第3回となる本稿では、ロードマップ作成に用いる手段の選択肢や、ロードマップ作成に便利なプロジェクト管理ツールの選定ポイント、そしてロードマップ作成にあたってぶつかりやすい課題と対策について論じます。
ロードマップの作成手段
ロードマップを作成に利用するファイルやツールとしては、エクセルやパワーポイント、専用のプロジェクト管理ツールが挙げられます。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
エクセル、パワーポイント
エクセルやパワーポイントはビジネスで日常的に使用されるツールでもあるため、使い慣れていれば手軽にロードマップを作成できます。また、自社で既にMicrosoft Officeを導入しているのであれば、専用ツール導入の手間を省略できる利点があります。
エクセルでは、セル・
パワーポイントでは、図形を使ってより視覚的にロードマップを表現できるため、関係者にわかりやすい形で計画を共有したい場合に役立つでしょう。
専用ツール
ロードマップにおいては、専用のプロジェクト管理ツールなどを活用して作成することも可能です。専用ツールならマイルストーン機能やタスクの依存関係の設定など、豊富な機能が搭載されているため、視認性の高いロードマップを作成できるでしょう。関係者全員がツールにアクセスすれば情報共有もスムーズに行えるため、認識のズレの防止にもつながります。
また、直感的に作成できるツールであれば専門知識も不要でロードマップ作成に慣れていない人でも簡単に作成することが可能です。プロジェクト管理ツールの導入においてはコストが発生しますが、ロードマップ作成や共有を効率化できることを考えると高い費用対効果が期待できるでしょう。
プロジェクト管理ツールの選び方
プロジェクト管理ツールを選ぶ際には以下の観点を意識しましょう。
機能
プロジェクト管理ツールを選ぶ際には、まず目的に応じて自社がほしい機能を洗い出しましょう。例えば、主な機能を目的別に整理すると以下のようになります。
- 情報共有機能/チャット機能:コミュニケーションや情報共有を円滑に行いたい、一つのプラットフォームで情報共有したい
- マイルストーン機能:目標管理を適切に行いたい、プロジェクトの進捗状況を把握したい
- タスク管理機能:タスクを可視化したい、大量のタスクを整理したい
- 工数管理機能:タスクの依存関係を整理したい、タスクの細かな進捗を管理したい
自社の目的に応じた機能が搭載されたツールを選ぶことで、スムーズな運用につながるでしょう。
操作性
プロジェクト管理ツールを導入する際には、操作性もチェックしておきましょう。直感的に操作できる誰でも扱いやすいツールであれば、プロジェクトマネージャーだけでなく、エンジニアにとってもストレスなく利用できるでしょう。
また、実際の操作において学習コストが高いと、それだけロードマップ作成にも時間がかかってしまうことになるため、手軽に作成できるツールを選ぶことが大切です。無料トライアルを提供しているツールであれば事前に使用感も確認できます。
価格
プロジェクト管理ツールの導入においては、自社の予算を考慮してコスト面も確認しておくことが大切です。プロジェクト管理ツールにはクラウド型とオンプレミス型の導入形態があり、それぞれコスト感が異なります。
クラウド型はインターネット経由でサービスを利用する形態のことで、自社でサーバーの設置などが不要であるため初期費用を抑えられます。一方、オンプレミス型は自社でサーバーなどのITインフラを用意して導入する形態です。オンプレミスの場合はクラウド型と比較して初期費用が高くなる傾向があります。
また、自社が求める機能や利用人数などプランに応じて料金が異なるため、事前に確認しておきましょう。
サポート体制
プロジェクト管理ツールをスムーズに導入・
ロードマップ作成に関するよくある質問
最後に、ロードマップ作成に関するよくある質問とその回答を紹介します。
- 作成手段は専用のプロジェクト管理ツールとエクセルどちらが良い?
-
エクセルの場合は操作に慣れていれば手軽に作成できるメリットはありますが、リアルタイムでの情報共有が難しいというデメリットもあります。スケジュール変更時にはクラウドサービスなどで共有する必要があり、手間がかかります。
-
一方、プロジェクト管理ツールなら単一のプラットフォームでロードマップの作成から更新、共有までが可能になるため、正確かつ迅速な情報共有が可能になります。また、プロジェクト管理に役立つさまざまな機能が搭載されており、包括的なサポートを受けられるという観点から考えても専用ツールの導入はプロジェクト開発を円滑に進める上で効果的な手段であると言えます。
- 開発においてロードマップには誰が関与する必要がある?
-
ロードマップにおいては、プロジェクトマネージャーやリーダー、開発エンジニア、経営層、顧客などを含めて関係者全員が関与することが望ましいです。ロードマップを通して目標やマイルストーンなど必要な情報を全員が把握しておくことで、無駄のないスケジュール進行が可能になり、プロジェクトを成功に導けるでしょう。繰り返しにはなりますが、ロードマップを関係者全体に対して正確に共有するには、専用のプロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。
- ロードマップの作成が失敗する原因は?
-
ロードマップの作成や活用が失敗してしまう主な原因は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャーだけで作成して関係者間で入念な擦り合わせができていない
- エクセルで作成しており、更新の際に情報共有に時間がかかっている
- 定期的な確認や見直しができておらず、ロードマップ自体が機能しなくなっている
- 盛り込む情報が多く、メンバーが理解しづらい
上記のようなことがあるとロードマップを作成しても有効活用できないため、関係者間での入念な擦り合わせや専用ツールの積極的な活用、定期的なアップデートなどを行うことが大切です。
まとめ
ソフトウェア開発におけるプロジェクトを成功させるためには、ロードマップの作成は必須です。ロードマップ作成においては、ガントチャートの要素を取り入れることで、より綿密なプロジェクト管理が可能になります。
近年、ビジネス環境が急速に変化する中、開発、セキュリティ、運用を統合する
ソフトウェア開発におけるプロジェクト管理を適切に行うなら、導入を検討する価値があります。
