生成AIと自律型AIエージェントの進化は、ソフトウェア開発とセキュリティを急速に変革しています。今回はGitLabが日本の経営層を対象に行った調査の結果に基づき、CISOが直面する
急速に進化する生成AIと自律型AIエージェントは、すでにソフトウェア開発やセキュリティのあり方を根底から変えつつあります。企業が競争力を維持するには、AI活用を回避するのではなく、そのリスクを理解し、適切に管理する姿勢が不可欠です。
GitLabが日本のCISO
自律型AIの導入を複雑にするAIガバナンスのギャップ
日本のセキュリティリーダーは、自律型AIの最大リスクとして
新たなリスクに対応するためには、AIガバナンス体制の確立が不可欠です。しかしAIはデータガバナンスからアクセス管理まで幅広い領域に関わるため、その実現は容易ではありません。それにもかかわらず、およそ半数の回答者が
AIガバナンスの遅れは業界全体に共通する課題が背景にあり、リーダーが時間と労力をどこに集中すべきか判断しにくくしています。さらに、自律型AIエージェントは予測不能な動作をする可能性があり、既存のセキュリティ境界を侵すことも実証されています。また、Model Context Protocol
それでも、セキュリティリーダーはAIガバナンスの優先度を下げることはできません。包括的なベストプラクティスの登場を待つだけでは、変化に追いつけないでしょう。AIを完全に避けている組織であっても、ベンダーや従業員によるシャドーAI利用によってリスクにさらされる可能性があるのです。
ソフトウェアの自律型AIの未来に備え、CISOが今すぐ着手すべき3つのアクション
AIエージェントへの備えを始めるべき時期は既に来ています。CISOはまず、環境全体でAIエージェントの動作の追跡・
- AIエージェントの行動を属性付けするアイデンティティポリシーの確立
- AIシステムの普及に伴い、非人間的アイデンティティの追跡と保護は、人間のユーザーアクセス管理と同様に重要になってきています。これを達成する1つの方法として、AIエージェントのアイデンティティと、それを指示する人間ユーザーのアイデンティティをリンクさせる複合アイデンティティの使用があります。AIエージェントがリソースにアクセスする際には、AIエージェントを認証・
承認し、その行動を担当する人間ユーザーに明確に帰属させられます。 - 包括的なモニタリングフレームワークの採用
- 運用、開発、セキュリティチームは、複数のワークフロー、プロセス、システムにまたがるAIエージェントのアクティビティをモニタリングする手段が必要です。AIエージェントがコードベースで何をしているかを知るだけでは不十分です。ステージング環境と本番環境の両方、さらに関連するデータベースやアクセスするアプリケーションでのアクティビティもモニタリングする必要があります。
- 技術チームのスキルアップ
- セキュリティ文化の醸成には、今やAIリテラシーが欠かせません。回答者の48%がAIスキルギャップの拡大を認めており、技術リーダーがモデルの動作やプロンプトエンジニアリング、入出力の評価方法を理解するために、チームのスキル向上を優先しなければ、このギャップはさらに拡大する可能性があります。
モデルが効果的に機能している領域と最適でない使用領域を把握することで、チームは不要なセキュリティリスクや技術的負債を回避できます。たとえば、アンチパターンで訓練されたモデルはそれらのパターンの検出には強い一方、未知のロジックバグに対しては十分に機能しません。
また、どのようなモデルも人間の専門知識に取って代わることはできないことを認識しておく必要があります。セキュリティエンジニアやデベロッパーが馴染みのない領域においてモデルの性能が落ちた場合、モデルが見落としたセキュリティギャップの特定は困難となります。
CISOは、学習および開発予算の一部を継続的な技術教育に充てることを検討する必要があります。これにより社内でAIセキュリティの専門知識が育まれ、新たに生まれるAIチャンピオンが同僚を教育し、ベストプラクティスを強化できるようになります。
AIリスクを理由にAIの有益な活用を妨げない
AIが適切に監視・
日本で成功する組織は、AIを避ける組織でも、無謀にAIを導入する組織でもありません。早い時期からAI戦略にセキュリティを組み込む企業こそが、成功を手にするでしょう。たとえ不完全であっても、基本的な統制を早期に確立することで、チームは状況の変化に素早く適応できるようになります。今回の調査対象となった経営層の見解が正しければ、3年間のカウントダウンはすでに始まっています。適切なAI活用事例へと導くリーダーは、リスクを最小限に抑えるだけでなく、競争優位性も確保できるでしょう。結局のところ、ソフトウェアのセキュリティは品質の中核を成す要素なのです。
