
また、ロードマップでプロジェクト全体を可視化しておくことで、遅延やリソース不足などのリスクが発生する可能性があるフェーズを事前に予測できるため、必要な対策を早期に検討することも可能です。
チーム間の共通認識を醸成
ロードマップを作成すれば、関係者間での情報共有が容易になります。プロジェクトを進行する上で関係者間で認識の違いがあると、失敗を招く場合があります。例えば、本来必要のない作業が計画に含まれていると、納期遅延が発生する可能性があります。
事前にロードマップで必要な情報を共有しておけば、全員が共通の理解のもとでプロジェクトを進められ、方向性のブレを防止できます。また、開発メンバーそれぞれが自分の役割を明確に把握できるため、目標達成に向けて主体的に行動できるようになります。
進捗や課題の把握
ロードマップによって全体のスケジュール計画を示すことで、プロジェクトの進捗管理もしやすくなります。明確な目標があれば、
ガントチャート形式で作成すれば、より細かなタスクの進捗を把握できるため、プロジェクトの遅延防止につながります。
開発関係者のモチベーション維持
ロードマップによって明確な最終目標やマイルストーンが設定されることで、開発メンバーのモチベーション維持や向上にもつなげられます。
ロードマップがない場合、どの方向に向かって何をすべきかが不明瞭であるため、必要のないタスクが発生したりなどのトラブルが生まれる可能性が高まります。その結果、メンバーのモチベーションが低下してしまい、プロジェクト進行に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
ロードマップを活用すればメンバー間の認識のズレも防止でき、互いに情報共有しながら協力的にプロジェクトを進められます。
次回は、ロードマップを作成する際の望ましい手順についてご紹介します。
